第四回:印象に残るオープニングとクロージング

”信元夏代のスピーチ術” 編集長、プロフェッショナルスピーカーの 信元です。

前回の「第三回:スピーチ構成の前にすべきこと 」では、プレゼンや会議含むスピーチで重要なのは「準備」であるとご紹介しました。今回は、印象に残るオープニングとクロージングについてご紹介します。人前で話す場合、皆さんつかみや締めについて考えると思います。ご紹介する手法を活用することで、質の高いスピーチとなります。

こんなオープニングは要注意

皆さんはスピーチを始める際、どんなことを話しているでしょうか?

「今日はお集まりいただきありがとうございます」
「主催くださった〇〇さま、ありがとうございます」
「まずはわが社の概要からご説明いたします」

…こんなオープニングをしていたら、要注意です。

オープニングの基本「7秒-30秒ルール」

聞き手は最初の7秒で相手の印象を決め、30秒で興味があるか判断する

聞き手は、7秒で話し手の印象を決め、30秒で、話し手の話に興味があるかどうかを判断する、といわれています。

これをブレイクスルーメソッドでは、「7秒ー30秒ルール」と呼んでいます。第一印象と第二印象、と呼んでも良いかもしれません。つまり、7秒でインパクトのある第一印象を与えて興味を引き、30秒で心をつかむことが、スピーチ全体の成功を大きく左右するわけです。

「ストーリーで始める」オープニング手法

オープニングで、「この人の話をもっと聞きたい」と思わせるために、ブレイクスルースピーキングのウェビナー基礎コースでは、7種類のオープニング方法を教えていますが、その中で私が良く使う手法は、「ストーリーで始める」という手法です。

例えば企業研修を行う際、初日の冒頭です。もちろん、セミナー講師としての信頼性が得られるように自己紹介も入れなければならないのですが、

例えば普通に、

「おはようございます。私の名前は夏代です。まず自己紹介をさせてください。」
“Good morning everyone. My name is Natsuyo. Let me go over my background.”

としても受講者側は、「上司に出ろといわれた研修だから来たけど。。。」という気持ちから抜けきれないことでしょう。その代わりに、私は次のような感じで最初の7秒をオープンします。

「遡ること2014年の3月、御社の阿部社長と私は、アイリッシュバーで偶然隣り合わせになりました。」
“I wanna bring you back to March 2014, I was sitting next to Mr. Abe, the president of your company, at an Irish bar.”

そして、残りの30秒で、こう続けます。

「社長と私は毎年恒例の早稲田大学の卒業生イベントを大成功で終えた直後で、様々な話題で盛り上がっていました。すると彼は私にこう尋ねたんです。『あなたのことは数年前から知っていますが、何をされているのか知りません。ダンスをやっていることは知っていますが、どういった仕事をされているんですか?』と。・・・」

“We had just finished the annual Waseda University Alumni event with great success. We were casually talking about many things, but then he said to me, ´I’ve known you for a few years now, but I don’t know what you do. I know you dance. But what do you do for work?’ ….”

このように、説明ではなく、ストーリーの中の会話としてさらっと私のバックグラウンドを伝えると同時に信頼性をそれとなくアピールするのです。

自身のバックグラウンドに加え、社長とこうやって話ができる関係だ、ということを説明ではなく、「ストーリー」の中でほのめかせることで、講師の立場としての私の信頼性もそれとなくアピールできます。更にその先のストーリーでは、なぜ社長が、私にこの研修を依頼しようと思ったか、その経緯や社長の意図、会社としての企業目標・ゴールなどもさらっと「ストーリー」の一部として話してしまいます。

多くの参加者は、「あー仕事が忙しいのに、研修に参加している時間があれば仕事片付けたいなあ」と思っているでしょうが、そんな「無駄な」研修が、

いきなり、

「うちの社長とアイリッシュバーで隣り合わせ」

というストーリーから始まったら、注目しますよね。

そしてクロージングも同様です。

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オープニングで相手の心を引きつけさえすれば、あとは中身の問題。オープニングでは、結論から話すように心がけよう。誠実さを持って話せばきっとあなたの優秀な技術や開発力、アイディアは正当な評価を受けるだろう。

技術革新は変化をもたらす

 印象に残るクロージング手法「行動喚起」

ビジネスでおすすめの「行動喚起」

サインドイッチも、中身がおいしくとも、それを挟む美味しいパンが両側にないと、全体として美味しいサンドイッチにはなりません。せっかく最初に美味しいパンを使い、中身も美味しくしたのに、反対側のパンがぱさぱさでは、サンドイッチ丸ごと残してしまいたくなります。

ブレークスルースピーキングでは、クロージングで、しっかりメッセージを記憶に焼き付け、良い印象をもって締めるために、6つのクロージング手法をご紹介します。

その中で、ビジネスならお勧めしたいのは、「行動喚起」です。

ビジネスでは必ず、何らかの目的があるはずです。次のミーティングにつなげたり、その場での購入につなげたり…そんなネクストステップを明確に示してあげるためには、スピーチの最後にしっかりと「行動喚起」をしてあげることです。

「行動喚起」は1つに絞る、印象に残るクロージングのポイント。

ただし、聞き手に喚起する「行動」は、一つに絞りましょう。

もし、

「この後、展示会のブース123番で、商品デモを行いますので是非いらしてください。ウェブからは、次のイベントの登録ができます。ご興味ある方は是非ウェブをご覧ください。そして来月から販売開始する新商品のカタログは、会場の出口でスタッフが配布しております。このセミナーのアンケートをご提出されながら、是非カタログもお手に取ってください。」

などと沢山のネクストステップを提示してしまうと、人は、どれもやらなくなってしまうものです。

ですから、ネクストステップは一つに絞ってあげましょう。

まとめ

  • スピーチはあいさつで始めない、「7秒ー30秒ルール」と「ストーリーで始める」オープニング手法で聞き手の心をつかむ
  • 印象に残るクロージングのポイントは、メッセージを焼き付けいい印象で終えること。
  • クロージング手法は「行動喚起」がおすすめ。ネクストステップは沢山提示せず1つに絞る。
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