「言うべきこと」より「言いたいこと」で聞き手の心をつかむスピーチ 30代女性金融会社勤務

「どんな人がブレークスルーのウェビナー基礎コースを受講しているのか」という質問を最近よくいただく。本メディアの読者の方々も気になっているのだろうか、問い合わせをいただくことが多くなってきた。

そこで、今回は、本コース受講生の中から、30代女性の、石森さん(仮名)についてご紹介しよう。

30代女性・金融会社勤務:子育て中の石森さん(仮名)の場合

石森さんは、某金融機関にフルタイムで勤めていて、5歳の女の子の子育て中だ。ご主人と協力して忙しい毎日を過ごしている。日本生まれのニューヨーク育ち。ご主人とはロンドンで知り合い、同じ会社に勤務している。

受講経緯:

 石森さんは、ある日突然、社内研修の基調講演を頼まれた。彼女にとって基調講演なんて、別にスピーチが得意でもないのに、「なんで私?」と、とても信じられない出来事だった。その会社は、どうも社員のやりたいことをできるだけさせる方針らしく、特に石森さんは、その社内研修の言い出しっぺであったことが大きな理由だった。

石森さんとしては、最初はかなり戸惑ったが、とにかくやってみようと考えた。

受講理由:

失敗は許されない

 一度は決心したものの、やっぱり自信がない。かつて、スピーチクラブに通って勉強したこともあったが、友達作りの一環だったし、そんなに一生懸命やらなかった。でも、今回は遊びじゃない。基調講演を頼まれたのに、失敗してしまったら、後々のキャリアにも響くだろう。そこで、友達の友達から伝え聞いた「ブレイクスルーセミナー」基礎コースを受けてみようと決意した。

受講レポート

受講前と受講後で何が変わったか

スライドが劇的に変わった

私は、スピーチにはスライドが付き物なので、まず自分のスピーチにふさわしい写真は何かを考え、選びました。その結果、F1レースの写真が目に飛び込み、これをどうしても使いたいと強く思いました。その時は、まだ、なぜ自分がそれに無性に惹かれたのか、自分でもよく分かっていませんでしたが、それに関連した写真をいくつも集めて、F1の歴史もわかるようにしてみました。それらをすべて、一つのスライドに入れました。

ところが、「一つのスライドには一つのメッセージ」と講師が言うので、確かに見栄えもそのほうがいいな、と感じ、スライドの枚数は増えるけど、一つのスライドに一つの写真を入れ始め、全体を整理し始めました。そこで、ふと思いました。

「歴史の説明まで含めたら、研修会の基調講演ではなく、F1についての講演会になってしまう」

と。そこで、せっかく集めた写真たちでしたが、そのほとんどを使わないことにしました。

ポイントが明確になり、メインメッセージが変わった

一番使いたかった写真(下)は、「赤いレーシングカーを前にして、ユニフォームを着たチーム全員が写っているもの」でした。

F1レーシングチーム全員
多くの人間が関わり、チームワークがあるからこそレースができる

一台のレーシングカーを優勝させるために、こんなにも多くの人が関わっているのか!

ということを知って感動し、これは私たちの会社にも当てはまると思いました。

しかし、私が当初、この基調講演で「一番伝えたいこと、伝えるべきこと」は、

「多くのものをこの短期間で吸収して欲しい」

だと決めていたのです。でも、このメッセージとこの写真は、全然マッチしない。

つまり、写真からイメージされる言葉は、

「チーム」「チームワーク」「結束」「助け合い」

などです。もし、私が当初考えたメッセージを伝えたいなら

学習意欲、向上心、集中力、インスピレーション、

などをイメージさせる写真を選ぶべきです。F1の写真なんて、かなり遠いイメージです。ここで私は、迷ってしまいました。

「写真を変えるかメッセージを変えるか?」 

これを自問自答したけど、さっぱり分かりませんでした。そこで講師に相談すると、

「伝えるべきこと」ではなく、「伝えたいこと」は何か?

と聞かれました。これには、悶々としました。自分でも何を言いたいのか分からなくなっていたからです。頭の中が切り裂けるか、と思うまで悩み、写真を眺めながら、なんで自分はこれに惹かれたのかを自問自答し、初心に返って考えたところ、結局、自分が伝えたいことは、F1レースの写真が示すように「チームワーク」「助け合い」ではないか、と思い始めました。

 そして、当初考えたメッセージについて、じっくり考えたら、それは、

「会社はきっとこういうことをしてほしいのだろう」と忖度

した結果出てきたメッセージであって、私の正直な思いではないことに気づきました。そこで、このメッセージはあきらめることにしました。

自信がついた

 このことを通して、自分の思いを伝えた方が、「より感動を与えることができ、感動した社員が自発的に働いてくれた方が、より会社にも社員にも貢献できる」との気づきをもらえたこと。このことで自信がつきました。当初は、会社が喜ぶようなことばかりを考えていて、自分が全然見えてなかったのです。「自分の中のうちなる善意を信じてもいいのだ」と思うと、なんだか自信がみなぎるようになりました。

