「信元夏代のスピーチ術」編集長 信元です。
日本人初NYスピーチコンテスト優勝への軌跡、いよいよMBAに入学したところまで話が進んできました。
順風満帆に見えていましたが、果たして...?!
自己紹介で頭真っ白事件
自らの意思でAdmissions Officeに出向き、面接官を待ち伏せし、プレゼンをして勝ち得たMBA入学。それだけ積極的に動き、結果を出した私でしたが、またもや劣等感の塊になりました。
MBAの初日のことです。クラスメートとの初顔合わせ。30人ほどいるクラスには留学生も多数。まず前から順に自己紹介をしていきました。それが、みんな堂々としているし、なかな面白い。
私はそれまで、英語で仕事をしたり、友達とコミュニケーション取ったりはしてきたものの、人前に立った状態で、英語で、話す、という、いわゆる「プレゼン・スピーチ」のような設定で英語を使ったことがなかったことに気づきました。
クラスメート30人の60個の目が、自分一点に注がれる。その状態で、ネイティブでもない私が、英語で、自分のことを話す。
それはそれはハードルの高いモノでした...!!!
自分の順番が回ってくるまで、緊張してドキドキして脇汗まで書きながら、必死で頭の中で言いたいことをシュミレーションしていたのですが、いざ自分の順場が回ってきて、皆の視線を感じた瞬間、頭の中で考えていたこととは全然違うことを冒頭から口走ってしまい、固まってしまったのです。
今でこそ、そんな時は「間(ま)」の威力を使って、あたかもしっかりと戦略的に間を取っているかのように見せる技術もついていますが、その時はもう、たった2,3秒の間(ま)でも、永遠の沈黙のように感じてしまい、失望感と共に自己紹介を終えました。
そして、「やっぱりプレゼンは嫌!英語嫌!」と思ってしまったのです。ワシントン大学に留学した時に振出しに戻ったかのようでした。
プレゼンは丸暗記
MBAではチームプロジェクトが多数あり、その度に、チームプレゼンがありました。否応なしに人前に立って発表をさせられます。
でも私は、初日の失意の自己紹介から立ち直れず、チームプレゼンでは一番短いパートを担当し、言いたいことを丸暗記していました。Q&Aなんてもちろん担当から外してもらいました。
もしかしたら日本人の多くは、完成形を見せたいと思いがちではないでしょうか。当時の私もまさにそうで、未完成を見せたらいけない、間違ってはいけない、きちんと話せないといけない、こうすべきああすべき...「すべき」で自分をがんじがらめにしてしまっていたのです。
チームメートは違いました。間違ってもつっかかっても、言うことを忘れても、笑い飛ばして次に進んでいました。でもそれでも私は、「彼らは英語がネイティブだから(あるいは、留学生でもネイティブに近いから)、間違ってもすぐに何か言うことを探して対応できるんだ(でも私はノンネイティブだから無理)」、そう思っていました。
そうしているうちに、プレゼン嫌いが解消できないまま、2年間のMBAが過ぎていきました。
ところがその後、ある素晴らしい日本人に出会ったことがきっかけで、スピーチの道を歩み始めることになるのです。
次回は、「第7回ー素晴らしい日本人に出会って」です。
お楽しみに!
ニューヨーク大学のMBAになんとかギリギリ合格し、順風満帆に見えていましたが、アメリカ留学二度目の挫折が待っていました。