ピンチがチャンスに変わる管理職のマネジメント:悩みから抜け出すスキルとは

後輩指導にお悩みではないだろうか。会社の意向や方針を伝えても、現場の部下はやる気が出なかったり、部署間の調整を試みても、どっちも納得しなくて板挟み。そもそも最近の人材不足は深刻だ。現場のリソース不足から来る不満は絶えることがない。

そこで今回は、管理職としての悩みを解決するためのマネジメントスキル向上について、具体的な方法を説明したい。特に、マネジメントスキル向上の10のステップの中から、特に重要なコミュニケーションスキルを取り上げ、具体的な悩みに対する解決策のご提案はもとより、いかにそのスキルを磨くかについて詳しく解説したいと思う。

管理職の大きな悩みとは?

 管理職、中でも中間管理職の悩みは、なんといっても「板挟み」( 『中間管理職がつらい瞬間と疲れた場合の対処法』ビズヒッツ社 による)ではないだろうか。例えば、会社の方針と現場の微妙な空気の違いからくる板挟み。いつも対立の狭間にハマってしまい、どうしていいかわからなくなってしまう。

 それだけではない。どこの会社でもあるのだが、営業サイドと製造サイドの対立。その調整役を押し付けられてしまう。これはもう、どうにも収まらない。根本的な、マーケットインとプロダクトアウトの発想の違いでもあるからだ。

 さらに、部下と上司の対立・行き違いもある。上司が部下の気持ちがわからないことも大きい悩みだ。世代のギャップのせい? 時間をとって話を聞いたつもりだったが、関係がこじれて、辞められてしまった、というご経験はないだろうか。

 しかし、ピンチはチャンス。どんな時でもじっくり落ち着いて、しっかりと向き合えば、乗り越えていくことができるはずだ。そこには自分自身の成長もあるだろう。それは確かに辛い経験でもある。しかし、そこを乗り越えることによって、悩みは単なる悩みでなくなり、成長できる機会になっていく。つまり対立関係を上手く解決できれば、問題はなくなり、部下の気持ちをより深く理解できるようにもなり、自分にとっても、周りにとっても、組織にとってもより大きく成長できるチャンスと変わっていく可能性があるのだ。

 そこで試されるのが、あなたのマネジメント能力だ。あなたの能力が優れていれば、問題をチャンスと変えることができる。でもその能力は、努力すれば、誰でも磨けるものだ。先に挙げた、会社の方針と現場の空気の違い、営業サイドと製造サイドの対立、部下と上司のすれ違いなどに対しても、解決策は、あなたがスキルを磨けるか磨けないかにかかっている。(具体的な解決策のご提案は後述)

 では、マネジメントとは何か、マネジメントスキルにはどんなものがあり、どうスキルアップさせればいいのかを次に見ていこう。

マネジメントとは?

そもそもマネジメントとは何だろうか。マネジメントと管理はどう違うのだろうか。

 マネジメントとは、成果を出すプロセスだ。組織の目標達成に向けて、人々やリソースを効果的に組織し、指導し、調整すること。組織のビジョンとミッションを達成するための戦略を立案したり、それを実行するための計画を作成したり、人々を動員し、リソースを配分し、進行状況を監視し、必要に応じて調整する役割を果たす。

 例えば、製品開発チームのマネージャーだったら、新しい製品の開発と市場投入のための戦略をチームとして立案しまとめる。これには、製品の概念を定義し、市場調査を行い、製品の設計と製造のためのリソースを配分し、開発プロセスを監視し、問題が発生した場合には適切な対策を講じることが含まれるだろう。

 また、マネージャーは、チームメンバーのパフォーマンスを評価し、フィードバックを提供しやる気を喚起する。さらに、各メンバーにトレーニングと開発の機会を提供することにより、チーム全体の能力を向上させる役割も果たす。その結果として、組織の目標をクリアできる。

マネジメントと管理の違い

 しかしながら、管理職という名前の影響もあるのか、マネジメントではなく、管理にとらわれてしまう管理職が多いのではないか。何を隠そう私もそうだった。マネジメントと管理は、組織の運営において重要な役割を果たすが、その焦点と範囲には明確な違いがある。

