笑いを誘う7つのパターンとは
普段、自然と人を笑わせるのが上手な人でも、いざスピーチとなるとできない場合がある。意識的にユーモアのセンスをプレゼンに生かすことは難しい。無意識にできることを意識的にできるようにするには、パターンを覚えるのが早道だ。ジョークが苦手な人でも、これを学べば、ユーモアをあなたのプレゼンに取り入れられる。ここでは、何が人を面白いと感じさせるのか、いくつかパターンを挙げて学んでみよう。
- 誇張
- 違和感
- 取り違い
- 定義
- 言葉遊び
- 遠慮
- 暗示
1、誇張
これは聞き手にも分かりやすいので、よく使われる手法だ。極端なたとえをして、聴衆の想像をかきたたせることだ。なんでも大袈裟に言うとおかしく聞こえるもの。大きさとか、数、感情、事実、バランス、できごと、経験などは、少しオーバーに表現して面白おかしく表現してみよう。
例えば、本当は、ヒットを1本打っただけなのに、長い間快音が聞かれなかったので、それは、いつもよりすごいことだと感じた場合、
「今日は大谷くんは100本もヒット打ったぜ」
などとボケて見せる。漫才だと、ここをツッコミ役の人が、
「そんなことあるわけない!1本でしょ!」
などと指摘する。
1人のプレゼンでは、誰かに突っ込んでもらうわけにはいかないので、間を置いてから自分で突っ込んでもいいし、司会者に頼んでもいい。
あまり過ぎると、ふざけていると思われるので注意しよう。しかし、最初の緊張した全体の雰囲気を和らげる目的であったり、内容とリンクさせることで、こういうジョークは生きてくる。特に、話の内容が堅い場合、例えば、統計の数字ばかり並ぶ時、難しい理論を説明する時などは、ちょっとリラックスさせたり、ポイントが強調されたりして、聞き手の印象に強く残りやすくなる。これは誇張だけに限らず、他のパターンでも言えることだ。
2、違和感
思いもよらない、その場にそぐわないようなこと、似合わないものを言ってみたり、取り上げてみたりする。例えば、ゴリラがミンクのマフラーをするとか、イタリアンレストランなのにお寿司がメニューにあったら面白く感じる。
外国人の言い間違いなども面白い。お笑いコンビのサンドウィッチマンがやっていたコントの例を見てみよう。
「では、お客様をお迎えする時の挨拶の練習をしてみよう。いらっしゃいませ」
「わっしょいだせ」
もし、英語でプレゼンをする場合は、自分が間違った発音をして笑われた言葉などを覚えておいて紹介するのも面白い。
例えば、日本人は L とRの発音の区別がうまくできない。私は以前、あるパーティの司会を頼まれた時に、本当は、clap(拍手)と言うべきところを、crap(うんこ)と連発して大笑いされたことがある。
3、取り違い
本来の目的とは、ちょっと違う、常識を覆すようなことをして笑わせてみる。例えば、
べビーサークルを3人目の子供ができた友人夫婦にプレゼントした。そうしたらお礼のメールが来た。「あの囲い、ありがとう。すごく便利だわ。毎日午後になると、私、あの中に座ってるの。だってそうすれば子供たちが私にまとわりつけないじゃない?」
ここでは、最初に正しいこと挙げて、後に違和感・取り違いがあるものを並べて対比させていることに注目したい。
4、定義
ある言葉の定義をユーモアを持ってすること。誇張とも似ているが、その言葉の内容そのものをいじったり、皮肉って、一味違うものを含ませている場合もある。ちょっと真面目くさって面白いことを言う、といった感じだ。次の例を見てほしい。
経験とは、すべてのものがなくなって取り残されたもののことだ。
コンサルタントとは、最後に呼ばれて責任の一端を負わされる人だ。
5、言葉遊び
言葉には、一つ以上の意味がある場合がある。特に慣用句では、言葉そのものの意味とそれを比喩的に表している本来の意味がある。それを利用してダジャレを言ったり、語呂合わせをしたりして楽しむ。いわゆる「おやじギャグ」などがこれに当たる。このパターンは多くの人がすぐに思いつくだろうから、ここでは、英語の例を挙げてみよう。
One hospital in town is taking some unusual measures to cut costs. For instance, now they have patients make their own beds. When you check in they give you tool box and some wood. (p16. “Humorously Speaking,” Advanced Communication Series, Toastmasters International)
make one’s bedとは、ベッドメイキングをする(シーツを敷いたり枕カバーを整えたりすること)との意味だが、文字通り解釈すると、木材や工具を使って実際にベッドを作るという意味にも取れる。訳は次の通り:
ある町の病院では経費削減のためにちょっと変わった手法を取り入れています。例えば、患者さんにはベッドメイキングを自分でするようにお願いしています。だから、入院時に渡されるのは、木材と工具です。
6、遠慮
誇張とは逆に、わざと、極端に控えめな表現をしても面白い。例えば、
俳優のジョン・バリモアは晩年、容態があまり芳しくなく、担当医は食事や飲み物、生活におけるいろんな彼の活動を制限した。ある日、質素な食事を出した看護師が彼に尋ねた。「他に何か必要なものはありますか」。バリモアは答えた。「そうですねぇ。ゴム印を持ってきてもらえませんか。少し読書がしたいもので。。。」(p16. “Humorously Speaking,” Advanced Communication Series, Toastmasters International)
7、暗示
皮肉とも取れるが、あからさまではなく、間接的に要点を指摘すること。この場合、聞き手に想像力が求められ、つながりは自分で解釈しないといけない。
グランドキャニオンのツアーガイド:「この渓谷が形成されるまでには何百万年という年月がかかったのです」
旅行者:「へぇー、それってお役所の仕事ですか」
プレゼンの所々にユーモアを忍ばせる
これらの笑いのパターンをどこにどう使うとベストかという公式はない。ユーモアはそれが話の内容を補足したり、役にたつ個所であれば、どこにでも挿入して構わない。
あまり話と関係のないところで笑わせると、時間の無駄と受け止められたり、ふざけていると思われる。しかし、前述のように、
- 最初の緊張した全体の雰囲気を和らげる
- 堅い内容(統計の数字ばかり並ぶ時、難しい理論)の話を和らげる
- 説明が長かったり、込み入った箇所を説明する
これらの目的があれば、ジョークが生かされる。笑いの効用としては、
- 聞き手をちょっとリラックスさせて、さらに集中させる
- ポイントを強調する
- ストーリー性があれば、さらに理解を深めさせる
ことが挙げられる。だからより聞き手の印象に強く残りやすくなる。あなたのプレゼンは、ユーモアを所々に散りばめることで、いつまでも相手の心に深く残り、覚えてもらえるものになるだろう。
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さらに、基礎コースを終えた人には、実践コースも用意されている。定期的な間隔をおいて受講することで、学習者の進度状況を見ながら、その人に合ったコーチングが受けられ、ユーモア溢れたスピーチをしたい人にはこちらがおすすめだ。また、段階的にステップアップできるように違うテーマでも受けられる。かなり少人数なので、個人レッスンとほぼ変わらないクオリティだ。上級者には、個人コーチングも用意されている。
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