ChatGPTで作るスピーチ原稿のオープニング・クロージング 正しいやり方はあるか?

あなたは、スピーチ原稿を書くときにチャットGPTなどの人工知能・生成AIを試してみたことはあるだろうか? 

AIツールは、今や誰でも身近に使えるようになってきた。それならスピーチ原稿をAIにつくらせたらどうなるか? スピーカーにとって、AIツールは今や非常に有用な手段となりつつある。生成AIをどのように利用すべきかは、今後の未来を作る大きな課題だ。

前回の記事では、AIを使ってスピーチ原稿本文を作るとどうなるかを実験し、実際にAIによってつくられた本文部分のスピーチを掲載。長所と短所を観察した。

今回は、前回の記事ではできなかった、オープニングとクロージングをつくらせてみた。内容はもちろん同じテーマである。しかし、オープニング、クロージングというのは、スピーチにおいては、相手の注意を惹き、相手にいつまでも覚えていてもらうための重要なパーツだ。だから、下手な内容を盛り込むわけにはいかない。

そこで、本講座で提唱する「印象に残るオープニングとクロージング」の理論を使って、それを土台にしてAIに指示することでより良い内容を創造できるのでは、と考えた。もし、それをもとにしたプロンプトを打つことによって、リアルにゼロから原稿を書いた場合と同程度の品質を保つことができれば、AIを使うことの利便性はさらに高まるというものだ。それが、あなたの聴衆に対して、より強い印象を与えられれば、これほど嬉しい話はない。

ということで、まずは、本講座で提唱するオープニングとクロージングはかくあるべき、というところを解説した後、実際にAIを使ってみた結果をご紹介したい。

過去のAIに関する検証記事:

AIに関しては、過去、下記に示すように、さまざまなことを検討してきた。翻訳、特に英訳(日本語から英語へ)での活用方法に焦点を当てたり、スピーチ原稿をAIに書かせる実験を紹介した。

構成の作り方についての詳しい記事は、こちらから。

あなたは、スピーチ原稿を書くときにチャットGPTなどの人工知能・生成AIを試してみたことはあるだろうか? 前回の記事では、AIを使ってスピーチ原稿本文を作るとどうなるかを実験し、実際にAIによってつくられた本文部分のスピーチを掲載。長所と短所を観察した。今回は、前回の記事ではできなかった、オープニングとクロージングをつくらせてみた。

折りたたみ椅子が並んでいる

上記についての詳しい説明は、クリックして欲しい。

今までの生成AIの活用方法に関連する記事はこちらから:

あなたは、スピーチ原稿を書くときにチャットGPTなどの人工知能・生成AIを試してみたことはあるだろうか? 前回の記事では、AIを使ってスピーチ原稿本文を作るとどうなるかを実験し、実際にAIによってつくられた本文部分のスピーチを掲載。長所と短所を観察した。今回は、前回の記事ではできなかった、オープニングとクロージングをつくらせてみた。

あなたは、スピーチ原稿を書くときにチャットGPTなどの人工知能・生成AIを試してみたことはあるだろうか? 前回の記事では、AIを使ってスピーチ原稿本文を作るとどうなるかを実験し、実際にAIによってつくられた本文部分のスピーチを掲載。長所と短所を観察した。今回は、前回の記事ではできなかった、オープニングとクロージングをつくらせてみた。

オープニングの作り方

 AIを活用する時の上手な使い方は、プロンプトをどう書くかにかかっている。具体的に指示を細かくすれば、ほぼ満足のできる回答をしてくれる。満足のいかない文章が返ってきた時は、プロンプトを変えてみると良いことは前回の実験で分かった。

 ということは、印象に残るオープニングはこんな感じだ、ということをプロンプトに打ち込めば、満足のいくオープニングが作成されるに違いない。それには、まず自分自身がオープニンとはなんぞや、という理解をする必要がある。

印象に残るオープニングとは

 開口一番何を話すかは大変重要だ。なぜなら、あなたの話を聞き手が聞こうと決心するか否かは、最初の30秒で決まってしまうと言われているからだ。まずは、してはいけないオープニングとはどんなものか見てみよう。

