非言語コミュニケーションとは?表情やしぐさによる異文化間の誤解と円滑なコミュニケーションのコツ

国際的な場で活躍する上で、どうしても避けられないのは、文化の違いから生じる誤解だ。

この誤解を生む要因には、いろいろ考えられるが、表情やしぐさといった、非言語コミュニケーションを正しく理解していないために生じるところが大きい。しかし、言い換えれば、この壁を乗り越えられれば、相手と良好な関係を築くのはスムースだ。

そこで今回は、非言語コミュニケーションによる異文化間の誤解にフォーカスし、まず非言語コミュニケーションとは何か説明した上で、それを起因とする誤解について解説、最後にそれらの知識を活かして外国人と上手にコミュニケーションをとるコツを紹介する。

普段の意識的、無意識的にしているちょっとしたことが誤解に繋がる可能性があるので、外国人と仕事をしたり接する機会の多い方におすすめだ。

1.非言語コミュニケーションとは?

非言語コミュニケーションとは、言語以外の方法を用いたコミュニケーションのことで、人間関係や社会習慣などを背景に、表情や視線、しぐさ、身振り手振り、声のトーン、体勢、話すときの物理的な距離などを重視したコミュニケーション方法だ。人間は、このような言語以外のメッセージを活用し、意識的、無意識的に、意思疎通をはかっている。

2.非言語コミュニケーションのメリット・デメリット

  • メリット
    感情を効果的に補強できる。相手の気持ちを察することができる
  • デメリット
    言葉と表情の不一致・文化の差の不理解・非言語に頼りすぎる、これら3つを起因として誤解が生じたり真意が伝わらなくなる

メリット

非言語コミュニケーションのメリットは、うまく使うことで、感情表現などを効果的に補強できることである。特に、実際の放たれた言葉よりも、その時の話す雰囲気とか態度に聞き手は影響を受けやすいので、言葉と表情を一致させることで、聞き手に強い影響を与えることができる。また、言葉が使えない状況(病気の人の看護)などでは、非言語メッセージに敏感になることで相手の気持ちを察することができる。

デメリット

またデメリットは、

  1. 言葉と表情が一致していない
  2. 非言語による文化の差を理解していない
  3. 非言語に頼りすぎたりする

上記3つを起因としていろんな誤解が生じたり、真意が伝わらなくなることだ。それについては以下に詳しく述べてみたい。

3.非言語コミュニケーションがもたらす3つの誤解

異文化間で非言語コミュニケーションがもたらす誤解は先ほどデメリットでお伝えした3つとなる。

  1. 言葉と表情(非言語)の不一致による誤解
  2. 文化の差を理解していないことによる誤解
  3. 非言語コミュニケーションに頼りすぎることによる誤解

(1)言葉と表情の不一致による誤解

1つ目は、言葉と表情が一致していない為におこる誤解だ。非言語メッセージと言語メッセージが矛盾していると誤解が生じる。

パターン1.喜怒哀楽の言葉と表情との不一致は不信感を生む

喜怒哀楽を伝える場合は、特に、この非言語コミュニケーションに頼るところが大きい。なぜなら、喜怒哀楽について、私たち人間は実際の言語よりも非言語要素を重要視して、相手の意図を解釈する傾向があるからだ。

例えば、「さすがですね!」という言葉とは裏腹に、怒ったような態度をとる人に対して、明らかにあなたは相手の真意を計りかね、困惑し、「何を怒っているのか」を模索するに違いない。この不一致は、誤解のみならず不信感をも生んでしまう。

喜怒哀楽を伝える場合は、言葉だけでなく、感情も表情に出すことが重要だ。

パターン2.聞いている時の態度の不一致は人格を疑われる

相手が一生懸命話しているのに、パソコンを見ながら心ない態度で話を聞いていては、相手から信頼を失うことになるかもしれない。実はあなたは本当に内容を聞けているのかもしれない。しかし、あなたの真意と非言語メッセージ(態度)が一致していないので、あなた自身の人格さえ疑われてしまう。

ここは、しっかり相手の目を見て、うなずいたり、体を相手の方に向けることで、信頼やより良い人間関係を築けるだろう。

パターン3.本来笑うべきでない箇所での笑み、ジャパニーズスマイルは誤解を生む典型例

さて、日本人独特の意味のないあいそ笑いは、ジャパニーズスマイルと呼ばれ、誤解を生む典型例だ。

感情とは裏腹に終始ニコニコする、日本人がよくやるあれだ。ネガティブな態度をとるとその場の空気を悪くするので、内心怒っていても笑顔を保つことで、和を乱さないように心がけているのだろう。私も昔はよくやっていた。

しかし、グローバルな場面でこれをしてしまうと、誤解の大きな原因になる。非言語メッセージと言語メッセージが一致していないため、相手に対して、あなたの真意・愛情が伝わらないのだ。

グローバルな場面では、必要以上にほほ笑んだりしない事だ。(ちなみに欧米で、他人と目が合った時にニコッとするのは挨拶がわり)

(2)文化の差を理解していないことによる誤解

2つ目は、非言語による文化の差を理解していないことでおこる誤解だ。

「うなずく」行為、文化が違えば意味が異なること、知ってますか?

