第二回:異文化の人々にも響く伝え方

さて、「第1回:グローバルパブリックスピーキングとは?」では、伝える(話す)技術は大人になってからでも習得可能なスキルであることをお伝えしました。第2回~5回で、世界標準の話し方、グローバル・パブリックスピーキングに必要な知識と技術を効果的に習得する、ブレークスルーメソッドTMを順を追って紹介します。

グローバル・パブリックスピーキングとは、異文化間でもしっかり伝わるスピーチのこと

ブレイクスルーメソッドでフォーカスしているのは、「グローバル・パブリックスピーキング」と私が呼んでいるものです。「グローバル・パブリックスピーキング」とは、異文化間でもしっかり伝わるスピーチ、のことです。

日本人同士なら異文化、グローバル・パブリックスピーキングは関係ない?

「異文化」と聞いた途端、「あ、英語スピーチか。自分には無理。自分には関係ない」と思ってしまうかもしれませんが、実は「グローバルパブリックスピーキング」は、海外とのやりとりや英語を普段使うかどうかとは全く関係がなく、逆に言うならば、すべての人たちに必要な力なのです。それは、異文化、とは、必ずしも違う「国」の文化、ということではないからです。

異文化とは、外国文化ではなく「自分」対「自分以外のすべての人」のこと。

日本国内でも、関東と関西では大きく文化が異なりますよね。そして文化が違うと、人々の価値観も異なってきます。さらに価値観が異なると、メッセージの発信の仕方や受信の仕方も変わります。ですから、価値観が違う人たちに対して、つまり、自分以外のすべての人に対して、どうやって「スピーチ」をしていくのか、そういった観点で、「異文化」を捉えていただきたいと思います。

グローバル・パブリックスピーキングは、みなさんが活用できる手法

つまり、「グローバルパブリックスピーキング」とは、みなさんが活用できる手法なのです。それを踏まえて、「異文化」、と言ったとき、価値感の異なる異文化の相手に、しっかり伝わるようにするための最大の秘訣は、「コミュニケーション適応力」にあります。ではどうやって適応させるのか?それを、ブレイクスルーメソッドの特徴でもある、「3つのA」という3段階プロセスで学びます。

相手にしっかり伝える秘訣、コミュニケーション適用力は「3つのA」で身につける

一つ目のA:Acknowledge(認知)「相手と自分は違う」

まず、相手と自分は違うのだ、と認識することです。

私たちはつい、「Aさんは同期で同じ営業課の人間だし、私が言わんとすることはわかってくれるだろう」という考え方をしてしまいがちです。でも、相手と共有している「文化」の範囲が大きかったとしても、考え方や価値観が完全に一致する人間は存在しません。家族間だって同じことが言えます。

文化が異なる人同士だと、情報共有の仕方、部下へのフィードバックの仕方、指示の出し方、信頼関係、チームワークのとり方、交渉の仕方、発言の仕方、コンフリクト発生時、問題解決方法…などなど、あらゆる場面でコミュニケーションの違いが生まれてきます。「相手はこうだろう」と仮定・前提・推定をしてしまうと、そこにコミュニケーションの齟齬が発生してしまいます。

ですから、効果的な「異文化間コミュニケーション」の第一歩は、「Acknowledge」、つまり、相手は自分と違うのだ、と認識することです。

二つ目のA:Analyze(分析)「自分と相手のコミュニケーション方法の違いを分析する」

あなたは「低コンテクストタイプor 高コンテクストタイプ」?

認識ができたら、次は、分析です。あなたと相手のコミュニケーション方法は、どんなところがどのように違うのでしょうか。

ー「低コンテクスト」「高コンテクスト」とは

論理的で直接的、そして考えていることをしっかり言語化して伝えるタイプのコミュニケーション方法を、「低コンテクスト」と呼びます。
その反対に、感覚的で間接的、そして、考えていることはあまり言語化せず、ニュアンスをくみ取ってもらいたいタイプのコミュニケーション方法を、「高コンテクスト」と呼びます。

  • 低コンテクストタイプ
    =論理的・直接的、考えていることはずばっと言葉で伝えられるタイプ
  • 高コンテクストタイプ
    =感覚的・間接的、考えていることはあまり言葉にせずニュアンスをくみ取ってもらうタイプ

自分→相手の順でタイプを分析をすると、相手との距離感が見えてくる。

あなたにとって自然なコミュニケーション方法は、どちらのタイプでしょうか。高コンテクストでしょうか、低コンテクストでしょうか?どれくらいの度合いでしょうか?相手はどうでしょうか?