避けたいオープニング

次のようなオープニングをいろんなスピーチでよく聞く。

  • 「今日はお集まりいただきありがとうございます」
  • 「主催くださった〇〇さま、ありがとうございます」
  • 「まずはわが社の概要からご説明いたします」

 確かに、常識的にはこれで正解とも言える。しかし、このオープニングを聞いた時、あなたは、この人の話に興味をそそられるだろうか? これから先の話をずーっと聞きたいと思うだろうか?  多くの人の答えは、NOだろう。その理由は次の7−30秒ルールにある。

オープニングの基本「7秒-30秒ルール」

聞き手は最初の7秒で相手の印象を決め、30秒で興味があるか判断する

 聞き手は、7秒で話し手の印象を決め、30秒で、話し手の話に興味があるかどうかを判断する、といわれている。

 だから、最初の7秒で、「ありがとうございます」と言われても、特に印象に残らない。もちろん謝辞を述べるな、と言っているのではない。謝辞を述べるのは、オープニングの後でも構わない、というのが一つのセオリーだ。

 つまり、7秒でインパクトのある第一印象を与えて興味を引き、30秒で心をつかむことが、スピーチ全体の成功を大きく左右するわけなのだ。第一印象と第二印象を与えるといってもいいだろう。一度心を掴んでしまって、「よしこの人の話は面白そうだ、聞いてみよう」と思ってもらったところで、謝辞を述べる。このことが正しいことは次の記事が証明しているので、参考にして欲しい。

🔸「0からの逆転、投資家の心を掴むプレゼンオープニング3つのポイント」

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技術革新は変化をもたらす

「質問で始める」オープニング手法

 オープニングで、「この人の話をもっと聞きたい」と思わせるために、ブレイクスルースピーキングのウェビナー基礎コースでは、7種類のオープニング方法を教えている。その中で私が良く使う手法は、「質問で始める」という手法だ

 オープニングで効果的な質問を立てることは、聞き手の注意を引き、関心を喚起する強力な手法だ。質問は、ただ漠然と投げかけるのではなく、トピックに深く関わり、聞き手が実際に抱きがちな疑問を先取りして反映させるのがコツだ。このアプローチにより、聞き手は自分自身に関連すると感じ、話に対する興味と好奇心を抱くようになる。

質問から始めるオープニングのメリット・効果

1. 即時の関与を促す 

 人は、質問に直面すると、無意識のうちに答えを考え始める。だから、質問をすることによって、聞き手の注意を即座に引きつけ、プレゼンテーションの残りの部分への関心を高められる。最初の7秒の質問で、聞き手の注意を引き、彼らを話に「引き込む」ことができる。

2. 対話的な雰囲気を作り出す

 質問を通じて、聞き手は話し手が直接彼らに話しかけていると感じるだろう。これは、より対話的で参加を促す雰囲気を作り出し、プレゼンテーションを一方通行の情報伝達から、聞き手が積極的に関与する体験へと変えることができる。

3 話の方向性を示す

 最初に投げかける質問は、スピーチ・プレゼンテーションの主な焦点となるトピックを予告するようなものを選ぶ。これにより、聞き手は話の方向性を理解し、具体的な情報やトピックに対する示唆を期待する準備ができる。

 効果的な質問から始めるオープニングは、聞き手の注意を引き、彼らを話に没頭させるための鍵だ。この手法を活用することで、プレゼンテーションの成功に不可欠な、強力でポジティブな第一印象と第二印象を与えることができる。

ChatGPTを使って実際にオープニングを作る

 さて、いよいよここで実際にChatGPTを使って原稿を書いてみよう。上記に指摘した質問で始めるオープニングの3つのメリットを踏まえて、質問で始まる文章を作ってもらうことにする。しかし、注意する点としては、上記のメリットについては、AIは特に知る必要はないので、プロンプト(指示内容)には含めない。もっと具体的に何を書くのかを指示する。

