まず、このプレゼンを聞いて、一番印象に残ったメッセージは何でしょうか。
少し考えてみてください。
.
.
.
おそらく、「薄い」、正確には、「The World’s Thinnest Notebook(世界最薄のノートブック)」、というメッセージではないでしょうか。
スティーブ・ジョブズは明確で強力なメッセージを伝えることに長けていました。MacBook Airのプレゼンでは、「世界最薄のノートブック」というキャッチフレーズを何度も強調しました。この一貫したメッセージが、製品のユニークなセールスポイントを観客の記憶に刻みました。
これこそが、ブレイクスルーメソッドで言う、ワンビッグメッセージ(R) です。
そしてスティーブ・ジョブズは、この、「薄い」というメッセージを、いくつかの方法で、繰り返し繰り返し伝え続け、ワンビッグメッセージを”アンカリング”しています。 ”アンカリング”とは、碇を下す、という意味で、碇をおろしてしっかりと船を不動にするように、メッセージを聞き手の心に刻み付ける、という意味合いです。
スティーブ・ジョブズが、ワンビッグメッセージを”アンカリング”するために使った手法が、ブレイクスルーメソッドで、KISSの法則と呼んでいる手法です。
KISSの法則とは
英語圏に長く済んだことがある方なら、KISSとは通常、”Keep It Simple Stupid”を意味する、と知っている方も多いと思います。
つまり、何かを伝えるときは、「馬鹿でも分かるように(Stupid)簡単に(Simple)まとめろ(Keep It)」という事なのですが、これをブレイクスルー・スピーキングでは一歩進化させ、次のように教えています:
Keep
It
Simple
Specific
つまり、「シンプル、かつ、具体的に表現しよう」、というのが、KISSの法則です。
これをまさに体現しているのが、Macbook Air発表会でのスティーブ・ジョブズのプレゼンなんです。
ではどのように体現していたのか、KISSに解説していきましょう!
数字・データによる論理的根拠
このプレゼンでのワンビッグメッセージは、「The World’s Thinnest Notebook(世界最薄のノートブック)」です。
この「薄い」というメッセージを、まずは数字で比較します。
通常は、厚みのことを、「Thickness」と言いますが、下記画面の2行目、「Thinness」、と書いてあるのにお気づきでしょうか。つまり、ここでも表現方法を、「厚み」ではなくて、「薄さ」と表現することで、「薄い」というワンビッグメッセージを潜在的にアンカリングしています。
更にそれを、既存の最薄ノートブックの厚みと比較します。いかに薄さが改善されているのか、視覚的に一瞬で分かる図です。