スピーチ/プレゼンで何よりも大切なのは、ストーリーです。
全米プロスピーカー協会の殿堂入りをしているパトリシア・フリップは、ストーリーが持つ力について次のように語っています。

People resist sales presentation. But nobody can resist a good story…well told.  A trivial story well told is much more memorable than a great story poorly told.

(人は、営業プレゼンには抵抗がある。しかし、巧みに語られた良いストーリーには誰も抵抗することができない。そして、下手に語られた壮大なストーリーよりも、たくみに語られた些細なストーリーの方が、はるかに記憶に残る)

スピーチだからといって、なにも大言壮語をふりかざして、むずかしい例を挙げる必要はないのです。むしろ身近なことでかまわないのです。

ここで語られるのはタクシーの運転手になりたかった少年が、バブソン大学でドーナツを食べながら勉強に打ちこみ、トヨタで働き、CEOになった時にリコール問題などで悩みつつも、52歳の時にはマスタードライバーの訓練に挑戦するという車愛に溢れた、彼だけのストーリーです。

ストーリー構成としても車好きの主人公が、困難にもぶつかりつつも、挑戦を恐れないCEOになるという構成で、聴衆が共感しやすいものです。

そしてそのどのシーンも身近に感じられる人物として、生き生きとしています。