スピーチのコツとは? 原稿の準備方法から話し方まで詳しく解説(後編)

人前で話す時、緊張で頭が真っ白になったり、思うように言葉が出てこなかったりした経験はないだろうか? 「スピーチが苦手」「自信を持って話せない」と感じる人は少なくない。しかし、安心してほしい。スピーチ力は才能ではなく、誰でも身につけられる技術である。

 この記事では、スピーチが上手くいかない根本原因を明確にし、実践的な改善策を具体的に解説する。話の組み立て方から、効果的な伝え方のテクニック、練習方法、さらには本番での心構えまで、あなたのスピーチ力を劇的に高めるためのノウハウが詰まっている。読み終える頃には、あなたは次のスピーチに自信を持って臨めるヒントを掴めるようになるだろう。プレゼンや会議で堂々と話せるようになるコツを掴むことはもちろん、コミュニケーション能力全般が向上し、仕事でもプライベートでも今まで以上に充実した人間関係を築けるようになるはずだ。

 この記事ではまず、スピーチの話し方のコツ(デリバリー)から一緒に探っていこう。

6:スピーチの話し方のコツ(デリバリー)

 あなたは、スピーチをするときに「話す内容」だけでなく、「話し方」を意識しているだろうか?
 実はこれ、とても大事なことである。なぜなら、同じ内容のスピーチでも、話し方(デリバリー)が違えば、聞き手に与える印象は大きく変わるからだ。

 それでは、スピーチのデリバリーを改善するための7つのコツを詳しく紹介しよう。

① ゆっくり・はっきり話す(緩急をつける)

 スピーチの場では、緊張からつい早口や曖昧な発音になりがちである。そのため、意識的にゆっくり・はっきりと話すことが重要だ。特に大切なポイントではゆっくりと、大きな声で伝えることで、聞き手に強い印象を与える。

 しかし、「常にゆっくり」がベストではない。単調な話し方だと聞き手は飽きてしまうため、慣れてきたらテンポに緩急をつけよう。早口な部分とゆっくりな部分を効果的に使い分けることで、聴衆をぐいぐい惹きつけることができる。

② 繋ぎ言葉(フィラーワード)に注意する

 多くの人が無意識に使ってしまう「えー」「あのー」「えっと」などの繋ぎ言葉は、話し手の印象を悪くし、話のリズムを乱してしまう。

 自分がどれだけ繋ぎ言葉を使っているかに気づくためには、自分のスピーチ練習を録音するとよい。次の言葉が浮かばないときは、焦らずに黙って間を取ろう。適切な間を作ることで、逆にスピーチが聞きやすくなり、プロのような落ち着いた印象を与えることができる。

③ 自分の言葉で話す

 心に響くスピーチとは、話し手自身の言葉で語られたものである。原稿を作り込んだり、丁寧な言葉を使ったりすることも大切だが、そればかりに囚われてしまうと、聞き手との距離が遠くなってしまう。

 大切なのは、フォーマルとカジュアルな表現を意識的に混ぜることだ。丁寧な言葉を話したら次は少しカジュアルに話す、というように変化をつけることで、聞き手との距離が縮まる。最近はAI生成の原稿をそのまま読む人もいるが、それはおすすめしない。自分の言葉に変えてこそ、スピーチに魂が宿る。

④ 一人ひとりと会話するように話す(アイコンタクト)

 スピーチの際、聴衆をひとかたまりで捉えるのではなく、一人ひとりに向けて会話する意識で話すことが重要である。アイコンタクトを取ることで、聞き手は「自分に語りかけてくれている」と感じ、集中力が高まる。

 また、どうしても原稿を読む必要がある場合でも、アナウンサーのように自然な抑揚をつけてゆっくり丁寧に読むことで、好印象を与えることができる。

⑤ 姿勢を正す

 スピーチ中の姿勢は話し手の印象を大きく左右する。不必要な動きや落ち着きのなさは、聞き手を不安にさせ、印象を悪くしてしまう。

 背筋を伸ばし、もたれかからずに安定した姿勢を保つことを意識しよう。自分のスピーチをビデオに撮影して確認すると、自分では気づかなかった癖に驚き、改善につながるだろう。

⑥ ボディランゲージを活用する

 非言語コミュニケーション(ボディランゲージ)を使うことで、スピーチはさらに表現豊かになる。特に日本人は、国際的に見ても、非言語コミュニケーションが得意なので、日本人らしいボディランゲージを自然に使うことで、この強みを活かすことをおすすめする。

(6−1)ジェスチャー

ジェスチャーは話の内容を視覚的に伝えるため効果的である。例えば、二項対立を説明するときには、左右の手を交互に使って視覚的に示すことで理解を助ける。ただし、自分らしく自然に行えるジェスチャーにとどめよう。

(6−2)声のトーン

声の強弱・高低・長短など、声のトーンを意識的に使い分けることで、スピーチにメリハリが生まれ、聞き手の注意を引きつける。物の大きさや重要性を表現するのにも声のトーンを活用するとよい。

(6−3)表情

表情は、聞き手が話し手の感情に共感するための重要な要素である。緊張で硬い表情になってしまうと、聞き手も緊張してしまうので、リハーサル時に鏡を使って表情を確認し、リラックスした笑顔でスピーチに臨もう。

