ブレイクスルー・メソッドとは何か?|伝わるスピーチをつくる独自メソッドを解説

”信元夏代のスピーチ術” 編集長、プロフェッショナルスピーカーの 信元です。

「話す内容はきちんと準備したのに、なぜか相手に響かない」

「英語も日本語も、文法的には間違っていないはずなのに、聞き手の心が動いた手応えがない」

グローバルな場で話す機会が増えるほど、こうした壁にぶつかる方は少なくありません。その壁を越えるために私が20年以上かけて体系化してきたのが、「ブレイクスルー・メソッド™」です。一言で言うと、ロジカル思考×ストーリー術×異文化、という3つの軸を掛け合わせ、文化や言葉の壁を越えて「伝わる」、相手の頭と心を動かすための技術です。

今日は、このメソッドを構成する代表的な独自コンセプトを、まとめてご紹介します。

この記事でわかること

  • ブレイクスルー・メソッドが、なぜ「ロジカル思考×ストーリー術×異文化」の掛け算なのか
  • 「何を」伝えるかを固める技術(ワンビッグメッセージ®、メインポイント、GPSシート、9段階構造)
  • 「どう」伝えるかを磨く技術(オープニングの3要素と7秒-30秒ルール、オープニング・クロージング手法)
  • 聞き手の感情を動かす技術(シルバースプーンとバーバルナイフ、スキャン&ストップ、戦略的ストーリー6つのC®)

なお、ブレイクスルー・メソッドには、この記事でご紹介する以外にも数多くの技術やコンセプトが存在します。ここでは、その中でも特に代表的なものを取り上げています。

ブレイクスルー・メソッド™とは——「ロジカル×ストーリー×異文化」の掛け算

世の中には、話し方教室やプレゼン講座がたくさんあります。ですが、その多くは「声の出し方」「身振り手振り」「スライドの作り方」といった、表面的なテクニックに終始しがちです。

ブレイクスルー・メソッドが他と違うのは、論理的に破綻のない構成力(ロジカル思考)、聞き手の記憶に残るストーリーテリング(ストーリー術)、そして文化や価値観の違いを乗り越える異文化コミュニケーション理論(異文化)という、本来別々に語られがちな3つの領域を、1つの技術として掛け合わせている点です。

どれか1つが欠けても、「伝わる」は実現しません。ロジカルなだけでは心が動きませんし、ストーリーだけでは論理的な説得力に欠けます。そして、日本語の中でしか通用しない「察してもらう」前提のコミュニケーションでは、文化の異なる相手には届きません。この3つを掛け合わせることで初めて、言葉や国境を越えて「相手の頭と心を動かす」スピーチやプレゼンが可能になるのです。

「何を」伝えるかを固める:ワンビッグメッセージ®とGPSシート

ブレイクスルー・メソッドの出発点は、「結局、あなたが相手に一番伝わってほしいことは何か」を、たった一つに絞り込むことです。これを、ワンビッグメッセージ®と呼んでいます。日本語なら20字、英語なら10ワード程度まで削ぎ落とすのが目安です。

そしてこのワンビッグメッセージ®を支える根拠として、3つのメインポイントを用意します。ワンビッグメッセージ®を頂点に、それを支えるメインポイントが土台となるこの構造は、ロジカル思考の基本であるピラミッド構造そのものです。メインポイントからワンビッグメッセージ®に向かって「だから何?(So What?)」、逆にワンビッグメッセージ®からメインポイントに向かって「なぜそう言えるのか?(Why So?)」という、2つの方向から検証することで、ピラミッドの土台から頂点まで、論理の抜け漏れがないかを確かめます。ここがまさに「ロジカル思考」の土台部分です。

とはいえ、「ワンビッグメッセージ®を決めて、メインポイントを3つ考えて……」と言われても、いきなり白紙から作るのは大変です。そこで使うのが、構成の骨子をたった1枚にまとめるGPSシートです。GPS=Global Public Speakingの略でもあり、カーナビのGPSにもかけています。

GPSシートでは、STEP1「WHY(誰に、何のために話すのか)」、STEP2「WHAT(ワンビッグメッセージ®とメインポイントは何か)」、STEP3「HOW(オープニングから3つのメインポイント、クロージングまで、どう構成するか)」の3段階で、聞き手視点のスピーチ設計図を作っていきます。

GPSシートのSTEP3で設計する構成の骨格が、9段階構造です。

ポイントは、3つのメインポイントの間に必ず「移行」を挟むことです。移行がないと、情報がただの「点」として並ぶだけの、退屈なプレゼンになってしまいます。移行を入れることで点と点が「線」としてつながり、聞き手は最後まで興味を持続させたまま話についてきてくれます。そしてこの9段階すべてが、常に一つのワンビッグメッセージ®という横軸に向かって収束していく——これが、ブレイクスルー・メソッドの構成における一貫性の正体です。

「どう」伝えるかを磨く:つかみと締めの技術

オープニングには、3つの要素を以下の順番で入れます。

  1. まず現状の危機感や課題を突きつけるThe Bang(インパクト)
  2. 次に「その解決策があります」というような、Big Promise(聞き手への約束)
  3. そして「今日はその理由を3つお話しします」というような、Roadmap(話の道筋)です。

なぜこの順番が大切なのでしょうか。

聞き手は、話し始めてから7秒であなたの第一印象を決め、30秒でこの話を聞き続けたいかどうかを判断すると言われています。これを、ブレイクスルー・メソッドでは「7秒-30秒ルール」と呼んでいます。