 マネジメントは、組織全体のビジョンと目標に焦点を当て、それらを達成するための戦略を立案し、実行する。組織の長期的な成功を目指し、変化と成長を導く役割を果たす。例えば、企業のCEO(最高経営責任者)は、企業のビジョンを設定し、そのビジョンを達成するための戦略を立案し、その実行を監督する。これには、新しい市場への進出、新製品の開発、企業の成長と拡大に向けた投資などが含まれる。

 一方、管理は、日々の業務の運営と効率性に焦点を当てる。管理は、プロセスをスムーズに運営し、タスクを完了し、リソースを最適に利用するための具体的な手段と方法を提供する。例えば、製造部門のスーパーバイザー(係長・主任)は、生産ラインのスケジュールを作成し、従業員のシフトを調整し、品質管理を監督し、生産目標が達成されるようにする。

 私は、この違いがしばらくわからなかった。大きなビジョンを示すべきところを日々の狭い視点にだけとらわれてしまっていた。だから、チームを混乱させてしまったことがよくあった。これらの違いを理解することは、組織が効果的に機能し、その目標を達成するために重要だ。マネジメントと管理は、それぞれ異なる視点とスキルが必要だが、両方とも組織の成功にとって不可欠だ。

 まとめると、マネジメントとは、全体的、長期的な視点に立って、人々やリソースを効果的に組織し、指導し、調整するプロセスのこと。一方、管理は、より具体的なタスクに焦点を当て、日々の業務をスムーズに運営するためのプロセス。管理はマネジメントの一部であり、マネジメントはより広範で戦略的な視点を持つと言える。

マネジメント力がある人ない人

 では、自分はマネジメントができる能力、スキルがあるのだろうか、と不安になる人もあるかもしれない。

ピーター・F・ドラッカーは「マネジメントとは組織に成果を上げさせるための道具であり、機能であり、機関である」と定義した。

 マネジメント力とは、経営や組織管理に必要な能力であり、組織の目標達成に向けて、人やリソースを効果的に活用する能力を指す。マネジメント力が及ぶのは、自分が責任を持っている範囲全体であり、目標・目的達成のために、必要な要素を適切に分析・管理する能力、それを活かして集団活動を維持・促進する能力がマネジメント力である。

 マネジメント力の高い人は、「マルチタスクで仕事ができること」「物事をよく観察して本質を見抜けること」「人を動かせること」の3点が特徴である。一方、マネジメント力が低い人によく見受けられるのは、「マルチタスクが苦手」「洞察力に乏しく自分の物差しで考えがち」「リーダーシップが発揮できない」ということ。マネジメント力が低いと、部下の適性を見極めることができず、持ち味も活かせない。しかし、これは努力によって改善できる。

マネジメント力を高めるには?

マネジメント力を向上させるための方法論としては、以下のステップを踏むことが有効だと思われる。

1. 自分の弱みを知り、現状の分析力と問題解決能力の向上させる

 まず、自分の弱点を理解することが重要。自己評価を行い、周りの人からフィードバックを求めることで、自分が改善すべきエリアを特定できる。

 もし、現在プロジェクトなどを抱えているとしたら、それは、現状を分析し、問題解決能力を高める格好の材料になる。そのために、次のステップを試みて欲しい。

  1. 自分の立場だけでなく他の立場からも物事を見ることで、新たな視点を得る。
  2. さらに、現実に捉われない広い視野。夢を語るように長期的な戦略を立てる
  3. 夢の実現に向け、方法を具体的に計画していくにはどうするかを考える。
  4. 夢を実現させるうえでの問題点やリスクを考える。マイナス面にも目を向け、それを解決することによって夢を現実に近づけられる。

上記のステップは、何かの計画を立てたり考える時の礎になるので、そういう機会があるときは、これを活用してみよう。

2. 教育とトレーニングの機会を活かす

 マネジメントスキルは、教育とトレーニングを通じて向上させられる。マネジメント研修やワークショップに参加したり、またはビジネススクールで学んだり、一般のスピーチ、コミュニケーション教室などで学習することを検討するとよいだろう。

