「どんな人がブレークスルーのウェビナー基礎コースを受講しているのか」という質問を最近よく受けるようになった。本メディアをご覧の方の中にも気になっている方が多く、よく問い合わせをいただいている。
そこで、今回は、本コース受講生の中から、NPO団体の経営者、星さん(仮名・女性)についてご紹介しよう。
ウェビナー基礎コースの受講メリットについては、以下で解説しているので、併せて読んでみてほしい。
ブレイクスルー基礎講座を通して学んだことは、日本人らしさ・奥ゆかしさ・謙虚さを残しながら積極的な自己アピールをするコツだ。一見、自分で自分の良い点などを披露する「自己アピール」と謙虚さは正反対のように思える。しかし、相手目線の内容やスピーチの目的をはっきりさせることでその課題を乗り越えることができる
NPO経営:星さん(仮名・女性)の場合
星さんは、アメリカで高齢者支援団体の経営を任されている。主に日本人の米国移住者が対象で、日本語のサポートが必要な人たちに法的な手続きのアドバイスから始まって、イベントの開催、介護施設の斡旋などを行っている。
受講経緯:
大勢の人の前でスピーチする機会も多く、今までなかなかうまくできずに内心焦っていた。そもそもスピーチのやり方など学習したこともなく、どうしたものかと思案している時に、信元講師の噂を聞き、本格的に学んでみようと決意した。
受講理由:
スピーチとは何かを学習するのはもちろん、サポート会員を増やしたり、寄付金を募ったりする時に、どんなふうに話したら効果的なのか、を念頭にセミナーに臨んだ。
受講レポート
受講前と受講後で何が変わったか?
「スピーチとは、自分の中にある情報をいかに伝えるか」というものだとばかり思っていた。しかし、「相手の中にどう情報を整理して伝えるか」、つまり、聞く人の立場に立って、その人の気持ちを想像しながら、自分が相手に対して何ができるのか、をベースにして、スピーチを練り上げていくことが大切だと分かった。
また、スピーチ・コミュニケーションにおける日米の文化の違いがあることをはっきりと知ることができたことは大きかった。以前から違いについては分かっていたが、具体的にどのようにコミュニケーション・スピーチに影響するのかが曖昧だった。今後は、特に相手がアメリカ人の場合、誤解がないようにコミュニケーションをとっていきたい。
講義で面白かった点は?
最後の週に、実際の世界スピーチコンテストでの優勝者のビデオを見て、具体的なイメージを持てたことがとても良かった。
講義で難しかった点は?
実際に、自分のスピーチを考える作業があったが、その時、「自分のスピーチを聞くことで、相手にどんなメリットを与えられるか」を考え出すのが難しかった。しかし、講師のサポートのおかげで、なんとなくコツが分かった。最初は、社会に貢献している自分たちの活動を自分で表現するのが恥ずかしく、自己満足的で、自慢の域を超えないのでは、という懸念があった。しかし、卑下するのではなく、正確に説明していくことが重要だと思い、自分にも自分たちの活動にも自信がついた。
この技術を使って実現したいことは?
今後、寄付金を募るときに、積極的に活用していきたい。今までは相手の立場をよく考えないで、自分の考えを押し付けるようなスピーチや案内文を書いていたが、それを修正したい。
講師の気づき:
日本人特有の奥ゆかしさを残しながら自己アピールをする
星さんは、ご自身が立派な社会貢献をされているにもかかわらず、その社会的意義を自分自身で十分認識できずにいた。また、寄付をしてくれる人たち、活動を支えるボランティアの人たちに対して、実際に対面で会う時は、彼らの気持ちを汲んでうまく寄り添うことができていても、それをうまくスピーチに反映できなかった。それは日本人特有の奥ゆかしさだったのかもしれない。
私自身、自分のやっている活動を、いかにも「すごいでしょ?!」というような雰囲気で表現することには抵抗を感じる。しかし、アメリカにおいては、自己アピールを積極的にすることは決して恥ずかしいことではない。一見、矛盾するような行為、
- 日本:自分のことは控えめに表現する習慣
- アメリカ:自分のことを大袈裟に表現する習慣
この狭間に立って、悩むことが多かった。どういう表現をするのが適切なのか、自分らしいスピーチをするにはどうするのか…。
しかし、長年アメリカに滞在した結果、アメリカ人でも似たような悩みを持っている人がいることに気づいた。アメリカ人特有の「明らかにオーバーだ」と思えるような表現の仕方を苦々しく思っている人もいるのだ。彼らの中には、日本人である私に対して「あれがアメリカのスタンダードだと思ってほしくない」と語る人もいた。
