スピーチ初心者向け:誰でもできるユーモアの準備。ネタ帳の作り方

 スピーチで笑いを取ろう、と考えているあなた。ユーモアあふれるプレゼンに感心し、自分もああなりたいとお考えだろうか。

 ユーモアをスピーチに取り入れるメリットはたくさんある。だから、スピーチの準備段階でそれを考えてみよう。そうすれば、きっとあなたの話は印象的で、終わった後もいつまでも人の記憶に残り、人々に楽しい話題を提供できるだろう。

 今回は、どうやって面白い話のアイディアを見つけてくるか、そのための具体的な準備をどうするかを一緒に考察していこう。

ユーモアは自分で考えなくてもいい

 ユーモアは誰でもつくることができる。しかし、プロでない限り、自分の頭で汗をかいて考えても、面白い話はなかなか創作できるものではない。ではどうするか?

 借りてくればいいのだ。そして、自分のスピーチに組み込む。その方が数倍楽だし、効果的だ。それは、プロでもやっていること(もちろん引用元は明確にする必要はある)。

 ユーモアというのは、それ自体が目的ではなく、あなたのスピーチをより魅力的にする手段なのだ。あなたのオリジナルの漫談や笑い話を創作できれば、もちろんぜひやっていただきたい。しかし、それには、結構なエネルギーと時間がかかる。

 だから、あなたらしい自然な笑いが取れるように、本や映画など、他のリソースからそれを借りてきて記録し、独自のユーモアファイルを作る。これがいわゆるネタ帳と呼ばれるものだ。その中からいくつかを選んで、あなたのプレゼンに採用すればいいのだ。

自分で作れる唯一のユーモア素材

では、どうやって他のリソースから借りてくるかを考える前に、お伝えしたいのは、簡単に自分でも考えられるユーモア素材が、すごく身近にあることだ。それは、自分の失敗談だ。それらは、ぜひ覚えておいてメモしておこう。

 だが、失敗談をわざわざ人に公表するのは、いかがなものかとお感じになるかもしれない。しかし、それはあなたの単なる思い違いだ。例えば、想像して欲しい。あなたは、自慢話をしている人と、自分の失敗談を語ってくれる人のどちらに好感を抱くだろうか。もちろん後者だろう。

 成功談というのは、とかく自慢話になりやすい。それに、「あなたは優秀だからできたんでしょ?!」と捉えられて真剣に聞いてもらいないこともある。一方で、失敗談は、同じ目線で語られるので親しみが持て、共感されやすい。それに自分に対する一つの教訓を明確化することにもなり、謙虚さを忘れない自分になれる。

 だから勇気を出して、失敗談を積極的に披露しよう。あなたの人気は急上昇し、メッセージは人々の胸に刺さることは間違いない。

面白い話のリソース

さて、どうやって他のリソースから借りてくるかに話を戻そう。面白い話のネタは、意外とあなたの身の回りにたくさん転がっている。

  1. ニュースレター、インターネット
  2. 雑誌・新聞
  3. ラジオ、テレビ、映画、講演など
  4. 日常生活

1、本  

 これは、お笑いのネタ本だとか、落語集などが販売されている。

2、ニュースレター(定期購読)、インターネット

 ネットを検索すると、アメリカなら、英語でたくさんのサイトがジョーク集を掲載している。これを定期購読できる。自分で面白いと思った話や、うまく話せそうな話、覚えられそうな話があれば、そこから拾ってくればいい。もちろん日本語でも、検索すると色々出てくる。

3、雑誌・新聞

 雑誌のお笑い特集や、新聞に小咄などが載っているを見たことはないだろうか。発見したら切り抜いておくと良いだろう。4コマ漫画でも、自分で面白いと思ったものは、ユーモアファイルに加えておきたい。

4、ラジオ、テレビ、映画、講演など

 自分が思わず笑ってしまった話・エピソードなどはないだろうか。見終えたら、すぐにメモっておこう。

5、日常生活

 家族(特に無垢な子供)や友達が、変な行動や、違和感のある言葉をしゃべっていないだろうか? また、公共の場、バス、電車、仕事場、お店などの公共の場で何か面白いことに遭遇したことはないだろうか。こういうネタは、オリジナリティが高いし、親近性も高いので、聞き手はあなたにも親近感を抱くだろう。

もし、自分で面白い、と思ったら、その場でメモを取る習慣をつけよう。

自分だけのユーモアファイルをつくる!

 お笑い芸人さんたちは、必ずやっているといわれるネタ帳づくり。私たちのスピーカー仲間でも、いつもユーモアたっぷりなスピーチで、聴衆を笑わせている人達は、必ずこういうユーモアファイルを持っている。

ネタ帳にメモする時、もしくは、自分の失敗談を記録する時は、

  • 「いつ(When)」、
  • 「どこで(Where)」、
  • 「誰が(Who)」、
  • 「何を」(What)」、
  • 「どのようにした(How)」

が分かるようにメモしておこう。

 ネタ帳は、いつも持ち歩き、面白いと思った事柄や話題などを、書き留めておくのがいい。ネタ帳は、いつも使っているスケジュール帳などとは別にした方がいい。もし一緒にするなら、独立したセクションを作るなどの工夫をするのがおすすめ。

 しかし、面白い場面に遭遇した時、ネタ帳を持っていない場合もあるだろう。そんな時は、スマホに入れておけばいい。独立した「笑いネタ」用のメモフォルダを作っておいて、そこに溜めていく。もしくは、ボイスメモで残しておくといいだろう。紙のノートを用意する代わりに、最初から全部スマホに入れておいても便利だ。

面白いものではなく違和感に注目

 ネタ探しのコツは、特に日常生活から探す場合、面白いものを見つけようとするとなかなか見つからないものだ。そうではなく、「ちょっとした違和感」「なんとなく不自然な状況」を意識すると見つかりやすくなる。

 たとえば、イタリアンレストランなのに、お寿司のメニューがあったり、真冬なのにTシャツと短パンを着た人を見たら、それをメモるようにするのだ。そういう違和感をアレンジして、ストーリーに組み込めば笑いが起きる。

独自のユーモアファイルからネタを拾い、組み合わせる

映画や日常生活から拾った違和感や、ネタを組み合わせて、発展させ、ユーモアあふれる話に変えられたら、かなりオリジナリティの高い話になる。これができれば、聞き手の心を開かせることに成功し、ライバルに差もつけられる。

しかし、ここで注意したのは、ユーモアは手段ということ。人を笑わせるのが目的ではない。あなたの一番言いたいポイントを引き立たせ、より理解を深めてもらうための道具にすぎない。だから、話と関係のないネタを披露してはいけない。

「面白い話」ではなく、「魅力的な話」を創造するためのユーモアなので、そのネタ自体がどんなに面白くても、あなたのメッセージと関連しないものは採用せず、思い切って捨てるようにしよう。

 ここまで準備ができれば万全だ。あとはスピーチの構成を考えて、ファイルから拾ってきたユーモアを散りばめれば、きっとあなたのスピーチは魅力的で、聞く人を飽きさせないものに変わるだろう。

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