チームができた

 当初、一人で悩んでいたんですが、セミナーを受講することで、一人で悩んでいては何もできないと気づきました。それは、「聞き手があってこそ初めてスピーチが成立する」ということを学んだからです。この研修の準備チームだけでなく、自分の周りのいろんな人にアドバイスを求めた結果、周りの人が私を助けてくれるチームが自然と出来上がり、なんでも相談できるようになったのです。このおかげで、なんだか自分の生活自体も楽しいものに変わりました。

講義で面白かった点は?

いろんな事例を交えて、スピーチとは何かを紹介してくれたこと。上記のように、懇切丁寧に、混沌の中にいた私を引っ張り出して、導き出してくれたことです。

講義で難しかった点は?

 自分と向き合うこと。最初は、自分で一番何を話したいかが分かっていなかったんです。話すべきことは十分理解してましたが、それらが多すぎて、混乱していました。それは、頭の中を整理するという作業を避けてきた自分がいて、それを直視できていませんでした。

 この整理をする作業をした時、まさに「頭脳が破壊されるか」と思いました。いろんな感情が込み上げてきて、どうしていいか分からなかったんですが、講師とのやりとりの中でいくつものヒントが得られ、結論に達することができました。

この技術を使って実現したいこと

プレゼンの成功。今後も似たような機会があると思うので、どんどん生かしたいです。

講師の気づき

苦しいかもしれないが、自分と向き合うことが大切

 誰でも経験することだが、原稿の準備を始めた当初は、自分で自分の言いたいことが分からず、整理されていないものだが、大抵はそのまま準備を進めてしまう。その結果、何を言いたいのか分からない出来の悪いスピーチをしてしまう。

 しかし、講師のアドバイスを受けたり、なんらかの気づきを得て、言いたいことを整理し、一つに絞る作業を始めると変化が起きる。即ち、弊社で言うところの「ワンビッグメッセージを作るプロセス」を経験する。するとそれを通じて、次第に自分の言いたいことが明確になり、シンプルで理解しやすいスピーチを完成させることができるようになる。

 石森さんのすごいのは、アドバイスを受けた時に、それを素直に実行し、やり遂げたことだった。基調講演の原稿作成にあたり、ワンビッグメッセージを作る思考プロセスの段階で、脳に汗をかいて、一生懸命考え抜いた結果、勇気を持って、ワンビッグメッセージを変える決断をしたのだ。この決断により、彼女の気持ちとスピーチが一体化し、より優れた原稿が完成したのである。彼女の言葉をそのまま引用すると、それは「頭脳が破壊されるかと思った」そうだ。

 このような事例は、弊社の基礎コース受講者や、大規模イベントなどの準備のために受ける個人レッスンの受講者を見ていると、度々観察される現象である。

 石森さんの場合は、写真がきっかけとなった。彼女は無意識のうちにその写真を手にし、なぜ自分がそれを選んだのか、最初はうまく言語化できなかった。それは、彼女の頭の中で、すべきこと(言うべきこと)と、やりたいこと(言いたいこと)が一致していなかったからである。しかし、繰り返し自問自答し、自分と向き合うことで、気づきが得られ、言語化することに成功した。

 すなわち、その写真をきっかけにして、自分の中の違和感に気づいた結果、冷静に考えた「言うべきこと」を捨て、心から湧き起こる「言いたいこと」を中心に据えて、ワンビッグメッセージを構築し、さらにサポートメッセージを構成することができたのである。

■石森さんの事例を解説したワンビッグメッセージの作り方はこちら:

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会社の研修会での基調講演などの状況では、理性で考えた「言うべきこと」よりも、自分の心の底から湧き起こる「言いたいこと」を優先して伝えることで、社員の士気を上げ、一体感やチームワークを引き出すことができるだろう。その言いたいことを引き出すためには、自分と向き合う作業が必要だ。

折りたたみ椅子が並んでいる

他人の目からは明白だった熱い想い

 そもそも、なぜ基調講演のスピーカーとして石森さんが選ばれたのか。その理由は明白である。会社経営陣はおそらく、熱い想いを持った人がスピーカーであるべきだと考えたのだろう。その熱が社員全体に伝わり、やる気に満ちた組織になることを期待していたからであろう。だから、言うべきことではなく、言いたいことを選択した石森さんの決断は正解だったのである。なぜなら、言いたいことを語らなければ、熱い想いは伝わらないからである。

