「信元夏代のスピーチ術」編集長 信元です。
Q&Aを一番最後に行うべからず!
セミナーやワークショップ、シンポジウムなどなど、あらゆるスピーキングの場面で遭遇するのは「Q&Aで締める」という構成です。
スピーチの流れを乱さないよう、途中で質問するのではなく最後にまとめて…という理屈も分かるのですが、実はこれは大きな落とし穴なのです。
Q&Aでは様々な角度から質問がされることでしょう。
スピーチ中盤でふと疑問に思っていたことを書き留めておいて、そのポイントに戻った質問をする方、自分自身のケースにあてはめて、ご自身のストーリーに基づき質問をされる方、あるいは少々的外れな質問や、「感想」を述べる方もいらっしゃるかもしれません。
ここでリーセンシー効果を考えてみてください。
Q&Aを一番最後に持ってきた場合、聞き手はどんなメッセージを持ち帰るのでしょうか。
そうです。
Q&Aで交わされた「他人のメッセージ」が、会場全体の聞き手の脳裏に最も残ることになってしまいます。
One Big Messageを聞き手の記憶に残す
スピーチを行う際には、どんなスピーチでも何らかの目的があります。
伝えたいたった一つのメッセージ、One BIG Messageを聞き手の脳裏に焼き付け、目的を達成するため、様々な戦略的技法を凝らしながらスピーチを組み立てるのです。
にもかかわらずリーセンシー効果のおかげで、Q&Aでのいわば「雑音」が、聞き手にとっての「最新情報」となってしまい、One BIG Messageを最大のメッセージとして聞き手の記憶に残すことは難しくなってしまいます。
そうなると、スピーチの目的は達成できません。
ですから、Q&Aを行った後は、かならずもう一度、全体総括してOne BIG Messageを焼き付けつけるようなクロージングで締めることをお薦めします。