プレゼンの質と結果が変わる、リハーサルの方法とは?

「信元夏代のスピーチ術」編集長 信元です。

皆さんはここ一番という大事なプレゼンがある時、リハーサルをしているでしょうか。

何回くらいしていますか?ミーティングでのプレゼンや発表の時はどうでしょう?

プレゼン慣れしている方であればあるほど、リハーサルをしなくなってしまう傾向にあるようです。

準備が大事、ということは頭では皆さん分かっていると思います。それでも、リハーサルを怠ってしまうのは、日々の業務についつい流されてしまうからでしょう。育児にも時間がとられているているワーキング・ペアレントならなおさら時間は取れないかもしれません。でも短い時間でも良いのでリハーサルにコミットし、効果的・効率的にリハーサルを行うと、スピーチの「質」だけではなく、結果までが大きく変わってきます。

実例をお話しましょう。

私がプロフェッショナルスピーカーとしてトレーニングを積んだ、Heroic Public Speakingというスクールがあります。略してHPS。まずHPSというところは、既にプロスピーカーとして活動していて、更に高みを目指す人達ばかりが集まる場です。そしてHPSのプログラムに入るには、面接を経て合格しなければいけません。私はこのHPSの2019年Grad programを卒業しているのですが、そのクラスメイトのMaxの実際の話です。

生え抜きのプロスピーカーたちが集まった、HPSのGraduate program最終日。信元は前列左から3番目
苦楽を共にした仲間たち。信元は奥真ん中(着席)、Maxは後列左はし(メガネの黒シャツ男性)

反対派多数だった決議を覆したMaxのリハーサル

Maxは62歳のカナダ人で、ホームレスを扱うチャリティー団体の理事をしています。彼の役割は、この団体のリーダーを育成すること。ある時Maxは、理事会で、ホームレスを助けるプロジェクトの決議に関わる大事なプレゼンを任されました。全部で14人いる役員理事のうち、この決議会議の前の段階では、10人が反対、4人が賛成だったと言います。これを覆すことがMaxのゴールでした。

たった10分のプレゼンでしたが、Maxは会議前の1週間、毎日リハーサルを続けました。周りの人たちには、「たかが内輪のミーティングのためにリハーサルをするなんて、バカげている」とまで言われたそうですが、Maxはそんな周りの目を気にせず、ゴールを実現するためにリハーサルを辞めませんでした。そのリハーサルでMaxが繰り返し練習したのは、プレゼンを滞りなくデリバリーすること、だけでなく、決議を揺るがすことになる、次の1点のためでした。

それは、一番最後のセリフのデリバリーの仕方です。

セリフはたった1フレーズ、「If we don’t do this, you will leave all of them on our street.」

Maxはこのたった1つのフレーズを何度も練習しました。

このフレーズは、Maxにとって、いわゆる「キメ台詞」でした。理事全員に、ハッと我に返ってもらい、自分事として感じてもらい、感情を揺さぶって危機感を一気に高めて、Yesと言わせる。それをたったこの一言、実現しよう、という、何よりも大事なキメ台詞でした。

相手に意図した感情を抱かせ、行動に繋げる、Playing Actionsとは?

相手にどんな感情を持ってもらいたいのか。それをしっかり頭の中でシュミレーションした上で、どんな言い方をすれば、意図した感情を引き起こせるのか。

これを、HPSの用語で, Playing Actionといます。「行動に影響を与える」と言い換えられると思いますが、人は感情が動いて初めて行動につながります。そのためには相手にどんな感情を持ってもらいたいのか。それを想定して、たった一文のセリフでも、色々な言い方を工夫しながら探っていくんです。

そして決議会議の当日、Maxは10分のプレゼンを滞りなく進めました。そして最後のキメ台詞を前にして、Maxは一番反対派だった理事の目の前に立ちはだかり、両眼をしっかり相手の両目に合わせ、威圧的な声で一言を放ちます。If we don’t do this, you will leave all of them on our street.」

そして目線を数秒離さず、一言も話さず、相手の感情が動いた、と直感したところで、そのまま部屋を立ち去りました。

その結果。

10対4で反対意見が大多数だった理事は、なんと3対11で大逆転し、プロジェクトの実現が決まりました。

 

たった10分のプレゼンでも、「たかが」内輪の会議でも、1週間、試行錯誤しながら色々な方法でPlaying Actionsを試しながらリハーサルを続けたからこそ、Maxは結果を覆すことができたんです。

効果的なリハーサルの頻度は?回数は?