 確かに、基調講演の性質を考慮すると、「充実した時間を過ごして、集中してワークショップを受講して欲しい」というような優等生的な目的を述べた方が主旨にも叶うかもしれない。しかし、石森さんの想いはそこにはなく、別のところにあった。研修会というものは、学ぶことだけが目的ではない。部署を超えた交流や、職場を離れて普段の業務を見つめ直すなどの目的もあるのである。また、単純にその場を楽しんで欲しいという願いも決しておかしくはない。

 石森さんは、発起人として、自分の想いを正直に伝えることができた。だから、成功することができたのである。それは優等生的な発言ではなかったかもしれないが、石森さんの熱い想いが確実に伝わったスピーチだったと言える。

ウチに秘めた熱い想いを伝えよう 

 人は理性だけで動くものではなく、時に、熱い想いが組織を一つにし、成果を上げるのである。良いスピーチとは、人々の心に響き、いつまでも記憶されるものであり、そのためには、その人の熱い想いを伝えることが重要な要素である。特に、会社の研修会での基調講演などの状況では、その点が大切である。スピーチには様々な目的があり、その時々の目的を考慮し、それに応じた内容を適切な姿勢·態度で話すことが基本である。

 聞く人の胸にいつまでも残るスピーチを作るためには、どのようにすべきか。その一つの秘訣は、「多くの内容を詰め込みすぎずに、一つに絞る」という鉄則である。だが、この点こそが、スピーチ初心者が難しいと感じるところであり、ブレイクスルー·ウェビナー基礎コースの受講者たちが苦しむ点でもある。しかも、この点は基礎コースの中心的なコンセプトであり、ここを乗り越えれば、誰でも素晴らしいスピーカーになれる、非常に重要な通過点である。

 石森さんの例からも分かるように、言いたいことを絞り込むことで、スピーチの説得力が増す。言語化が難しい感情や想いも、自分と向き合い、繰り返し考えることで、言葉にできるようになる。その結果、言いたいことが明確になり、一貫性のあるスピーチが完成するのである。言うべきことよりも、言いたいことを大切にし、熱い想いを伝えることが、心に残るスピーチを作る秘訣である。

 スピーチにおいては、その目的を明確にし、適切な内容と姿勢·態度で伝えることが基本であるが、何よりも大切なのは、その人自身の熱い想いを伝えることである。特に、会社の研修会での基調講演などの状況では、熱い想いを伝えることが、組織の一体感や成果に繋がる。石森さんの場合も、自分の言いたいことを大切にし、心からの想いを伝えることで、成功を収めることができたのである。

 このような説得力を持ったスピーチを作るためには、まず自分自身の想いや言いたいことを明確にし、それに基づいてワンビッグメッセージを構築することが重要である。そして、多くの内容を詰め込まず、一つに絞ることで、分かりやすく心に響くスピーチが完成するのである。石森さんの成功例を参考にし、自分の熱い想いを伝えるスピーチを作成することができれば、人々の心に残るスピーカーとなることができるだろう。

さらに詳しく:スピーチの準備とスライドの作成方法についての記事はこちら:

スピーチの準備の仕方

会社の研修会での基調講演などの状況では、理性で考えた「言うべきこと」よりも、自分の心の底から湧き起こる「言いたいこと」を優先して伝えることで、社員の士気を上げ、一体感やチームワークを引き出すことができるだろう。その言いたいことを引き出すためには、自分と向き合う作業が必要だ。

会場のマイク

スライド作りの基本

スライド作りの基本的な要点については、以下の記事に詳しいので参考にされたい。

会社の研修会での基調講演などの状況では、理性で考えた「言うべきこと」よりも、自分の心の底から湧き起こる「言いたいこと」を優先して伝えることで、社員の士気を上げ、一体感やチームワークを引き出すことができるだろう。その言いたいことを引き出すためには、自分と向き合う作業が必要だ。

オンラインで授業を受ける男性

実例を交えての実践的なスライド作りの解説

会社の研修会での基調講演などの状況では、理性で考えた「言うべきこと」よりも、自分の心の底から湧き起こる「言いたいこと」を優先して伝えることで、社員の士気を上げ、一体感やチームワークを引き出すことができるだろう。その言いたいことを引き出すためには、自分と向き合う作業が必要だ。

会社の研修会での基調講演などの状況では、理性で考えた「言うべきこと」よりも、自分の心の底から湧き起こる「言いたいこと」を優先して伝えることで、社員の士気を上げ、一体感やチームワークを引き出すことができるだろう。その言いたいことを引き出すためには、自分と向き合う作業が必要だ。

スライド事例

ワンビッグメッセージについて、スピーチ準備の仕方について深く詳しく学ぶならこちら:

会社の研修会での基調講演などの状況では、理性で考えた「言うべきこと」よりも、自分の心の底から湧き起こる「言いたいこと」を優先して伝えることで、社員の士気を上げ、一体感やチームワークを引き出すことができるだろう。その言いたいことを引き出すためには、自分と向き合う作業が必要だ。

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