オープニングで何を語るべきか

 オープニングで重要なのは、次の3つだ。

  1. Bang:注意を惹きつける
  2. Big Promise: 相手へのメリットを約束する
  3. Roadmap:どのような道筋で話すかを示す

まず最初に質問をしてインパクトを与えて注意を惹きつけて(Bang)、これから何を話すか、そのメインメッセージを紹介する。メインメッセージは、相手へのメリットを約束(Big Promise)するものがいい。そして最後に、道筋(Roadmap)を示すことで、聞き手にとってとても聞きやすいスピーチとなる。話し言葉は、書き言葉と違って、時間と共に情報が消えていく。だから常に先の道筋を示し、今、どこにいるのかを確認しながら話すのが聞き手にとっては、親切な行為となるのだ。

 

同じスレッドで作る

AIには、文脈を理解する能力があるので、同じスレッドでオープニングも作らせた方が良い。前回で作らせた本文部分の文章を前提として、その続きとして作らせることができるからだ。こうすることで整合性が簡単に出る。

今回も、前回同様、ChatGPT-4.0を使用した。テーマはスクワット。「毎日スクワットをすると体が変わる」。

🔸毎日スクワットをすると体が変わるの本論部分はこちら⇩

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オープニングのプロンプト

次の画像は、実際に私が書いたプロンプトを示している。

ChatGPT回答1:

オープニング

皆さん、朝起きて鏡を見たとき、もっと健康的な体を手に入れたいと思ったことはありませんか?疲れにくく、日々の活動に溢れる活力を感じたいと願ったことは?それとも、もう少しだけ体型を改善したいと思い描いたことはありますか?

今日、私は皆さんに一つのシンプルな解決策を紹介します。その答えは、「毎日スクワットをするだけで体が変わる」ということです。この一つの行動が、あなたの健康、体力、さらには人生をどのように変えることができるのかをお話しします。

まずは、太ももの大きな筋肉を鍛えることで基礎代謝を上げる方法から始めます。次に、背筋を鍛えることがいかに姿勢を改善し、健康的な体を維持するのに役立つかを見ていきます。そして最後に、私自身の体験を通じて、スクワットがいかに私の健康を取り戻し、日々の活動に活力をもたらしたかを共有します。

このスピーチを通じて、毎日スクワットを行うことの大切さを、皆さんと共有できればと思います。

解説:大成功!

 きちんと指示した通り、3つの質問を使ったオープニングを作ってきた。かなり効果的な内容だと感じたので、これはこのまま自分の原稿として採用することにした。本文を作った流れで、オープニングを作らせたので、特に指示をしなくても、きちんと内容を作ってきた。これが同じスレッドで作ることの利便性だ。

 特に問題点はない。合格だ。やはり、プロンプトを正しく打つことで、質の高い、自分の思い描いたような原稿が作れる、ということが証明された。

 ただ、だからと言って、本番を迎えるに当たり、これをこのまま丸暗記したり、棒読みしたりしてはいけない。なぜなら、それはすぐにバレてしまうからだ。不自然さというものは隠し通せるものではない。それこそ、機械的な話し方になってしまう恐れがある。人にはそれぞれ、自分の口癖とか、言いやすい表現というのがある。だから、このまま読むことはありえない。

 そこで、より自分らしさを表現するためには、細かい表現は自分なりの表現に変えることをおすすめしたい。たとえ一度、丸暗記するにしても、それを一度完全に忘れてしまうことが大切だと思う。なぜなら、そのことで、本来の自分の表現に立ち戻ることができ、そのままステージに向かえば、エッセンスだけを記憶に止めることができ、自分なりの言い方、表現方法に変えることができるからだ。

 印象に残るクロージング手法「行動喚起」

 クロージングも、オープニング同様に、的確なプロンプトを考えるために、まず、クロージングの最善策を一緒に学んでから、AIに作業をさせることにしたい。美味しいサンドイッチを作るには、両側のパンのクオリティが中身と同じくらい重要であるように、印象に残るスピーチには、強力なオープニングとクロージングが不可欠なのだ。

 効果的なクロージングをする型として、ブレイクスルースピーキングでは、あなたのメッセージをしっかり記憶に焼き付け、良い印象を持って聞き手に会場を後にしてもらうために、6つの手法を紹介している。ここでは、特に、ビジネスシーンという状況設定を考慮し、その状況でより効果を発揮すると思われる「行動喚起」をご紹介しよう。

