海外とのオンライン商談で相手を動かす~日本人が陥りやすい5つのパターンと改善方法

「信元夏代のスピーチ術」編集長 信元です。

新型コロナ感染拡大の影響を受けて、これまで海外の展示会に出展していた日本企業も、オンライン商談を行う機会が急増しています。オンラインによる商談では、言葉の壁があるだけでなく、対面以上に海外バイヤー等へ意図が伝わりづらいため、プレゼンの仕方にも対面とは異なるコツが必要です。JETROも、農林水産物・食品輸出に関するオンライン商談を中心に、海外バイヤーとのオンライン商談で気を付けたいポイントを発表しています。

■参考(PDF):『海外バイヤーとのオンライン商談のポイント』ーJETROより

商談は、相手を動かしてなんぼ、です。

そこで本日のコラムでは、プロフェッショナルスピーカーの視点から、海外とのオンライン商談で、相手を動かすための5つのコツを皆さんとシェアしたいと思います。オンライン商談で英語プレゼンをすることになり、勝手がわからず困っている方も、オンライン英語プレゼンを一度失敗したことがある方も、オンラインならではの英語プレゼンのコツを知って、直近の商談で相手を動かしてみましょう。

オンラインとリアルでのプレゼンの3つの違い

オンラインとリアルでのプレゼンの違いは大きく分けて3つあります。

  1. 聞き手の環境
  2. コンテンツの見せ方
  3. デリバリーの仕方(話し方)

聞き手の環境

まず、オンラインの環境の大きな違いは、「聞き手の気が散りやすい」環境にある、という点です。

リアルの場では、周りの目もありますから、聞き手が露骨に他のことをしながら参加したり途中立席したりすることは控えることでしょう。ところがオンラインの場合、「ながら」参加が可能です。カメラをオフにしておけば、登壇者や他の参加者に知られることなく、他のことができてしまいます。かかってきた電話に出たり、気になったことをネットサーチしたり、メールをチェックしたり、コーヒーを取りに行ったり…このように、気が散りやすい環境の中で、動きの少ない小さな画面を長時間見続け、じっと座っている、というのは誰にとっても至難の業です。

ですからオンラインでのプレゼンは、そもそも聞き手がプレゼンに集中しにくく、プレゼン内容をしっかり聞いてもらえない環境にある、ということを心得、集中せざるを得ない仕掛けを戦略的に組み込んでいくことが必要です。その仕掛けとは、「無変化からの脱出」です。下記「コンテンツの見せ方」でご説明していきます。

コンテンツの見せ方

リアルでもオンラインでも、コンテンツそのものには変わりはありませんが、コンテンツの見せ方、つまり、プレゼン資料の作り方において、オンラインの場合、工夫が必要です。

リアルの場合、聞き手とアイコンタクトをしっかり取りながらインターアクティブに対話をしたり、彼らを絡めてアクティビティーを行ったり、というように、体験の場を提供することが可能なため、コミュニケーションに色々な変化を持たせることができます。

一方、オンラインではリアルと異なり、聞き手はコンピューターの前に座って見ているだけ、という一方通行型になりがちです。

話し手の最大の敵は「無変化」と言われます。これは特にオンラインプレゼンの際に気を付けたいことです。この「無変化」から脱出するためには、次の3つのポイントを意識しながらコンテンツを見せることが大切です。

ポイント① ワンスライド、ワンメッセージ

プレゼンの際、同じスライドが静止画のようにずっと映ったままで話を続けると、「無変化」の状態が起こってしまいます。パワーポイント1枚に情報をたくさん盛り込んで同じスライドの説明に時間を費やすのではなく、ワンスライドにつき、ワンメッセージ、を徹底し、1枚のスライドで見せる情報量を極力削ぎ落としましょう。お手本にしたいのは、やはり、Apple社のプレゼンです。キーワードだけ、イメージ画像だけ、というように、メッセージも、視覚的にも、徹底的に削ぎ落とされたスライドは、聞き手に伝わりやすくなります。

ポイント② スライドと言語メッセージを連動させる

パワーポイント上で、アニメーションなどを使いながら、箇条書きを一つずつ見せていくのも、「無変化」から脱出する良い方法です。ただしここで気を付けたいのは、話し手が発している言語メッセージと、アニメーションで出てくるパワポ上の情報が、ぴったりと一致している必要がある、ということです。