リハーサルは、スピーチ・プレゼンの質を高めるだけでなくて、結果を変えるほど、大きな力となります。

Maxの場合は1週間毎日リハーサルをしたと言います。

みなさんの場合はどうでしょうか。どんな内容のプレゼンなのか、なにをゴールとするのか、長さはどれくらいなのか、どんな場でプレゼンをするのか、聞き手はどんな人たちなのか、などなどによって、リハーサルの必要回数や頻度は変わってくると思います。

目安にしかすぎませんが、例えば、私がトーストマスターズのスピーチコンテストに出場していた時は、たった7分のスピーチでも、予選から決勝までの5か月間を通して300回ほど練習をしました。

普段から慣れている仕事のコンテンツのプレゼンで10分、15分程度なら、1週間くらい毎日リハーサルをします。あまりにも忙しい場合は、前3日で集中してやることもあります

基調講演の場合は、大舞台に立って何百人もいる場なので、しっかりパフォーマンスをしないといけません。通常基調講演は、45分から1時間くらいです。その場合、約1ヶ月間の間、毎日最低1回、直前1週間では毎日最低2回は通しリハーサルを続けて、徹底的にコンテンツを体に叩き込みました。更には、講演1週間から2週間前に1度、慎重に選んだ人たちだけを集めた人前でのリハーサルを実施。講演1週間から3日前のタイミングでも、再度人前でのリハーサルを行います。人前、と言っても、Zoomでやることが多いですが、それでも、ライブの状態で複数の人に見られている、という状況だと、やはり若干の緊張感があります。

一人でリハーサルする際の最大のコツ

ただし!どんなにリハーサルを重ねても、本番のコンディションによって、パフォーマンスが大きく左右されます。練習の時には絶対に間違えなかったところ、抜け飛びがなかったところ、で、ふっと間違えたり、ということはか・な・ら・ずあります。だからこそ、一人でリハーサルする際の最大のコツは、毎回違う環境をあえて作る、ということです。

例えば、先ほどお話した、人を集めて、いつもと違う緊張感を作ってリハーサルをやる、というのがやは最も効果的ですが、毎回人を集めるのも大変です。ほとんどの場合、リハーサルは一人で自主練をすることになるでしょう。

一人で練習する場合にも、違う環境を作ることはできます。

違う部屋でやる、同じ部屋でも違う方向を向いてやる、ぬいぐるみをいくつか置いたり、ペットに向かって話したり、写真を沢山並べてそれに向かってやる、テレビをつけて無音にした状態で、移り変わる画面を見ながら気が散る要素をあえて作ってやる、部屋の中でグルグル歩き回りながらやる、運転しながらやる、エクササイズしながらやる、などなど。え?ぬいぐるみに向かって?と思うかもしれませんが、リハーサルの際、想像力を使うことも大切です。このぬいぐるみは強面の反応が少ない観客、こっちのぬいぐるみは全てに好意的な反応をしてくれる観客、こっちは頻繁に携帯電話を見て気がそらされてしまう人、などなど、聞き手のタイプや反応を想像しながら、色々工夫をしてリハーサルをしてみることです。

ポイントは、リハーサルをやる環境に慣れてしまわないこと。だって本番は、いつもと違う場所で違う人がいる状態でやるわけですから、本能的に焦ってしまうことのないように、普段から、「慣れ」を作らないようにしながらリハーサルをやるんです。

もし誰かに見られたら、なんだあのへんな人?!という状態かもしれませんが、それで「結果」を出せるなら、ちょっとくらい変な人になって見てもいいと思います!

皆さんも、どんなふうにリハーサルの環境を変えられるか、工夫してみてくださいね。

 

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