ビジネスでおすすめの「行動喚起」

 ビジネスの目的は多様で、次のミーティングへの参加を促したり、その場での購入を目指したりすることがある。そのため、スピーチの終わりには、聞き手に明確な「ネクストステップ」を示し、「行動喚起」を行うことが重要だ。

 しかし、クロージングでの「行動喚起」は、一つのアクションに絞ることが重要。次のステップとしてあまり多くを提案すると、聞き手は圧倒されてしまい、結局どれも選択しない、行動に移さない可能性が出てくる。例えば、「展示会でのデモ参加」「ウェブでのイベント登録」「新商品カタログの受け取り」「セミナーアンケートの提出」などを、次々に、一度に提示するのではなく、最も重要な一つのアクションに焦点を絞って、スピーチを締めくくることが肝心である。

 さて、以上がクロージングの大きなポイントだが、本論が終わって、いきなりこのクロージング、行動喚起を言われても、聞き手としては、唐突な感じがしてしまい、スピーチとしての流れがスムースではない。そこで、次のようなステップを踏んでから、クロージングに入ると良い。

  1. 話全体の振り返り
  2. クロージングへの枕詞(final transition):明るい未来が待っているというようなメッセージ(silver spoon
  3. クロージング

 本論が終わったら、まずは、その全体を振り返って、要点を繰り返す。こうすることで、「スピーチはもうすぐ終わりますよ!」という予告の機能を果たすことになる。そして、スムースにクロージング(行動喚起)ができるように、その枕詞になるようなフレーズをつける(具体的にどういうことかはChatGPTが作成した実例文を参照)。そして、最後にクロージング(行動喚起)を促してスピーチを終了するのがセオリーだ。

ChatGPTを使ってクロージングを作る

 以上の内容を踏まえて、実際にChatGPTを使ってクロージングを作ってみよう。

クロージングのプロンプト

クロージングを考えてください。最初にスピーチ全体の振り返りをしてください。次にスクワットをすればこんな明るい未来が待っているよ!というようなことに触れ、最後にインパクトのある行動喚起でしめてください。

ChatGPTの回答2

私たちは今日、一つのシンプルな行動がいかに大きな変化をもたらすかについて話し合いました。まず、太ももの大きな筋肉を鍛えることで基礎代謝が上がり、日々のエネルギー消費量を増やす方法を探りました。次に、背筋を鍛えることが、姿勢を改善し、健康的な生活を送るための重要なステップであることを見てきました。そして、私自身の体験を通じて、スクワットが健康を取り戻し、日々の活動にどのように活力をもたらしたかを共有しました。

想像してみてください。毎日スクワットをすることで、あなたも同じような変化を体験することができます。もっとエネルギッシュになり、自信を持って生活することができるようになるでしょう。体型が改善され、健康的な毎日を送ることができるようになります。これらはすべて、毎日のスクワットから始まります。

では、ここから始めましょう。今日から、毎日スクワットを行うことを約束してください。小さな一歩から始めても構いません。大切なのは、継続することです。この簡単な行動が、あなたの健康、体力、そして人生を変える力を持っていることを忘れないでください。

「今日から、あなたの未来を変えるために、スクワットを始めましょう。

解説:またもや大成功!

 オープニングと同様、ほぼ満足のいく回答が得られた。プロンプトにしっかりした指示を書けば、このように満足できる文章が得られることが分かった。細かいところは、自分なりの言葉を使うことが重要であることは言うまでもない。

 つまり、クロージング、オープニングをどのようにしたいのか、「具体的に自分がイメージできていればいるほど、自分の満足いく回答が得られる」ということであり、それは同時に、「自分のイメージが曖昧だと、曖昧な文章しか得られない」ということでもある。いかに、自分の文章はかくあるべき、という明確な型を持っているかどうかが、ChatGPTを使いこなす際の成功の鍵になる。

 では、その成功の鍵となる型を学ぶにはどうすれば良いか、それはその型を学ぶことであり、自分の中身を豊かにし、より表現力を高めることである。そのためには、スピーチ教室のドアを叩いてみるのも一つの勇気ある行動だ。本講座もその手助けができれば幸いである。

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