例えば、うなずく、と言う表面的な行為について考えてみよう。

アメリカ人がプレゼンをし、聴衆の半分以上は日本人という状況下。よく見られる典型的なシーンは、日本人はミーティング中は発言しないで、うなずくのみ。一方で、アメリカ人は意見を多発する。あなたはこんな場面見たことあるだろうか。

さて、この場合、発表者のアメリカ人は、どう解釈するのか?

アメリカ人の考える「うなずく」

アメリカ人が考える「うなずく」と言う行為は、同意しているという意味に他ならない。そしてこの状況下で、アメリカ人が見る日本人の言動は、うなずき。特に反論も質問もない。だからこのアメリカ人発表者は、「すべて賛成してくれている、この案件は承認されたと同じこと」と勘違いしやすい。

日本人の考える「うなずく」

一方で、日本人が考える「うなずく」という行為は、あなたの話を聞いている、というサインであり、同意しているわけではない。だから、「実は反対なのだが、大勢いる場では和を乱すべきではない。ここで反対意見を述べては、相手の面目を潰すかもしれない。ここは会議が終わってから個別にじっくり話をしたほうがいいだろう」と考える。

このように、同じ「うなずく」という行為だが、文化的な解釈が違うため、両者に誤解が生じてしまう。

(3)非言語コミュニケーションに頼りすぎることによる誤解

3つ目は、非言語コミュニケーション(言葉以外)に頼りすぎることで起こる誤解だ。

日本では、特に文化的に、「あ・うんの呼吸」や「空気を読む」など、言葉で言い表さなくても分かり合える、という暗黙の了解がある。伝統的に、特に日本の男性は、黙っていることに美意識を感じる傾向がある。つまり、日本では、言いたいことをあえて言わないことに趣きを感じるので、省略することがいいと思い、それを察しない人は野暮だと思われている。

この為、違う文化圏の人に対しても、日本人を相手にするのと同様に、表情を読んだり、言葉の裏の意味をくみ取ろうとして(非言語コミュニケーションに頼りすぎる)しまい、誤解が生じてしまうのだ。

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世界には2つのコミュニケーションパターンがある

世界には2つのコミュニケーションパターンがあるのは、ご存知だろうか。アメリカの文化人類学者のエドワード・ホールによると、

  1. 低コンテキスト
  2. 高コンテキスト

の二つがあると言う。

低コンテキストとは、は、言語コミュニケーションに大きく依存し、言葉以外のものはあまり考慮しない「言葉の文化」のことだ。コンテキスト(文脈)への依存度が低いので「低コンテキスト」と呼ばれる。ホールの分類によれば、欧米諸国はこの「低コンテキスト」文化に属する。

高コンテキストとは、非言語コミュニケーションに大きく依存し、日本でお馴染みの「察しの文化」とも呼ばれるものだ。コンテキストへの依存度が高いので、「高コンテキスト」と呼ばれる。日本は、この高コンテキスト文化圏に属する

コミュニケーションパターンの違いが異文化間の誤解の温床

この低コンテキスト(言葉に依存する)と高コンテキスト(言葉に依存しない)とのギャップが誤解の温床となる。日本人が、低コンテキスト文化圏の欧米人とコミュニケーションを取るときに誤解が生じるのはこのせいだ。

低コンテキストの文化圏の人は理解してもらいたい事は全て言葉にする

低コンテキスト文化圏の人は、高コンテキストな日本人とは反対の価値観を持っていて、言いたいことは全部言葉にして言わないと伝わらないのが当たり前だと思っている。言葉に頼っているので、非言語の部分が言語化されていないと理解ができない。

日本人が、欧米人との間で誤解が生じやすいのは非言語コミュニケーションに頼りすぎている(高コンテキスト)から

日本人と欧米人との間で誤解が生じるのは、対話(話をする時/聞くとき)に、非言語コミュニケーションに頼りすぎているためだ。

話すときは、相手も日本人同様非言語メッセージが分かると誤解して、日本流の会話をそのまま押し通す。しかし相手は発した言葉をそのまま解釈するので、コミュニケーションが成り立たず誤解につながる。

逆に、相手の話しを聞くときは、彼らの非言語の部分を理解し、分かったつもりで、「非言語コミュニケーションは言語コミュニケーションよりも重要」と、拡大解釈をしてしまう傾向があり、やはり誤解してしまう。

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4.異文化間の誤解を解く3ステップ

では、これらコミュニケーションパターンの違う文化圏の人との間で誤解を避ける方法を紹介しよう。異文化の人と接する時は、この3ステップを意識し、活用することで、誤解を避けることができる。このステップは、対外国人だけでなく、日本人同士でも使えるので是非覚えていただきたい内容だ。