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ビーチで空手の型を練習する男性

3. メンターシップをお願いする

 経験豊富なマネージャーやリーダーから学ぶことは、マネジメント力を向上させるための強力な手段だ。彼らから具体的なアドバイスやフィードバックを得ることで、自分のスキルを磨くことができる。メンターに定期的にフィードバックを求め、それを反映して改善することは、マネジメント力を向上させるための重要なステップだ。さらに、部下や同僚からのフィードバックは、自己認識を深め、自分の行動を改善するための貴重な情報源となる。

4. 何でも実践してみる

 マネジメントスキルは、実際の経験を通じて最も効果的に学ぶことができる。新しいプロジェクトを引き受ける、新しいチームをリードするなど、自分を挑戦的な状況に置くことで、スキルを実践的に向上させることができる。失敗を恐れずに、何でもチャレンジしてみよう。

5. コミュニケーションスキルやコーチングスキルを試してみる

効果的なコミュニケーションを行い、他人を導く能力を強化するために、次の方法を試してみよう。

  • ペーシング:相手をよく観察し会話のペースを合わせる
  • 非言語コミュニケーション:ジェスチャーや表情など、言語以外によるコミュニケーションを意識して、工夫してみる。
  • 相手を認める:相手の存在を認め、思いを尊重し受け止めること

普段からこれらを意識しながら話せば、コミュニケーションスキルやコーチングスキルの向上につながるだろう。

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沈黙:言ってはいけないのしぐさ

 

これらの5つのステップを通じて、マネジメント力が低い人でも、時間と努力をかけることで力を向上させることができる。

では、次に、マネジメントを成功させるための必要なスキルを紹介しよう。

効果的なマネジメントを支える10のスキル

あなたのマネジメントを成功させるためには、以下のようなスキルが支えとなる。

  1.  コミュニケーションスキル:効果的なコミュニケーションはマネジメントの中心。これには、情報を明確に伝えることと、効果的に聞くことの両方が含まれる。
  2.  リーダーシップスキル:良いマネージャーは、チームを刺激し、指導する能力が必要で、これには強力なリーダーシップスキルが必要だ。
  3.  意思決定スキル:マネージャーはしばしば難しい決定を下さなければならないため、意思決定スキルを向上させることは有益だ。
  4.  委任スキル:改善のための一般的な領域は、効果的に委任することを学ぶこと。これには、チームに責任を信頼することが含まれる。
  5.  時間管理:マネージャーはしばしば複数のタスクと責任を同時にこなさないといけないため、時間管理は重要なスキルだ。
  6.  もめごと解決:どの職場でも対立が発生する可能性があり、マネージャーはそれを公平で生産的な方法で解決する能力が必要だ。
  7.  パフォーマンス管理:これには、明確な期待値を設定し、定期的なフィードバックを提供し、パフォーマンスレビューを処理することが含まれる。
  8.  変化対応管理:マネージャーは、小さなプロセスの変更から大規模な組織のシフトまで、チームを時々の変化を通じて、成長させ導く能力が必要だ。
  9.  戦略的思考:マネージャーは、チームと組織全体の未来の方向について戦略的に考える能力が必要だ。
  10.  共感能力:これには、自分自身の感情を理解し、管理すること、およびチームメンバーの感情に共感し、それに対応する能力が含まれる。

 これらのスキルをすべて完璧にできる人など望みうべくもなく、誰もが改善できる領域を持っているものだ。そして、最高のリーダー、マネージャーとは、常に学び、成長しようとする人々だ。マネジメントスキルは一生涯の学習プロセスであり、絶えず自己反省し、新しいアプローチを試し、他人からフィードバックを受け入れることにより、マネージャーは自分自身とチームの成功を最大化することができるはずだ。

 さて、上記のマネジメントスキルについて一つ一つ詳しく解説していきたいが、今回は、最初のコミュニケーションスキルについて掘り下げてみたい。なぜなら、冒頭に紹介した「対立関係を解消する」という悩みは、つまるところ、コミュニケーションスキルの不足によるところが大きいからだ。どういうことか。それを次から詳しくみてみよう。