人は、視覚情報と聴覚情報を同時に取り入れることは困難です。スライドに情報が並んでいると、視覚情報が買ってしまい、聞き手は話し手の話を聴く前に、まず先までつい読んでしまうものです。つまり、スライドが切り替わった瞬間に、スライド上の情報をまず読もうとするため、情報が多すぎると話し手の話は100%耳から入ってこない状態になります。よって、ポイント①で述べた通り、ワンスライドワンメッセージ、が大切なのですが、箇条書きのような場合、最初から全部見せてしまうと、話し手はまだ最初のポイントを話しているのに、聞き手は最後の箇条書きまですでに読んでしまっていて、話し手の話が追い付いたころには聞き手は、「もう分かってるよ」、と、重複感を感じてしまいます。

また、同じスライドを出したまま、話し手はつい熱がこもって話が派生してしまい、スライドに映っている内容と話している内容が異なっている、という場面も良く遭遇します。そうすると、視覚的情報と、聴覚情報のズレが起こり、ここでもまた、伝わりにくくなります。

したがって、スライドを使う際は、視覚情報(スライド上の情報)と、聴覚情報(話し手が語る言語メッセージ)が、ピッタリと一致しながら連動しているようにコンテンツを見せていくこと、を心がけましょう。

ポイント③ 時にはスライドを消す場面を作る

プレゼンとなると、どうしてもスライドに頼りたくなりがちですが、スライドはあくまで、話し手のメッセージを効果的に引き立て、メッセージを強化するための補助にすぎません。

時には、スライドを消して、話し手だけが画面に映る場面を作っても良いでしょう。例えば、メッセージを強調するためにストーリーを語っているときなど、スライドは逆に邪魔になります。スライドは消し、話し手だけが映る状態を作り、ストーリーを語り終わって再度メッセージを印象付ける際に、そのメッセージを効果的に示すスライドを映す。そのような工夫をすることで、Zoom上の話し手がスライドの隣の小さな箱の中に閉じ込められたわき役、ような状態からも脱することができます。

デリバリーの仕方(話し方)

リアルとオンラインのデリバリーの仕方の一番の違いは、目線です。

リアルなら、聞き手と目線を合わせることは当たり前のことなのですが、オンラインで聞き手と目線を合わせようとすると、「スクリーンに映った聞き手の顔を見ながら話す」という状態になり、自分は目線が合っているつもりでも、聞き手側のスクリーン上では、話し手のあなたの目線は下に落ちてしまっている状態となります。例えば、対面で1対1で話をしているのに、相手が自分の胸元あたりをずっと見たまま話をしてくる、と想像してみてください。これでは話し手に対して良い印象は持てませんよね?信頼すら失ってしまうかもしれません。

オンラインならではの制限を、逆手に取ってみましょう。オンラインでの聞き手側の環境は、リアルと異なり、隣に座っている他の観客はいません。だからこそ、1対1で「自分だけに語り掛けてくれている!」という演出をすることがリアルよりも可能なのです。

その秘訣は、ずばり、「カメラ目線」を徹底することです。

とはいえ、アナウンサーならともかく、一般の私たちにとっては、カメラを直視しながら話し続ける、というのは慣れておらず、想像以上に苦労するのが実情です。

そこでオススメの方法が、カメラの真後ろに、ポストイットなど、何かマークを付けておいたり、あるいは、相手の顔が表示されたワイプを、PCカメラの真下に設定して、そこに目線を合わせて相手に語りかけるようにプレゼンすることです。

対英語圏の人と、対日本人とのプレゼンの違い

コンテクストの違いで伝わりにくくなる

日本人同士でも、立場やバックグラウンドが異なれば価値観も大きく異なり、意思疎通が簡単ではないケースも多々あります。ましてや異文化の人々と意思疎通を図ることはそう簡単ではありません。

「同じ人間なんだから根っこは一緒」と思うかもしれませんが、グローバルビジネスに携わっていると、根っこは意外と一緒ではないのだな、と思わされることも少なくありません文化の違いは、価値観の違い、コミュニケーションや考え方の違いなどに大きく影響します。

日本は、「高コンテクスト文化」に属すると言われ、非言語を大切にします。阿吽の呼吸、などがその典型で、「良いものはわざわざ言葉にしなくとも伝わるものだ」と考えてしまいがちです。ところが、異文化、特に英語圏の国々は、「低コンテクスト文化」に属すると言われ、阿吽の呼吸、「これくらい分かってくれるだろう」、は通じません。他の解釈の余地を与えないくらい、簡潔・簡明な言語メッセージが必要とされます。

高コンテクスト・低コンテクストについては過去のこちらの記事をご覧ください:

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【第4回】「言葉と文化の壁を越えるソリューション」

ブレイクスルーメソッドでお伝えしている技法の中に、KISS、があります。

通常は、Keep It Simple Stupid/Short、と言われ、馬鹿でも分かるように簡単に短く言え、という意味なのですが、ブレイクスルーではこれを一歩進め、