彼らは、自分なりにその問題を乗り越え、工夫をして、とても謙虚なのだが、相手の心に響くスピーチをしていた。私もあのようなスピーカーになりたいと思い、どのようにすべきなのかを細かく観察した。
その結果、以下のポイントが大切だと思うようになった。
- 聞き手中心目線
- ワンビックメッセージを明確にする
- スピーチ自体の目的を明確にする
1、聞き手中心目線
・「聞き手は誰か」
表現は控えめで謙虚であっても、内容が、聞き手の興味に沿っていれば、どんなものでも受け入れてもらえる。
だから、聞き手はどんな人たちかをあらかじめ把握した方がいい。それによってメッセージの内容が変わる。自分の中の曖昧なものが明確になる。
例えば、聴衆に問いかけをするにしても、聞き手の年齢層なり、性格なりの背景・考え方などがわかっていないと、的外れな質問に終始してしまう。的外れな質問を繰り返すと、聞き手は混乱し、自分とは関係のない話、と捉えてしまうだろう。
もちろん、あらゆる層を意識したやり方もある。しかし、まだ慣れないうちは、聞き手層を絞ってやった方が、よりあなたのメッセージが明確になり、相手に伝わりやすくなる。
また、言葉が対象を絞ることもあるので注意が必要だ。例えば「大器晩成」という言葉を聞いた時、「自分に対して発っせられた言葉だ」と感じるのは比較的若い世代の人であり、もしあなたの聴衆に年配の人が多いのであれば、この言葉を使って彼らの胸を打つことは難しいだろう。つまり、ターゲットによって選ぶ言葉を変えなくてはいけないのだ。
もし、寄付をしたいと考えている潜在的なニーズに応えたいなら、寄付をしたい人の気持ち、立場に立てば、自然と言葉が浮かんでくる。もし自分一人で考えられなければ、実際に、誰か支援者を捕まえて色々とインタビューをしてみるといいだろう。
・「聞き手にとってどんなメリットがあるのか」
このことを明確にイメージしてスピーチを準備することで、あなたのメッセージが自然と相手の心に響くスピーチができるようになる。
聞き手のメリットを考えないスピーチだと、相手が置き去りにされてしまい、自分の言いたいことだけを言って自分だけ清々している状態になってしまい、その結果あなたのスピーチが自慢話に聞こえてしまうのだ。社会貢献活動の説明をするに当たって、自慢話はいただけない。
その社会貢献活動が、どのようないい影響を社会に、個人に与えているのかを具体的に詳しく客観的に表現すれば良い。
もし、ストーリーをたくさん紹介するなら、そのストーリーを聞いて、聞き手はどんなメリットがあるのか? を明確にしよう。例えば、もしあなたが失敗談(ex; 「とある高齢者の想いとは裏腹に自分はこんなことをしてしまった…」のような)を披露すると決めたら、そのメリットとは、それを聴衆が聞くことで、共感を得られ、あなたに対して親しみを感じ「高齢者の問題は決して他人事ではない」と感じ、自分の知らない世界が垣間見られ、見識が広がることだろう。
だったら、あなたはそのメリットを意識して、「今の高齢者の問題は明日のあなただ」というようなメッセージを明確に言葉に出して伝えると、より相手の胸に刺さるスピーチができる。そのことによって「なぜそのストーリーを紹介したのか」というポイントが浮かび上がり、よりストーリーの魅力が引き出されるのだ。
2、ワンビックメッセージを明確にする
その浮かび上がったポイントを、明確なワンビックメッセージにして各所に盛り込むとよりメッセージ性が出て、さらに良くなるはずだ。
「ワンビッグメッセージ」とは、自分の一番伝えたい内容であり、それを短く的確な言葉でまとめたものを、私たちブレイクスルーメソッドではそう呼んでいる。日本語なら20語以内、英語なら、10 words で言い表すことを目標にすることが成功の秘訣だ。
例えば、上記の例のような場合、「今の高齢者の問題は明日のあなただ」をワンビックメッセージにして、オープニングやクロージングに散りばめる。そして、それに関連するストーリー・失敗談を3つくらいに絞って紹介すると、あえて、自己アピール性の強いような、普段使い慣れない表現を使わなくても、あなたの強い想いが伝わることになる。
3、スピーチの目的は何か
スピーチの目的を明確にするために、普段のおしゃべりとスピーチの違いを考えてみたい。それはすでにお気づきかもしれないが、スピーチにはなんらかの目的があるということだ。だからスピーチには構成があり、何らかのメッセージがあるものだ。
では、スピーチの目的とはなんだろう?