🔸②のリーダーシップについて、さらに詳しい記事はこちら;

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ガッツポーズの若い女性

コミュニケーションスキルとは

 コミュニケーションスキルとは、情報を明確に伝え、他人からの情報を理解し、適切に反応する能力を指す。これは、話す、聞く、書く、読むといった基本的なスキルだけでなく、ボディランゲージ、視覚的コミュニケーション(グラフやチャートの読み取りなど)、そして感情的な知覚(他人の感情を理解し、適切に反応する能力)も含む。

 マネジメントにおいてコミュニケーションスキルがなぜ大切なのだろうか。

 まず、マネージャーは組織のビジョンと目標をチームに伝えなくてはならない。これには、目標を明確に説明し、それがチームの日々の業務にどのように関連するかを示す能力が必要だ。また、マネージャーは、フィードバックを提供し、指示を与え、問題を解決するために、効果的なコミュニケーションを行う必要がある。

 例えば、マネージャーは、新しいプロジェクトの目標をチームに明確に伝え、その進行状況を定期的に確認し、問題が発生した場合には解決策を提案する必要がある。といっても、何も全て自分でやる必要はない。優秀なリーダーは、人に頼ること、任せることを知っている(④の委任スキル)。だから、例えば、問題を解決したい時は、チームに問題を投げかけ解決策をチーム全員で考えることも時には必要だろう。そのためには、話し合いを円滑に行うコミュニケーション能力(ファシリテーション)が必要になってくる。

コミュニケーションが欠けると起きる問題

 もしマネージャーがコミュニケーションスキルを欠いていると、以下のような問題が生じることが考えられる。

  1. 目標の不明瞭性:マネージャーが明確にコミュニケーションを取れないと、チームメンバーは何をすべきか、どのように行動すべきか、方向性を失ってしまう。これは混乱を招き、生産性を低下させ、組織の目標達成を妨げてしまうかもしれない。
  2.  従業員のモラル低下:コミュニケーションが不十分または不適切だと、従業員は無視されているか、または理解されていないと感じてしまうことがある。これは従業員のやる気を低下させ、離職率を高める可能性も出てくる。
  3.  問題の拡大:マネージャーが問題を適切に伝え、解決するためのコミュニケーションを取らないと、小さな問題が大きな問題にエスカレートする可能性がある。
  4.  意思決定の遅れ:マネージャーが情報を適切に伝えないと、チームメンバーは必要な情報を得られず、意思決定が遅れる場合も出てくる。

 このように、マネージャーがコミュニケーションスキルを向上させることは、組織の効率、生産性、従業員の満足度を向上させるために大切なことなのだ。

 また、逆に、以上の4点の問題を認識したら、コミュニケーション不足を疑ってみると解決の糸口を見つけられるかもしれない。

コミュニケーションで板挟みを解消

 冒頭で示したような、いわゆる「板挟み」の問題、例えば、会社の方針と現場の空気の違い、営業サイドと製造サイドの対立、部下と上司のすれ違いなどは、ほとんどコミュニケーションを円滑にすれば、解決の糸口がつかめることが多いと思う。

問題1:会社の方針と現場の空気の違いをどう埋めるか

 上層部からの指示と現場の現実との間でバランスを取ることは難しいかもしれないが、解決の糸口をつかむには、以下のコミュニケーションを中心としたアプローチが役立つかもしれない。

1. 双方の意見をまずよく聞き言語化

 まず第一に、両方のパーティーとのコミュニケーションを強化することが大切だ。上層部からの指示を理解し、それを現場に明確に伝えることが必要だ。同時に、現場の問題や懸念を理解し、それを上層部に伝えることも重要だ。実際の私の経験からも言えることだが、互いに文句を言っているだけで、何が問題なのかが顕在化されていない。なので、よく話を聞いて、ポイントを整理し、それを言語化するだけで、コミュニケーションが図られ、問題が解決する方向へ流れることはよくある。