 

Keep 
It
Simple
Specific

 

“Keep It Simple Specific” つまり、簡単かつ具体的な言葉選びを心がけよう、と教えています。これはまさに、低コンテクスト文化の人たちに、異なる解釈の余地を与えないようにするための技法です。

例えば、「この件については難しいと思いますが、上とも相談して折り返します」、を意図して「I suppose this is difficult, but I will ask my boss and get back to you」、と伝えたとします。

日本人なら、「難しい」、と言われたら、ほぼ可能性はないから次の方策を考えよう、と「解釈」することができるでしょう。

ところが英語圏の人を相手にした場合、「Difficult」というのは(良い意味で)チャレンジングなタスクだから、きっと上司の人は、「良いチャレンジじゃないか、やれ!」と言うだろう、と期待してしまうことでしょう。つまり、「解釈」の余地を与えてしまう高コンテクストな言葉選びをすると、「伝わらない」という結果になってしまうのです。

ですから、対英語圏へのプレゼンは、「これ以上の解釈はできない」というところまで低コンテクストにした、簡単簡明な言葉選びを意識するようにしましょう。

日本人が陥りがちなオンライン英語プレゼン失敗例トップ5と改善ポイント

まず、日本人が陥りがちなオンライン英語プレゼン失敗例トップ5がこちら

  1. お礼や自己・自社紹介で始まる
  2. 自社が伝えたいことにフォーカスする
  3. 資料に情報を沢山盛り込む
  4. 質疑応答で終了する
  5. 婉曲的表現でメッセージを和らげる

次に、詳細と改善ポイントをお伝えします。

1.お礼や自己・自社紹介で始まる

オンラインでの商談は時間も限られています。また、非言語や「雰囲気」などからじっくりと信頼関係を築き上げることも難しい環境です。相手は他にもたくさん商談をこなしている中で、海外の相手に、スクリーン越しで、英語で、短時間で、相手を動かさなければなりません。その第一歩は、ずばり、「強力な第一印象」を築き上げることです。

ところが日本人が頻繁にやってしまう失敗例は、最初は自分や自社のことを知ってもらおう、相手と関係を築こう、として、懇切丁寧に相手にお礼を述べたり自己紹介や自社紹介から始める、といったパターンです。この「日本式社交辞令」では印象強いプレゼンには仕上がりません。更に、オンラインの場合、Zoomなどのオンラインプラットフォームに入ったばかりの冒頭は、もたもたしてしまったり、相手がオンラインになってから音声や動画、スライドを確認しようとして意識があちこちに行ってしまったり、というケースもあまりにも多く見られます。

改善策:相手がオンライン入出した瞬間から7秒ー30秒ルールを徹底する

話し手の印象は7秒で決まり、次に進みたいと思うかどうかは30秒で判断されます。これをブレイクスルーでは、7秒ー30秒ルールと呼んでいます。最初の7秒は、相手がオンラインの部屋に入出した瞬間から始まります。音声や動画のチェック、スライド共有などの確認は、事前にしっかりと練習を繰り返して速やかに操作できるように準備しておくと同時に、相手がオンラインになった瞬間から、しっかりとカメラ目線に合わせて相手を余裕で待ち受けましょう。くれぐれも「Can you hear me?」とは言わないように。例えば、

“Hi, Kevin. I’m Natsuyo from Breakthrough Speaking. Very nice to meet you! “

というように、笑顔で堂々と相手を迎え入れ、社交辞令は極力短く抑えましょう。そして、

“I’d like to maximize our time together today, and focus on how we can help you achieve your business goal. What is your biggest challenge your company wants to solve right now?”

のように、相手が達成したいゴールや現在直面している課題などに最初から意識を向け、自分の商品を売り込もうとしているのではなく、相手の課題を解決しようという「聞き手視点」を冒頭から示し、相手の興味を惹きつけることが効果的です。

この「聞き手視点」こそが、短時間の英語オンライン商談で非常に大切なポイントで、次の2.の失敗例にもつながってきます。

2.自社が伝えたいことにフォーカスする

特に商談となると、売上に繋げたい、という想いが強くなるために、自社商品・サービスの売り込みにフォーカスしてしまいがちです。

え?それが商談本来の目的ではないの?と思われるかもしれません。実はここが大きな落とし穴です。

特に欧米の英語圏の国々の人たちは、「低コンテクスト文化」である、ということを上記でもお話ししましたが、低コンテクスト文化の特徴の一つとして、「個人主義的傾向」や「結果主義的傾向」が挙げられます。つまり、「自分にとって(個人主義的傾向)、どう良いのか(結果主義的傾向)」という意識が強い、ということです。