  1. 文化の差があることに対して、見聞を広め、認識すること。
  2. 相手と自分がコンテキスト(文脈)に対してどのような依存度か(低コンテキストなのか、高コンテキストなのか)を分析する
  3. 相手が低コンテキストであれば、言わない非言語部分のメッセージを言語化する努力を試みる。相手が高コンテキストであれば、相手の表情を見ながら適切な対応をする。つまり、非言語を言語化したメッセージは用意しておき、必要であれば伝える。

異文化間では、まず「言葉(言語コミュニケーション)で正しく伝える」ことが重要

非言語コミュニケーションは、あくまでも対話やプレゼン・スピーチの内容を補うのが目的だ。特に高コンテキスト文化圏に属する私たちは、非言語に隠された意味を言語化することで、低コンテキストの人たちに真意を伝えることができる。

以心伝心を信じるあまり、「ありがとう」と言わなくても分かる、と言うわけにはいかない。はっきりと言葉に出してコミュニケーションを取らなくては、特に相手が低コンテキストの人であれば、こちらの真意が伝わらないのだ。

非言語メッセージを言語化する努力を

日本人は、他の文化圏の人と比べると、非言語コミュニケーションが得意であり、言語コミュニケーションが苦手だと言える。しかし、それは特徴として活かしながら、弱点を補強するために、非言語メッセージを言語化する努力を怠らないようにしたい。そうすることで、より良い国際的コミュニケーションがとれるだろう。

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態度や伝え方は、感情を伝える場合に限定して重要

ここで、メラビアンの法則を知っている人の中には、「言葉より、態度や表情、伝え方が大事だったような?」と疑問に思う方が出てくると思う。

メラビアンの法則

感情や態度について矛盾したメッセージが発せられたときの人の受けとめ方について、人の行動が他人にどのように影響を及ぼすかというと、話の内容などの言語情報が7%、口調や話の早さなどの聴覚情報が38%、見た目などの視覚情報が55%の割合であった。この割合から「7-38-55のルール」とも言われる。「言語情報=Verbal」「聴覚情報=Vocal」「視覚情報=Visual」の頭文字を取って「3Vの法則」ともいわれている。(wikipediaより)

メラビアンの法則をもとに、「話の内容よりも態度や伝え方が大事」といった誤解や誤用も多く聞かれるが、それは限定的には正しいが、全体的には間違いだ。すでに述べたように、それは「感情を伝えるときに、不一致した非言語と言語メッセージを送った場合」という場面に限定される。言葉による伝達の重要性を否定しているわけではない。

5.日本人が外国人と上手にコミュニケーションする4つのコツ

最後に、非言語に頼りがちな日本人(高コンテキスト)が異文化間、外国人と上手にコミュニケーションをとるコツを4つご紹介しよう。相手の文化圏(低コンテキスト・高コンテキスト)によらず、外国人と接する際に常に意識することで、国籍によらず円滑にコミュニケーションをとることができるようになる。

  1. 非言語コミュニケーション(表情)と言語メッセージを一致させる。表情は豊かに。
  2. 相手の文化を理解、誤解を生む要素があると心の準備をする。相手が低コンテキスト文化圏かチェックすると◎
  3. 普段慣れている非言語メッセージを言語化する訓練を。細かな感情の違いを具体的に言葉で表現できるように。
  4. 結論の抜けに注意!「説明したから分かっているだろう」ではなく、結論は改めて(何回も)述べる。

(1)まずは、非言語コミュニケーションと言語メーセージを一致させることでより効果的に意思伝達ができる。悲しい時には悲しい表情で、嬉しい時には笑顔で! 

(2)そして、相手の文化を理解することが大切。特に、外国人とコミュニケーションを取るときには、「うなずき」の例にみたように、「自分の文化と同じ行為でも、全く違う解釈をしているかもしれない」と心の準備をしておくこと。また、相手が低コンテキスト文化の影響を受けているかどうか、もチェックしておくべきだ。

(3)さらに、非言語メッセージのみに頼ってはいけない。言わない部分を、あえて言語化する訓練を普段からしておくべきだろう。構成・言葉の選択には、より具体的に、はっきりとした言葉を選ぶことが大切だ。直接的、明示的な表現を選び、低コンテキスト化するように心がけたい。例えば、同じ「走る歓び」でも、どんな「歓び」なのか? 風を感じるのか? 車との一体感なのか? より具体的に表現することが低コンテキスト化に繋がる。この訓練の方法については別の機会に解説しよう。

(4)ちなみに、日本語で非言語になるパターンとして、「結論が省略される」ということが良くある。それは、「もう本論で十分述べたから、はっきり言わなくても分かるだろう」という思い込みから生じる誤解だ。阿吽の呼吸の延長線上で考えてはいけない。まとめ、結論は重要だ。重要なことは何回も述べた方が良い。特にスピーチ・プレゼンではそうなのだ。

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