“信元夏代のスピーチ術” 編集長、プロフェッショナルスピーカーの 信元です。
2024年、私は日本人として初めてCSP®(Certified Speaking Professional®)を取得しました。CSP®は、全米プロスピーカー協会(National Speakers Association/NSA)が認定する、世界で最も権威あるプロスピーカーの称号です。全世界でも約400名しか存在せず、アジア人女性ではほんの一握り。スピーキング業界では「アカデミー賞」とも称されるこの資格を、なぜ私が目指したのか、そして取得までにどのような道のりがあったのかをお伝えします。
この記事の内容
この記事でわかること
- CSP®(Certified Speaking Professional®)とは何か、その定義と権威
- CSP®の取得要件(数字で見る具体的な基準)
- 「講演家」と「プロフェッショナルスピーカー」の違い
- 私がCSP®を目指した理由と、取得までの道のり
- よくいただく質問(FAQ)
CSP®とは何か——まず定義から
CSP®(Certified Speaking Professional®)とは、全米プロスピーカー協会(NSA)が認定する、プロスピーカーとしての卓越性を証明する国際資格です。
1980年に創設されたこの称号は、スピーキングを職業とするプロフェッショナルの中でも、とくに厳しい基準をクリアした者だけに与えられます。現在、全世界の保有者は約400名(2024年CSP取得時点)。アメリカを中心に、カナダ、オーストラリア、ヨーロッパなどのプロスピーカーが名を連ねています。
CSP®が特別な理由は、「コースを受講すれば取得できる」資格ではないことです。長年にわたる実績・収益・顧客満足度・専門性の総合評価によって審査されます。つまり、「何を学んだか」ではなく「何を積み上げてきたか」が問われる資格なのです。

CSP®の取得要件——数字で見る厳しい基準
CSP®の取得には、以下の要件を全て満たす必要があります。
- 250回以上の有料登壇実績**(申請前の5年間~10年間)
- スピーキング単体による、年間$50,000以上の収入
- 40分の登壇動画(編集無し)審査
- 20人の顧客からの評価・推薦状の提出
- 専門分野における知識・実績の証明
- NSAへの継続的な関与と倫理基準の遵守
これらの要件は、「どれだけ多くの人の前で話してきたか」「その結果、聞き手にどんな変化をもたらしてきたか」を問うものです。
私の場合、ニューヨークを拠点に全米各地の企業・国際会議・団体に登壇し、異文化チームコミュニケーションを専門とした基調講演を積み重ねてきました。250回という数字は、ある日突然クリアできるものではありません。毎年、毎月、一回一回の登壇を積み上げた結果として初めて到達できる数字です。
「講演家」と「プロフェッショナルスピーカー」——何が違うのか
CSP®を語る上で、まずこの違いを明確にしておく必要があります。
講演家は、専門的な経験や知識をわかりやすく語る人です。聞き手に有益な情報を届けることが中心的な役割です。
プロフェッショナルスピーカーは、それだけでは足りません。専門的な知見を伝えるだけでなく、聞き手に「変化」を起こすことを使命とします。つまり、専門家(Expert)であり、ソートリーダー(Thought Leader)であり、パフォーマー(Performer)でもある存在です。
私は、異文化チームコミュニケーション戦略を専門分野とし、「文化の違いをパフォーマンスの障壁ではなく、強みに変える」という独自の視点(ソートリーダーシップ)を、基調講演という形でパフォーマンスとして届けています。
プロフェッショナルスピーカーにとってスピーチは、「情報を伝えるツール」ではありません。「聞き手の心を動かし、行動を変える設計された体験」です。だからこそ、そのレベルの仕事を認定する資格として、CSP®は存在するのです。
私がCSP®を目指した理由——純ジャパとして積み重ねてきたものを世界標準で証明したかった
私がCSP®の取得を決めたのは、単なる肩書き欲しさではありません。
私はこれまで、複数のスピーチコーチやメンターから学び、世界最高峰のプロスピーカー養成機関であるHeroic Public Speakingでもプロスピーカーとしての研鑽を積んできました。ニューヨーク州スピーチ大会5連覇、TEDxへの登壇、全米プロスピーカー協会ニューヨーク支部初のアジア人理事就任——これらは全て、「世界標準のスピーキング」を徹底的に追求してきた結果です。
でも、積み上げてきたものを「世界が認める基準」で客観的に証明したい、特に、純ジャパでもここまでできるというチャレンジをしたい、という思いが常にありました。
日本では「プロスピーカー」という職業自体がまだ根づいていません。「話がうまい人」「講演をよくしている人」と「プロフェッショナルスピーカー」の違いが、まだ社会に広く認識されていないのです。
だからこそ、CSP®という世界基準の証明が必要だと感じていました。自分自身のためであり、「純日本人でも世界標準のプロスピーカーが存在する」ということを示すためでもありました。
そして2024年、CSP®を取得しました。日本人として初めてです。そして2026年現在、日本人はもちろん、ノンネイティブのアジア人も、まだ一人だけです。
CSP®取得を通じて見えてきたこと——「何を積み上げてきたか」が全て
CSP®の審査プロセスで最も問われるのは、実は「実績の数」だけではありません。
「あなたは何者で、何のために話しているのか」
つまり、スピーカーとしてのパーパスが問われるのです。
どんな専門分野で、どんな聞き手に、どんな変化をもたらしてきたか。その一貫性と深さが、審査の核心にあります。
私の場合、「異文化の違いを強みに変える」というメッセージは、ニューヨークに渡った20代の頃から一貫しています。英語語彙力が「8歳児レベル」と測定された状態から、英語でプロスピーカーとして活動できるまでになった自分自身の経験が、このメッセージの土台です。
CSP®を通じて改めて確認したことがあります。スピーチの力は、「うまく話すこと」にあるのではなく、「その人にしか語れないメッセージを、積み重ねた実力で届けること」にある、ということです。
これは、私がブレイクスルーメソッドで一貫して伝えてきたことと、まったく同じです。
よくいただく質問(FAQ)