ですから、「わが社の商品はこんなところが素晴らしい」、「わが社のサービスは他社より優れている」、「こんなに機能満載でこんなに安い」、といった、自社視点のメッセージでは、海外の相手には説得力が不十分です。

改善策:You-Focusedな未来予想図を明確に打ち出す

そこで重要なのは、「あなたにとって(個人主義的傾向)、どう良いのか(結果主義的傾向)」を明確に示すことです。この、聞き手の立場に立った視点を、ブレイクスルーでは、You-Focused(聞き手視点)、そして、彼らがたどり着きたいと思っているゴール像のことを、明るい未来予想図、と呼んでいます。個人主義、結果主義、な低コンテクスト文化な相手だからこそ、自社商品・サービスの良さを伝える前に、「あなたの会社はこんな未来が描ける」と、示すことが、海外商談の相手を動かす秘訣です。例えば、

“By the end of this year, your company will reduce your overhead by 30%, and invest this surplus into a new product development. You can achieve your business goal with our service, 〇〇(商品サービス名).”

というように、YOU(聞き手)を主語に考え、聞き手が求めるゴール、解決したい課題、たどり着きたい未来を明確に示し、自社の商品・サービスが、あなたの会社をそこに連れていく、と断言するメッセージを組み立てるのです。

ここで、断言すること、もポイントです。日本人らしく控えめに(高コンテクストに)、”We think…”, We hope…”, “We believe…”と、口調を和らげて伝えることも避けましょう。断言できないなら自信がない、あるいは実績が足らないのか、という印象を与えてしまいます。更に、主語がWe(自社)になってしまい、聞き手視点が削がれてしまいます。ここは低コンテクストに、相手の未来予想図を実現できるのは、うちのこの商品しかない、と自信をもって断言しましょう。

3.資料に情報を沢山盛り込む

高コンテクスト文化である日本人のもう一つの特徴に、「不確実性を回避する傾向が高い」ことが挙げられます。高コンテクスト文化のコミュニケーション方法は、含み・解釈の余地が広いこととも相まって、プレゼンの際、望ましくない解釈や結果が発生しないよう、「念のため」の情報をたくさん盛り込みがちなのが、日本人に多い特徴です。しかし情報が多すぎてしまい、結果として(特に低コンテクスト文化の相手には)「何が言いたいのかわからない」プレゼンになってしまいます。

改善策:So Whatを問いかけながら、ワンビッグメッセージに情報を削ぎ落とす

そこで大切なのは、思い切って情報を削ぎ落とすことです。You-Focused(聞き手視点)の未来予想図を打ち出すためには、どの情報が一番大切なのか。そしてその情報は「〇〇」だな、と感じたら、更に、So What?(だから何なのか。それが相手にとってどういうことなのか)を複数回問いかけながら、そのメッセージが表面的や一般論に終わらないよう、深めて行きましょう。そうすることで、唯一無二のワンビッグメッセージが出来上がり、英語オンラインプレゼンでも相手に伝わり、相手を動かすメッセージに仕上がっていきます。

4.質疑応答で終了する 

ほとんどのプレゼンは、話し手がまず話し、その後Q&Aを行って終了することでしょう。しかしここに大きな落とし穴が。

人は、一番最後に聞いたことが、最も印象に残る、と言われています。これをブレイクスルーでは、「リーセンシー効果」と呼んでいます。つまり、せっかくプレゼンで、You-Focusedな未来予想図を明確に打ち出したワンビッグメッセージを伝えたとしても、最後のQ&Aで、予期せぬ方向に話が飛んでしまったりすることもありますよね。もしそのままで終わってしまうと、そのQ&Aの内容が一番強い印象として相手の頭の中に残ってしまします。これではもったいないですよね!?

改善策:たった一つの明確なネクストステップを打ち出す

改善ポイントは2つあります。一つは、Q&Aの後に、もう一度、ワンビッグメッセージをしっかりと伝えるということ。二つ目は、このプレゼンが終わった後に相手にどう行動してほしいのか、明確なネクストステップを一つだけ伝えるということです。

例えば、まずは試作品を試してもらいたいのであれば、「We will send you our prototype. Please share with us your thoughts by the end of this month.」、あるいは、意思決定者である上司に繋げてほしいのであれば、「Please share today’s discussion with your boss. I will follow up with you in one week.」というような具合です。ここで、「ウェブにカタログが乗っているのでウェブをご覧ください。メルマガも発行しているのでそちらもご参考までに。もし試作品を試されたい場合はこちらのフォームに記入いただいて…」のように、いくつものオプションを与えてしまうと、相手にとっては、オプション全てが並列に並んでいて、逆にどれも突出したオプションとは感じない、という状態になり、結局動いてくれない、という結果になりやすいものです。