2. 上層部との交渉

 もし、リソースが不足しているなら、追加のリソースを確保するために上層部と交渉しなくてはならず、これも一種のコミュニケーションだ。これには、リソースの不足が組織の目標達成にどのように影響するかを明確に説明することが肝心だ。

3. 現場の声を尊重

 先ほどの現場の声を上に伝えることの他にも、現場の意見や提案を真剣に考慮しているという態度を管理職が示すことが重要。これにより、現場のメンバーは自分たちの意見が尊重されていると感じ、態度を変化させ、より積極的に問題解決に参加する可能性が出てくる。

これらのアプローチを通じて、中間管理職は上層部と現場との間のギャップを埋め、組織の目標達成に向けて全員を一緒に働かせることができるだろう。

問題2:営業と製造の対立を健全な対話に変える

 営業と製造の間での対立は、多くの組織で見られる問題だ。これらの部門は、しばしば異なる目標と優先順位を持ち、これが対立を引き起こす原因となっている。しかし、これらの部門は組織の成功のためには互いに依存しており、そのためには協力が不可欠であることは間違いない。以下に、この問題を改善するためのいくつかのアプローチを、コミュニケーションの視点を中心に考えてみたい。

1. 共通の目標を設定し、常に確認

 営業と製造の間に共通の目標を設定することで、両部門が協力して働くインセンティブを作ることができる。これは、全体の組織の目標に対する両部門の貢献を明確にし、互いの成功が全体の成功につながることを理解させることができる。

2. 直接・間接コミュニケーションを強化

 両部門間のコミュニケーションを強化することで、互いの視点を理解し、共感することができる。これには、定期的なミーティングや、両部門が一緒に働くプロジェクトを設定することも考えられる。実際に見た例では、新人教育として両部門を必ず経験することを義務づけ、それをきっかけにして部下同士が交流を始め、それが自然に上司に伝わっていった会社もある。

3. 互いの役割と貢献を認識、率直な意見交換

 営業と製造が互いの役割と貢献を認識し、尊重することで、互いに対する理解と尊重が深まる。これは、研修の一環として、両部門が互いの業務を見学、マネし合うことを試みたり、互いの成功を称えたりすることで達成できる。

 また、言い合いになってもいいので、建設的な話し合いを持つことも大切だ。お互い何も言わずに陰口を叩くより、思っていることをぶちまけて話し合う方がより健全な関係になる。ポイントは、対立を恐れず、腹を割って話し合うことが大切だと思う。そうすると空気の通りが良くなるので、一時的には険悪な雰囲気になっても結果的には、組織として発展する方向に向かう事例は多い。このことは一般的にも観察できるし、当講座の多くの受講者からもそういう声をよく耳にした。

🔸相手に対する率直な意見の言い方・フィードバックとは何かについてはこちらがオススメ;

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会議で説明する経営者

4. 問題解決のための共同作業

 問題が発生した場合、両部門が一緒になって問題解決に取り組むことで、協力の精神を育てられる。これには、問題解決のための共同ワークショップや、クロス機能チームを設定することが考えられる。

問題3:部下とのすれ違い:相手の気持ちに立ってよくヒアリングする

 部下と上司の行き違いや思い違いを解決するためには、コミュニケーションの改善が鍵となる。その一例として、次の事例を見てほしい。

 管理職S氏は昇進後、新たなチームを任され、部下のKさんの育成に悩むこととなった。Kさんは「言われた仕事だけやる」「できるだけ仕事はやりたくない」人とS氏の目には写った。S氏はKさんに対して優しくしたり、厳しくしたり、役割を明確にしたりと、様々なアプローチを試みたが、Kさんの態度は一向に変わらなかった。

コミュニケーションの鉄則:相手を変えることはできない。自分がまず変わること

 その後、S氏は部下育成研修を受講し、その中で「私が変わることが先決。Kさんともう一度きちんと話す」という気づきを得た。そして、しばらくしてからのフォローセッションで、成果を報告した。