「本日はお集まりいただきありがとうございます」から入る自己紹介型のオープニングでは、この勝負どころの7秒を無駄にしてしまいます。The Bangでまず7秒の心をつかみ、Big PromiseとRoadmapで30秒の関心を勝ち取る——オープニングの3要素は、この7秒-30秒ルールを実現するための具体的な設計図でもあるのです。

ウェビナー基礎コースでは、印象に残る7つのオープニング手法をお伝えしています。よく使うものだけでも、ストーリーで始める、パワフルな質問で始める、驚きの事実で始める、引用句で始める、あえて無言で始める、など、状況や聞き手に応じて選べる引き出しが複数あります。

クロージングも同様に、永く心に残る6つのクロージング手法があります。行動喚起(次に取ってほしい具体的なアクションを一つに絞って伝える)、サーキュラー・メソッド(オープニングと同じ言葉やストーリーに戻り、丸く締めくくる)、引用句で締める、パワフルな質問で締める、ストーリーで締めるなど、いずれも「Q&Aで終わらせない」「ワンビッグメッセージ®を聞き手の記憶に焼き付けて終わる」ことを狙った技術です。

聞き手の感情を動かす:シルバースプーンとバーバルナイフ、スキャン&ストップ

ロジカルな構成ができたら、次はその中身に、聞き手の感情を揺さぶる仕掛けを組み込みます。

シルバースプーン手法は、メッセージ通りに行動した先にある、明るく魅力的な未来を見せる手法です。反対にバーバルナイフ手法は、行動しなかった場合に起こりうる危機やリスクを、言葉の刃で突きつける手法です。この2つを交互に使うことで、聞き手の感情に「山」と「谷」の振れ幅が生まれ、メッセージへの納得感が格段に高まります。

また、話している最中の目線にも技術があります。スキャン&ストップは、会場全体をゆっくり見渡しながら、重要なメッセージを伝える瞬間には、反応の良い一人の聞き手にしっかり目線を止める、というテクニックです。誰か一人と目が合うだけで、会場全体が「自分に話しかけられている」ように感じるので、大人数の前でも一対一の対話のような臨場感が生まれます。

ストーリーに命を吹き込む:戦略的ストーリー6つのC®

そして、ブレイクスルー・メソッドの中核をなすのが、聞き手を物語に引き込むためのストーリー構築法、戦略的ストーリー6つのC®(The 6C’s of Strategic Storytelling®)です。

Character(登場人物)、Circumstance(状況設定)、Conflict(葛藤・困難)、Cure(救済・打開策)、Change(変化)、Carryout(学びの持ち帰り)——映画やドラマの脚本にも使われるこの6つの要素で構成することで、統計データや正論だけでは動かない聞き手の心に、ストーリーとして深く刺さるメッセージを届けることができます。特にConflictは、ショッピングモールのエスカレーターのように、上昇と安定を何度か繰り返しながら段階的に盛り上げていく「モールエスカレーター方式」を意識すると、聞き手の緊張感がより持続します。

ブレイクスルー・メソッドとは、頭と心を動かす技術である

ここまでご紹介してきたのはブレイクスルー・メソッドの一部分ですが、核となるコンセプトです。ワンビッグメッセージ®、GPSシート、9段階構造、オープニングの3要素と7秒-30秒ルール、オープニング・クロージング手法、シルバースプーンとバーバルナイフ、スキャン&ストップ、戦略的ストーリー6つのC®、モールエスカレーター手法...これらはすべて、バラバラの小手先テクニックではなく、「ロジカル思考×ストーリー術×異文化」という一つの技術体系の中の、歯車として組み込まれています。

ブレイクスルー・メソッドとは、文化や言葉の壁を越えて「伝わる」、相手の頭と心を動かすための技術です。

よくある質問

Q. ブレイクスルー・メソッドは、英語のスピーチだけでなく日本語のスピーチにも使えますか?
A. もちろんです。もともと「異文化コミュニケーション」の視点を組み込んだメソッドなので、日本語同士のコミュニケーションであっても、世代や立場、企業文化の違いといった「異文化」を越えるために応用できます。

Q. ワンビッグメッセージ®とメインポイントは、どう違うのですか?
A. ワンビッグメッセージ®は、聞き手に一番伝えたい「メインメッセージ」そのものです。メインポイントは、その結論が正しいと聞き手に納得してもらうための「根拠・理由」にあたり、ピラミッド構造の土台として3つ用意するのが基本です。

Q. GPSシートや9段階構造は、独学でも身につけられますか?
A. 拙著『20字に削ぎ落とせ』やブログ記事でも基本の考え方はお伝えしていますが、自分自身のスピーチに落とし込む過程では、客観的なフィードバックが欠かせません。ウェビナー基礎コースや個人コーチングでは、実際に手を動かしながら、お一人お一人の題材で実践的に身につけていただけます。

Q. どの手法から学び始めるのが良いですか?
A. まずはワンビッグメッセージ®とGPSシートで「何を伝えるか」を固めることをお勧めします。土台が定まって初めて、オープニング手法やストーリーの技術が生きてきます。

>ウェビナー基礎コースのお申込みはコチラ!

ウェビナー基礎コースのお申込みはコチラ!

伝えるだけでは、人は動かない。

「動かす」ための世界標準スピーチ術を、1か月で習得しませんか?
お申込みは公式ページから!

CTR IMG