⑦ ステージング(空間を意識した演出)

 ステージングとは、話すときの動きを通じて物語や状況を視覚的に表現する手法である。例えば、時間経過を表現する時には、自分から見て右から左(聴衆から見て左から右)へ動くことで、時間の流れを表現できる。こうした視覚的な表現は、聴衆の理解や印象を強化するために非常に効果的である。

 以上のデリバリーのコツを取り入れることで、あなたのスピーチはよりプロフェッショナルに、より心に響くものになる。ぜひ次の機会から、ひとつでも実践してみてほしい。

7:スピーチ練習時のコツ

 スピーチを成功させるには、練習が欠かせない。しかし、ただ漫然と練習するのではなく、より効果的にスピーチの質を高めるための工夫がある。ここで紹介する3つのコツを取り入れて、スピーチ本番での成功確率を格段に高めてほしい。

① 録音・録画で自分を客観的に確認する

 私はこれまで多くの方々にスピーチ指導をしてきたが、自分の話す姿を録音・録画して見返すことほど効果的な練習方法はないと実感している。録音によって自分の声の大きさ、スピード、抑揚、そして繋ぎ言葉(フィラーワード)の頻度を客観的に確認できる。また、録画では姿勢やボディランゲージ、アイコンタクトの状況まで確認可能だ。

 実際に自分の姿を映像で見ると、驚くほど多くの改善点に気付ける。恥ずかしいかもしれないが、誰もが通る道であり、スピーチ上達には避けて通れない重要なプロセスなのだ。

② スピーチをする環境に慣れておく

 スピーチが苦手だという人の中には、本番の環境に飲まれてしまう人が少なくない。普段と異なる会場や大勢の人々の視線を浴びると緊張してしまい、本来の力が出せなくなるのだ。

 この対策としておすすめなのが、本番と同じ環境に事前に慣れておくこと。会場の広さや音の響き、聴衆席の配置などを確認し、できればその場所で事前に少しリハーサルしておく。私自身もスピーチ本番の前に必ず会場に足を運び、無人の会場で満席の聴衆を想像し、少し緊張を味わっておく。これにより、本番では驚くほどリラックスして話すことができるのだ。

③ イメージトレーニングで成功体験を作る

 最後におすすめしたいのは、イメージトレーニングである。頭の中でスピーチの流れを繰り返しシミュレーションするだけでなく、スピーチが大成功し、聴衆から拍手喝采を受ける姿まで鮮明にイメージしてほしい。

 このようなポジティブなイメージを繰り返し描くことで、自己効力感が向上し、心理的にも自信がつく。自分は成功できると強く思い込むことができれば、本番当日、過度な緊張や焦りを感じることなく、堂々とスピーチに臨めるはずだ。

 そして、イメージした内容を、ぜひ実際のリハーサルでも行ってみよう。頭の中で描いた理想のスピーチを、現実のものに近づけることができるはずだ。

8:その他のスピーチのコツ・心構え

 最後に、スピーチをするうえで役立つ心構えや、よくある失敗を防ぐためのコツをお伝えしよう。ここまでにお話ししたテクニックに加え、このような「心の準備」をしておくことが、いざ本番という時に大きな力となるのである。

① ハードルを上げすぎない

 スピーチの準備をしていると、つい「完璧を目指さなければ」と意識しすぎてしまうことがある。しかし、ハードルを高く設定しすぎると、そのプレッシャーで逆にミスが増えてしまうこともある。私が多くの受講生に伝えているのは、「完璧を求めない」ということだ。あなたはすでに十分練習を重ねている。その努力した自分自身を信じ、本番に臨んでほしい。

 聞き手に伝えたいメッセージがきちんと伝われば、それで十分だ。多少の失敗やミスは誰にでもあるものだから、完璧を目指すのではなく、伝わるスピーチを目指そう。

② 暗記はしない(無理に覚えない)

 スピーチの理想は、何も見ずにすらすらと自然に話すことであろう。しかし、無理に暗記をして本番を迎えるのはおすすめしない。暗記に集中すると、「絶対忘れてはいけない」というプレッシャーが生じ、それが新たな緊張の原因になってしまうことがある。

 私自身のやり方は、原稿を完璧に準備した上で、本番ではそれをあえて忘れるようにするという方法である。その場の雰囲気や聞き手の反応を見ながら話すことで、より自然なスピーチになるからだ。ただし、正確に伝えるべき情報や、突然頭が真っ白になった時のために、簡単な構成やメモだけは手元に置いておくようにしている。

 多少、用意した原稿とは違った内容を話しても、それで問題はない。気楽な気持ちで、聞き手とコミュニケーションを楽しもう。メモを手元に置き、忘れたら見返すくらいの気持ちでいるのが、精神的にもベストである。

まとめ:スピーチ力を磨いて、人生を変えよう

 本記事では、スピーチが上手くいかない原因から、話の構成、原稿作成時のコツ、デリバリーのポイント、練習方法、さらには本番での心構えに至るまで、スピーチに必要なノウハウを徹底的に解説してきた。スピーチのスキルは、職業や立場に関係なく、どんな場面でも役立つ汎用性の高いスキルである。

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