Q. CSP®は日本語で登壇する日本人でも取得できますか?
A. 厳密にいうと、できます。ただし、NSAの基準は英語圏での活動を前提としている部分があるため、日本語のみで活動しているスピーカーにはハードルが高くなります。日本語でも、提出要件の一つである動画のスクリプトを全て英訳すれば、要件を満たせる可能性があります。
Q. TEDに登壇していればCSP®を取得できますか?
A. TEDに登壇しただけではCSP®の審査基準を満たせません。CSP®は、プロフェッショナルスピーカーとして、スピーキング・ビジネスを継続的に成り立たせていること、が最低ラインの条件です。TEDには、一部、プロフェッショナルスピーカーが登壇することもありますが、ほとんどのTED登壇者は、プロフェッショナルスピーカーではありません。TED登壇者は全て無償で登壇しますが、プロフェッショナルスピーカーは、自分の専門分野に関して有償で登壇し、「職業として」活動しているというのが定義です。従って、CSP®は、プロフェッショナルスピーカーという職業を持続的に成功させている人物のみに与えられる称号です。
Q. 日本のスピーカーにCSP®は必要ですか?
A. 全員に必要かというと、そうではありません。でも、グローバルな場で活動したい、あるいは「世界基準で自分の実力にお墨付きが欲しい」という方には、目指す価値のある称号です。また、CSP®の基準(250回の有料登壇・顧客評価・専門性の一貫性)を意識するだけでも、プロスピーカーとしての成長の方向性が明確になります。
Q. 信元さんはCSP®取得のためにどんな準備をしましたか?
A. 長年の登壇実績の積み上げはもちろん、複数のスピーチコーチやメンターから学び、Heroic Public Speakingでプロスピーカーとしての研鑽を積みました。また、CSP®取得者から直接話を聞き、審査の本質を理解することを大切にしました。そしてプロスピーカーになってからは毎週、Heroic Public Speakingの仲間たちとアカウンタビリティー・ミーティングを行い、スキル維持・更なる向上を心がけています。準備とは、申請直前に始めるものではなく、スピーカーとしてのキャリア全体が準備だと実感しています。
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CSP®は、コースを受講すれば取れる資格ではありません。250回以上の有料登壇、一定の収益実績、顧客評価、専門性の一貫性——これらを最低5年以上かけて積み上げた者だけが申請資格を持ちます。全世界で約400名。日本人初の取得者として、私はこの称号が「スピーキングを職業として極めること」の価値を体現するものだと感じています。
そしてCSP®の審査を通じて改めて確認したことは、スピーチで人を動かすのは「話し方の技術」ではなく、「その人にしか語れないOne BIG Message®と、それを届けるために積み上げてきた実力」だということです。
CSP®とは、「積み上げてきた人生」を世界が認める証明です。
これからプロスピーカーを目指す方にとっても、ビジネスの場でスピーチ・プレゼンを磨きたい方にとっても、「何のために話すのか」「どんなOne BIG Message®を持っているのか」という問いは共通しています。その問いに向き合い続けることが、スピーチ力を本質的に高める唯一の道です。
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私は現在、企業や国際会議などで、**1回1時間の基調講演につき275万円(約1万8000ドル)**というフィーがスタンダードフィーです。なぜそれを実現することができているのか。今回は、そんな私の「スピーキング技術の裏側」と、「高額報酬の理由」について綴っていきます。
私が世界で初めて、日本人としてCSP®(Certified Speaking Professional)に認定されてから、1年が経ちました。 最近、”プロフェッショナルスピーカー”ってどういう職業ですか?と尋ねられることも多くなりました。 そもそもプロフェッショナルスピーカーとは?講演家とはどう違うの?そしてCSP®とは?分かりやすく解説します。
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