自分の典型パターンを分析し、次に相手を分析すると、自分と相手との距離感が見えてきます。

三つ目のA:Adapt(適応)「相手に合わせて適応する」

低コンテクストタイプ、高コンテクストタイプで話し方を変える

距離感が見えてきたら、最後に行うのは、「Adapt」、つまり、「適応」です。

Let’s Study!

低コンテクスト(論理的・直接的)なあなたが、高コンテクスト(直観・感覚的)な相手に適応せずに伝えた場合を例に、誤解を生まない会話術を学びましょう。

もしあなたが、とても低コンテクストなタイプで、相手はとても高コンテクストなタイプだとしましょう。高コンテクスト度合いの高い相手に、いきなり次のように話したらどうでしょう。

「あなたが立てた実行プランは考えが甘いですね。ステップ1では、〇の部分と△の部分が欠けていて、それではステップ2には進めません。このような甘いプランで最終ステップまで行ってしまったらプロジェクト失敗は間違いなしです。さて、どこをどう改善してくれますか?いつまで?どうやって?」
「低コンテクスト」対「低コンテクスト」の場合は、言ったことがそのまま伝わる。

もし相手も低コンテクストな人なら、

「なるほど、そういう視点が抜けていたのか。そしてどこをどう、いつまでにどうやって、という視点も抜けていたな。そこに気を付ければ改善できそう。」

と、言語メッセージ言語メッセージとしてそのまま受け取ることでしょう。

一方、「高コンテクスト」タイプは深読みして受け取る。

でも高コンテクストな相手は違います。言語に頼らないコミュニケーション方法だと、相手に言葉の解釈の余地を与えることになるため、高コンテクストな人なら常に、発せられた言語メッセージの裏にある意味を探そうとしてしまいます。低コンテクストな人には「裏の意味」は本当はないのですが。
そうすると、高コンテクストな相手は、

「考えが甘い。失敗間違いなし。どこをどう、いつまで、どうやって、と“詰め寄られ”ている。嫌われたんだろうか。怒っているんだろうか。ここはまず謝っておいた方がいいのかもしれない…。」

というように、深読みをしてしまい、さらにコミュニケーションに誤解が生まれてしまうかもしれません。

「高コンテクスト」タイプの相手には、相手と一緒に考えるコミュニケーションが効果的

こんな相手には、先のような低コンテクストな話し方ではなく、オープンな質問などを効果的に使いながら、

「まずステップ1について説明してもらえますか?このステップ1を完了すると、どんな効果が予想できますか?〇の観点はどう思いますか?△はどうでしょう?あ、なるほど、〇と△が足らないかもしれませんね。ではステップ1をどうしたらよいでしょうね?」

のように、相手を含めながら、「一緒に考える」ようなコミュニケーション方法を取ると、より誤解や齟齬がなく、相手に伝わりやすくなっていくことでしょう。

「3つのAプロセス」チートシート

  1. 一つ目のA:Acknowledge(認知)
    まず相手と自分は違うと「認識」する。
  2. 二つ目のA:Analyze(分析)
    低コンテクススト・高コンテクストで自分と相手のコミュニケーション方法の違いを「分析」する。
  3. 三つ目のA:Adapt(適応)
    低コンテクストタイプ・高コンテクストタイプで相手に合わせて「適応」し、話し方を変える。

ブレイクスルーのウェビナー基礎コースではこの3つのAプロセスを更に詳しくお話していきます。

まとめ

  • グローバル・パブリックスピーキングとは、異文化間で行うスピーチのこと。
  • 「異文化(異文化間)」とは、「自分」対「自分以外の全ての人」のこと、「グローバル・パブリックスピーキング」はみなさんが活用できる技術。
  • 「グローバル・パブリックスピーキング」に必要な「コミュニケーション適用力」は、「3つのAプロセス(認知・分析・適応)」を使って身に付ける。
  • 3つのAプロセスで「コミュニケーション適用力」を身に付ければ、誤解を生まず、相手に自分の意図をしっかりと伝えられるようになる。
次の記事

グローバル・パブリックスピーキングに必要な「異文化対応力」と「グローバルコミュニケーション力」。これに必要な「コミュニケーション適用力」は3つのAプロセスを使って身に付けます。

第三回:スピーチ構成の前にすべきことアイキャッチ画像
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