リーダーの技量が問われる危機対応スピーチ その④ジャシンダ・アーダーン首相(ニュージーランド)

「信元夏代のスピーチ術」編集長 信元です。

現在、かつてないパンデミックが世界中を脅かし、各国、各都市、各業界でのリーダーたちは、刻一刻と状況が変化する中、大胆かつ的確な判断を下す必要がある厳しい局面に立たされています。前回から、そんなリーダーたちが行った、お手本となる危機対応スピーチを取り上げ、解説しています。

ご紹介する5つのスピーチのうち、今回は4つ目です。

国民と同じ目線で寄り添う、ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相

世界で最も若い37歳で首相に就任し、初めて首相として産休を取得し、国連総会には乳児連れで参加したアンダーン首相は、就任当時から大変注目を浴びていました。更に、昨年2019年3月には、世界を震撼させたクライストチャーチでの銃撃事件があり、そして今回はパンデミックと、異例の危機対応を余儀なくされている中、真摯な姿勢と迅速かつ大胆な対応を兼ね備えたリーダーシップ力が高く称賛されています。

アンダーン首相は常々、性別や民族、宗教にかかわらず、誰もが互いを尊重し合いながら、安心して生活できる社会をつくること、それこそが自分の務めであり喜びである、と語ってきました。彼女の一貫した思いやりと愛、そしてヒューマニティーにあふれるメッセージは、分断を促す不必要な感情の火消しとなるとともに、国民一人一人に寄り添う共感力が秀逸なものです。

その一貫した姿勢が、今回のパンデミック対応にも表れています。

子供を寝かしつけた後、カジュアルな普段着のまま自宅から国民にメッセージを発信するアンダーン首相の姿は、「私たちと同じ」という親近感を感じます。そして発信に使ったのは、Facebookライブ。一人一人の質問に丁寧に答えていました。更に、ソーシャルディスタンスを国民に求めるメッセージは、テキストメッセージで送られました。

現代の私たちが普段最も慣れ親しんでいるいくつかのツールを使ってメッセージが発せられることで、「上からのメッセージ」より、「仲間からのメッセージ」として身近に受け取ることができます。

アンダーン首相のコミュニケーションは、メッセージそのものも共感度が高いですが、何よりも、国民に寄り添ったメッセージデリバリーを実践していることが、注目すべき点でしょう。

 

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