一般的に大きくまとめて、5つある。PAINTと呼ばれ、
- P(persuasion):相手を説得したい
- A(action):相手に行動を起こしてもらいたい
- I(inspire):相手を啓発したい
- N(notification):相手に告知したい
- T(think):相手に考察・内省してもらいたい
自分がスピーチを通して達成したい目的は、何か? これを常に意識しながらスピーチを準備することで、
- メッセージ性が強化され、
- 「何が言いたいのか分からない」という聞き手の困惑を避ける
ことができる。
また、この目的次第で、構成や使う言葉が変わってくる。例えば、クロージングの言葉は、
- 行動喚起が目的なら、行動の呼びかけ
- 啓発が目的なら、なんらかの励まし、引用句の紹介
という感じに変わる。
だから、自分のスピーチの目的が何か? を明確にし、常にそこに立ち返ってスピーチ原稿を書くことが必要になる。そのことで、謙虚な表現を使ったとしても相手に伝わるスピーチが可能になる。
ブレイクスルー基礎講座を通して学んだことは、日本人らしさ・奥ゆかしさ・謙虚さを残しながら積極的な自己アピールをするコツだ。一見、自分で自分の良い点などを披露する「自己アピール」と謙虚さは正反対のように思える。しかし、相手目線の内容やスピーチの目的をはっきりさせることでその課題を乗り越えることができる
グローバルに活躍するには英語力ではなくスピーチ力の養成を!
一つのスピーチには一つのメッセージしか言ってはいけない
どんなに英語力があっても、ダラダラと言いたいことばかりを述べるだけでは、誰も聞いてくれない。内容を詰め込み過ぎてしまうと、自分が伝えたいことが伝わらない。だから、一つのスピーチには、一つのメッセージ、一つの目的を原則にして準備する必要がある。
しかし中には、たくさん情報を与えた方が、相手にたくさんの選択肢や、判断材料を与えることになるから、その方が親切だと考える人がいる。
だが、一部の人を除き、一般の聴衆はあまり情報が多すぎると、判断がつかなくなり、逆に、あなたが何を言いたいのか分からなくなってしまうのだ。結果、聞いた後、何も残らなくなり、あなたのスピーチの目的が達成されなくなってしまう。
中心となるメッセージを一つに絞るには訓練が必要
だから、何を言うべきか、何を言わないべきか、あらかじめ整理しておく必要がある。相手のニーズに合わせて、同時に、自分の言いたいことを整理し、明確にすることが重要になる。中心となる自分の目的は何か? メッセージは何か? それを研ぎ澄ますことが一番大切だ。この整理がされていないと、聞き手は、困惑するだけだ。
この整理作業そのものには最初は時間がかかるし、ある程度、訓練が必要である。特に、過去にそれを習慣化してこなかった人には、今までの癖を直さなくてはいけないので、適切な訓練とそれを習慣化できるようなセミナーなどの受講をお勧めしたい。
グローバルで活躍しようと思うと「まず英語を!」と思うかもしれない。しかし、英語を頑張るより、上記のように自分の内なるもの(メッセージや目的)を明確にする作業を習得する方が先決だ。つまり、それがそのままスピーチ力の向上を意味する。
スピーチ・プレゼン?と聞くと、中には、「関係ない」と思う方もあるかもしれない。しかし、基礎コースで教えているのは、聞き手の性質や文化の違いを理解した上で、効果的な表現手法(言語・非言語両方)を臨機応変に用い、伝え、動かす為の知識と具体的な手法だ。例えば、ワンビックメッセージを意識したスピーチ作りを訓練することが手法の一つ。このことで、言語の壁を超えて、分かりやすい、誰にでも受け入れやすい、誤解を生じさせないコミュニケーションを生み出せる。
あなたがグローバル市場に出た時、最も顕著に表れるのが、異文化間における誤解といった、コミュニケーション上の課題だ。そのコミュニケーションの問題を解決するには、スピーチ作りのコツ、スピーチ力を磨くことが助けになる。グローバル人材に必要な知識と具体的なメソッドを習得し、スムーズに伸ばし成長していくのに、ブレークスルーのウェビナー基礎コースが、大いに役に立つだろう。
■併せて読みたい
ウェビナー基礎コースの受講メリットについては、以下の記事でご紹介しているので、気になる方はこちらも併せて読んでいただくと、より理解が深まるのでおすすめだ。
ブレイクスルー基礎講座を通して学んだことは、日本人らしさ・奥ゆかしさ・謙虚さを残しながら積極的な自己アピールをするコツだ。一見、自分で自分の良い点などを披露する「自己アピール」と謙虚さは正反対のように思える。しかし、相手目線の内容やスピーチの目的をはっきりさせることでその課題を乗り越えることができる