ですから、伝える情報も「ワンビッグメッセージ」に削ぎ落とすのと同様、プレゼン終了後に相手に期待する行動も、一つに絞り、ネクストステップを明確に打ち出すことで、相手に「動いて」もらうプレゼンとなります。

5.婉曲的表現でメッセージを和らげる

高コンテクストな日本語コミュニケーションでは、婉曲的な表現が好まれ、相手に察してもらうことが期待されています。

例えば、「せっかくご提案いただきましたが、ちょっと難しいですね(It’s DIFFICULT)」といった表現は、実は「却下です」と言いたいところ、角が立たないように、「難しい」という表現がされる、といった具合です。

ところが、このような、良かれと思って使った婉曲的な表現こそが、海外とのコミュニケーションで誤解を生んでしまう最大の原因なのです。

改善策:KISSを意識し、シンプルかつ具体的な表現を選ぶ

上述のKISS(Keep ISimple Specific)に基づき、簡単簡明な表現で、意図したとおりに伝わることを心がけましょう。例えば、同業者なら知っているであろうと思われる専門用語や略語でも、もしかすると、日本市場の中だけで通用するものなのにそれに気づいていないだけ、あるいは、生産現場の人間なら知ってるがセールスの人間は知らない、というようなこともあるかもしれません。特に海外とのビジネスにおいては、自分の当たり前は相手の当たり前ではない、ということを肝に銘じておくことです。

ポイントは、これ以外の解釈は出来ない、というところまで明確な、誰が聞いても分かる言葉選びをすることです。あまりにも直接的な表現をすると、失礼ではないだろうか、とお考えになるかもしれませんね。その通り、英語でも、直接的表現=低コンテクストで良い、という図式にはなりません。

例えば前例の、「せっかくご提案いただきましたが、ちょっと難しいですね」についても、唐突に「I can’t accept your proposal.」という直接的表現をしたら、相手も気分を悪くするかもしれません。低コンテクストでも、相手に敬意を払いながら、同時にシンプルかつ具体的に伝えることは可能です。ここで意識したいのは、論理的に説得できる内容を伝えているか、ということです。簡潔に明確な理由も添えて、次のように伝えてみましょう。

「We appreciate your proposal, but unfortunately, we need to pass this time. I understand that your proposal gives us the opportunity to reach new markets. However, our business focus for this year is to increase sales within existing markets. We’d love to revisit this discussion in one year.」

相手にも感謝しながらも明確にお断りし、その決断の背景にある理由を述べて納得感を引き出していることがお分かりかと思います。

このように、KISSの法則を活用しながら、かつ、ロジカルに情報を紡いでいくのは確かに高度なスキルです。でも、繰り返し訓練することでそのスキルは習得することが可能です。ただしこのようなスキルは、英会話教室や英語コーチでは難しいでしょう。異文化コミュニケーションに精通したプレゼン専門家からコーチングを受けることをお勧めします。

その他、英語オンラインプレゼンに限らず、オンラインでも相手を飽きさせないコツは、こちらでもご紹介しています:

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『The Art of Persuasive Speaking in Global Business』は、ニューヨークを拠点にプロスピーカーとして活躍する、ブレイクスルー・スピーキング代表のリップシャッツ信元夏代が、グローバルコミュニケーションスキルを磨きたいリーダー向けに、英語で開発した、自己学習型E-ラーニングプログラムです。

異文化コミュニケーション理論からロジカル思考、コーポレートストーリーテリング術まで、ネクストステップに進みたい日本人グローバルリーダーの皆さんに必要不可欠な総合的なコミュニケーション術を、分かりやすい生の英語を聴きながら、何度でも繰り返し学習することで、学びを深めることができます。

「伝わる」から「動かす」へ。

「英語プレゼン術」のプログラムなら、多数存在します。
しかし、 『The Art of Persuasive Speaking in Global Business』がそれらとは異なり、唯一無二のプログラムである理由は大きく3つあります:

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*組織開発コンサルティングの経験を生かし、異文化コミュニケーション理論を踏まえた「グローバルビジネスで伝わるポイント」

*強豪ぞろいのネイティブスピーカーたちを勝ち抜き、国際スピーチコンテストで世界トップ100入りを経て得た、「文化と言葉の壁を越えて聴衆を魅了する伝え方のノウハウ」

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