びっくり!トラブルを生む表現 文化の違いによる異文化コミュニケーションのギャップとは

「誤解があるな」と感じても、なかなかそれに気づかないことがある。不思議な感じでいっぱいなのだが、後で文化の違いが原因だと分かると「えー?!そんなことで!」と驚くと共に、溜飲が下がる。。。そんなご経験がおありだろうか。今回は、文化の差による誤解の大きな原因について解説し、それを解決に導く3つのステップを提示したいと思う。

どんな文化の差があるか?

世界には2つのコミュニケーションパターンがあるのは、ご存知だろうか。アメリカの文化人類学者のエドワード・ホールによると、

  1. 低コンテキスト
  2. 高コンテキスト

の二つがあると言う。

 1つ目は、言語コミュニケーションに大きく依存し、言葉以外のものはあまり考慮しない「言葉の文化」であり、コンテキスト(文脈)への依存度が低いので「低コンテキスト」と呼ばれる。ホールの分類によれば、欧米諸国はこの低コンテキスト文化に属する(スイス、ドイツ、米国、UKなど)。

 2つ目は、非言語コミュニケーションに大きく依存し、日本でお馴染みの「察しの文化」とも呼ばれるもので、コンテキストへの依存度が高いので、「高コンテキスト」と呼ばれる。中国、メキシコ、ブラジル、ロシアの人たちは、高コンテキスト文化圏だ。日本は、この高コンテキスト文化圏に属し、一番その度合いが強い

直接的表現を嫌う高コンテキスト文化

では、低コンテキストと高コンテキストの特徴を列記してみよう。

コミュニケーション方法の文化による違い
高コンテキスト文化では、直接的・明示的表現は避ける傾向がある

低コンテキストでは、直接的・明示的メッセージが好まれるが、高コンテキスト文化圏では、直接的表現を避ける表現が好まれる。

例えば、「難しい」。

日本人は、「できません」とは言わずに「難しいですね」と言って断るのが普通だ。だから、これを英語に直訳して、”It is difficult.” と言ってしまいがち。

しかしこう言うと相手は諦めるどころか、しつこくさらに突っ込んでくるだろう。なぜなら、「難しいなら、障害となっているものを取り除けば可能になるだろう」と考えるからだ。”It is difficult.” は、決して “NO”の代わりではない。

ところが日本語の「難しい」は、はっきりとした「ノー」なのだ。日本語を学習する外国人には、きちんと教えたほうがいい。

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「ご心配には及びません」

他にも、直接的な表現をさけた表現はたくさんある。

アメリカでは、”It’s none of your business.(あなたには関係ないことです)” と言っても、別に相手は傷つかないが、直訳すると日本人側の人たちは「なんてぶっきらぼうで礼儀知らずだ」と、気分を害するに違いない。だから、ベテランの通訳者は、これを「ご心配には及びません」と訳す。

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しぐさ・行為に対する解釈の違い

例えば、うなずく、と言う表面的な行為について考えてみよう。

アメリカ人がプレゼンをし、聴衆の半分以上は日本人という状況下。よく見られる典型的なシーンは、日本人はミーティング中は発言しないで、うなずくのみ。一方で、アメリカ人は意見を多発する。あなたはこんな場面見たことあるだろうか。

さて、この場合、発表者のアメリカ人は、どう解釈するのか?

アメリカ人が考える「うなずく」と言う行為は、同意しているという意味に他ならない。そしてこの状況下で、アメリカ人が見る日本人の言動は、うなずき。特に反論も質問もない。だからこのアメリカ人発表者は、「すべて賛成してくれている、この案件は承認されたと同じこと」と勘違いしやすい。

一方で、日本人が考える「うなずく」という行為は、あなたの話を聞いている、というサインであり、同意しているわけではない。だから、「実は反対なのだが、大勢いる場では和を乱すべきではない。ここで反対意見を述べては、相手の面目を潰すかもしれない。ここは会議が終わってから個別にじっくり話をしたほうがいいだろう」と考える。

このように、同じ「うなずく」という行為だが、文化的な解釈が違うため、両者に誤解が生じてしまう。

これらは、すべて高コンテキストの傾向が最も強い日本で見られることであり、直接的・明示的なメッセージを好まない事例だ。

異文化間で誤解を避ける3つのステップ

  1. 文化の差があることを認識すること。
  2. 相手と自分がコンテキスト(文脈)に対してどのような依存度か(低コンテキストなのか、高コンテキストなのか)を分析する
  3. 相手が低コンテキストであれば、言わない非言語部分のメッセージを言語化する努力を試みる。相手が高コンテキストであれば、相手の表情を見ながら適切な対応をする。つまり、非言語を言語化したメッセージは用意しておき、必要であれば伝える。

 例えば、「難しい」の場合なら、まずはその違いを学習・認識する。そして、もし相手がアメリカ人のような低コンテキスト側の人なら、曖昧な態度はやめて「ノー」と言うべきだ。この場合のあなたの非言語メッセージは、「本当はできないのだけど、直接的な言い方をして相手を傷つけたくない」ということ。だから「ノー」とだけ言ってしまうと、すべてを言い切ったことにはならない。実は、アメリカでも、もう少し柔らかな、しかし毅然とした態度を表す表現 “I wish I could” などの言い方があるので、それを学ぶとよいだろう(上記関連記事「相手を撃退する英語コミュニケーション。断るときは…」参照)。

 「うなずき」の場合なら、まずは、「うなずく」という行為の意味合いが違うことを双方認識しないと始まらないので、会議の前などに伝えておくとよい。他にも誤解のタネになっているが、気づかないこともあるかもしれないので、「文化が違うと誤解は生じるものだ。でも、それは誰のせいでもない。ただ互いに理解・歩み寄らないといけない」旨を伝えておけばよいだろう。

 そして、日本人側は、なるべくうなずかないように心がけたり、その場で質問をするように心がける。もし、内容が複雑であれば、会議を一時中断し、誰かに日本語で解説をお願いしてもよい。その際には、日本語が分からない人のためにその旨を説明してから中断する。

アメリカ人側は、「反対意見・質問があれば、この場で遠慮なく言ってください。または、終わった後で個別に気軽にお話しください」などと言えばよいだろう。

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