【全3回シリーズ:スピーチ、プレゼンはマーケティング戦略と同じプロセス】第2回-「相手を知る」から始めよう

「信元夏代のスピーチ術」編集長 信元です。

「相手を知る」ことから始める

例えばマーケティング戦略設計のために、調査を実施すると考えてみましょう。

商品を売りたい相手は誰なのか、どんな風に分析していくでしょうか?

30代女性、未婚者、都内在住、フルタイム勤務、のように、デモグラフィックスによって聴衆をセグメンテーションすることは第一ステップかもしれません。

でも人間はもっと複雑なものです。

同じ30代女性、未婚者、都内在住、フルタイム勤務の人でも、A子さんは料理に興味があって寿退職を心待ちにしている、でもB子さんは株式投資が大好きで、将来はトレーダーとして活躍したい、と考えているかもしれません。

趣味嗜好がこんなに違うA子さんとB子さんに同じものを同じタイミングで売ることは難しいはずです。

相手と密接につながるには、デモグラフィックスよりもっと深いところで聞き手と結びつかなければいけません。

マーケティング調査では、顧客市場についてよく知ると同時に、売りたい商品が提供する価値はなんなのか、相手にとってその商品を使うとどんな良いことがあるのか。商品の提供価値について顧客視点で差別化要素を分析していくはずです。

聞き手ひとりひとりが大切にしているものを見つけ出す

これはスピーチの際も同じことです。

スピーカーとしてのあなたの役割は、聞き手にとってのメンター、またはガイド的役割です。

相手がそれまで知らなかった知識を身につけたり、その知識を成功に向けて活用するスキルや明確なネクストステップを備えて会場を後にしてもらって、初めてメンターとしての務めを果たした、といえます。

時間をかけて、聞き手の生き方を分析してみると、貴重なヒントが浮かびあがるはずです。

まず、聞き手はどんな人たちが集まっているのか。

彼らはすでにどんな知識を持っているでしょうか?
どんな価値観を持っているでしょうか?
どんなモノ・コト・ヒトに影響を受けやすいでしょうか?

彼らが持つ興味、課題、問題を引き出してみましょう。

あなたと繋がるかどうかを決めるのはあくまで聞き手です。それを左右するのは個人の価値観です。
まず、聞き手ひとりひとりが大切にしているものを見つけ出すことが大切です。

聞き手とつながる「共通の基盤」

次に、スピーカーとしての自分自身の役割や経験、ナレッジなどを観察してみましょう。

あなたはメンターとして、聞き手に何を与えられるのでしょうか?
聞き手がネクストステップに踏み出せるよう、どのようにして自信を持たせ、背中を押してあげることができるでしょうか?
そのトピックについて話すべきなのは、なぜ他の誰でもなく、あなたなのでしょうか?

最後に、聞き手とスピーカーとの間に、どんな共通の基盤があるのかを見つけ出しましょう。

この共通の基盤を増やすことができれば、聞き手は、すぐにあなたと繋がってくれることでしょう。

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