「『言われた仕事だけやる。できるだけ仕事はやりたくない』というのは、私の決めつけでした。よく聞いてみると、彼は、失敗して怒られたり、恥をかいたりすることを恐れていただけでした。そこで、『失敗しても怒らないから、何かあったら相談してください。私からも声をかけますね』と話したことにより、仕事に対して前向きになれ、今は、別人のように生き生きと仕事をしています」

と語った。

 この事例から、

  • 相手を責める心を改め、
  • 対話をもう一度やり直し、
  • 自分の対応を変えることで、
  • 相手が変わり、
  • 部下が責任感を持って仕事に取り組むようになり、
  • 上司もそれを支援する

という状況が生まれたことがわかる。

 これらのコミュニケーションを中心としたアプローチを通じて、会社の人間関係の対立やすれ違いを和らげ、協力的な関係を築くことができると思う。これは、組織全体の生産性と効率を向上させ、全体の成功につながるはずだ。

コミュニケーションスキルを向上させるための具体的方法

 コミュニケーションスキルを向上させるための具体的な方法は、次のようなことが考えられる。

1. アクティブリスニングを練習する

 これは、話し手の言葉だけでなく、その背後の意図や感情を理解するためのリスニングスキルであり、受け身的ではなく、積極的に聞くのでアクティブリスニングと呼ばれる。アクティブリスニングを行うときは、ただ呆然と聞くのではなく、話し手が話している間は、静かに聞き、理解を確認するための質問をしたり、話し手のポイントを要約することが求められる。

2. 明確かつ簡潔に伝える練習をする

 情報を伝えるときは、必要な情報だけを提供し、それを理解しやすい言葉で伝えることが重要だ。これには、ジャーゴン(専門用語)や複雑な言葉を避け、ポイントを明確に伝えるための具体的な例を使用することが含まれる。これを鍛えるには、自分を客観的に見ることが必要なので、他人からのフィードバックが必ずいる。そのためには、スピーチ教室に通ったり、コミュニケーションセミナーなどを受け、コーチを雇ったりすることが効果的だが、自分一人でやるしかない場合は、自分の話を録音するなどの方法を試してみると良いだろう。

🔸明確かつ簡潔に伝えるにはコツがある

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いろんな世代が集まるミーティング

3. フィードバックを求める

 自分のコミュニケーションスキルを評価するためには、他人からのフィードバックが必要。これには、自分のメッセージがどのように受け取られたか、どの部分が理解されなかったか、どのように改善できるかを尋ねることが含まれる。フィードバックについては、既に紹介した別の記事も参照されたい。

4. コミュニケーションスキルのトレーニングを受ける

 ワークショップやセミナー、オンラインコースなどを通じて、コミュニケーションスキルを磨くことができる。これらのプログラムは、効果的なコミュニケーションのテクニックを教えてくれ、それを実践する機会を提供してくれる。

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これらの方法を通じて、マネージャーは自分のコミュニケーションスキルを向上させ、チームとの関係を強化し、組織の目標達成に貢献することができるだろう。

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管理職の悩みをマネジメント、特にコミュニケーションスキルの向上で解決

 管理職が直面する悩みとその解決策について述べてきたが、管理職の主な悩みは、いわゆる「板挟み」であり、例えば、会社の方針と現場の空気の違い、営業サイドと製造サイドの対立、部下と上司のすれ違いなどで、これらはすべてコミュニケーションスキルの不足から生じると指摘した。

 したがって、これらの問題は、マネジメントスキルを向上させることで解決可能であり、その中でも特にコミュニケーションスキルの向上が重要なのだ。具体的には、アクティブリスニングの練習、明確かつ簡潔に伝える練習、フィードバックを求める、コミュニケーションスキルのトレーニングを受けるなどの方法を提案させていただいた。

 管理職が直面する悩みは、マネジメントスキル、特にコミュニケーションスキルを向上させることで解決でき、そのためには具体的な練習やトレーニングが必要で、スピーチ教室などもそのトレーニングの一つとして検討するのもいいと思う。マネジメントスキルがあがれば、あなたも明るい職場環境を築くことが容易になって、仕事効率も上がり、ますます充実した生活を送ることができるだろう。

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