「信元夏代のスピーチ術」編集長 信元です。
では、冒頭の30秒間でOne Big Messageを示唆する「インパクトある手法」には、どんな手法があるのでしょうか。
ブレイクスルー・スピーキングのウェビナーテーマ別実践クラス、「7秒で印象激変!オープニング7つの手法」でご紹介する手法のうち、ここに2つをご紹介いたします。
最初の7秒で印象づける、オープニング手法
(1)いきなりストーリーではじめる
人は、複雑な内容をシンプルに語られるよりも、シンプルな内容を巧みなストーリーとして語られたほうが興味が引かれるものです。
ですから冒頭から、ストーリーを語り始めると、その意外性ある出だしと、ストーリーへの興味で、聞き手は、「この人の話をもっと聞きたい!」「次を聞きたい!」と思わせられるのです。
例えば筆者が企業セミナーを実施するときにもこの手法を使うことが良くあります。
もちろん、セミナー講師としてのクレディビリティーが得られるように自己紹介もしなければならないのですが、例えば普通に、「Good morning everyone. My name is Natsuyo. Let me go over my background」とはじめたとしても、「上司に出ろといわれた研修だから来たけど。。。」「仕事忙しいのになあ。。。」という気持ちで参加している受講者などの心をつかむことはできません。
その代わりに、次のような感じで話し始めるのです。
「I wanna bring you back to March 2014, I was sitting next to Mr. Suzuki, the president of your company, at an Irish bar.
We had just finished the annual college alumni event with great success. We were casually talking about many things, but then he said to me, “I’ve known you for a few years now, but I don’t exactly know what you do. What kind of consulting work do you do? ….」
研修だと構えていた受講者は、「2014年3月のことです」という冒頭に、「あれっ?何か違うぞ?」と思い耳を傾けます。
次に、「おたくの鈴木社長とアイリッシュバーで隣り合わせになったんですが」というストーリーが続き、益々興味が出てきます。
そしてこのストーリは、「あなたのコンサルティングの仕事ってどんな仕事なの?」と聞かれた台詞からその先に展開していきますので、ここでストーリーの中の会話として私のバックグラウンドを簡潔に話してしまうことができます。
また「社長とこうやって話ができる関係だ」ということを、これまたストーリーの中でほのめかせていますので、講師の立場としての私の信頼性もそれとなくアピールしています。
更にその先のストーリーでは、なぜ社長が、私にこの研修を依頼しようと思ったか、その経緯や社長の意図、会社としての企業目標・ゴールなどもさらっと「ストーリー」の一部として話をしてしまい、なぜ受講者の皆さんがこの場にいるのか、という意義や動機付けにもつなげていけるのです。
上記の英文をタイマーで図ってみてください。だいたい30秒くらいです。
受講者の興味をひきつけるには十分な時間です。
(2)引用からはじめる
もうひとつ、冒頭で注目を一気にひきつける手法としては、著名人などの引用句を用いる、というものがあります。
ひとつ例をご紹介しましょう。
パトリシア・フリップというプロフェッショナル・スピーカーの方の、この動画をご覧ください:
このような出だしです:
“David Bowie sang we can be a hero just for one day (ここまで見事ぴったり7秒). If you can be a hero for a day, can you be a hero for a week? If you can be a hero for a week, then a month? However, if a day is too much, can you be a hero for 10 minutes? (ここまでで25秒)”
歌手のデビッド・ボウイの歌の歌詞を引用して語りかけています。
「デビッド・ボウイは、私たちは1日だけヒーローになることができる、と歌っています。
もし1日ヒーローになれるなら、1週間はどうでしょう?1週間が可能なら1ヶ月は?
でも1日でもちょっと永すぎるならば、10分間ヒーローになってみることはできるでしょうか。」
この後、いかにスピーカーとして10分間の栄光を作り上げるにはどうしたらよいのか、という話に続いていきます。
どうですか?
見事7秒~30秒で強烈にひきつけられませんでしたか?
しかもこの引用句を本題にしっかりと繋げており、それをたった25秒で達成していますからお見事です。
みなさんも、原稿を読むスピーチから、冒頭からあっと言わせる語りかけスピーチを実践してみませんか?