従業員のやる気を引き出すためのフィードバック:批判ではなく賞賛を!<実践編>

 あなたは、部下からのアイデアや思いつきに対して、「できるわけがない」「そんなこと失敗したらどうするんだ」と条件反射的に応えていないだろうか。これでは、チームのやる気をそいでしまう。こういう上司のいる企業ほど、「うちの社員にはろくなものがいない」などの不平不満が聞かれることが多いが、本当のところは、「優秀な人材」「いいアイデア」はそこに隠れていて、それらを「引き出す能力がない」上司がゴロゴロいるだけの話だと思うがいかがだろうか。

 本稿では、そんな事態にならないように、どのように指導したら、どのように受け答えをしたら、優秀な人材、いいアイディアを引き出せるかどうか、そのための正しいフィードバック方法を一緒に見ていきたい。

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フィードバックはアドバイスではなく、情報を共有すること。指導が過度に多いと、個人の学びや成長が妨げられる。フィードバックを行う際には、前向きな姿勢で、個別に提供され、具体的であるべきだ。苦言を呈する時は、具体的な行動に焦点を当て、その人の視点や考え方を理解しようとする姿勢が、建設的フィードバックの実現に役立つ。

会議で説明する経営者

フィードバックは批評することではない

 コミュニケーションにおいて、適切な言葉の選択は非常に重要だ。これは英語でも日本語でも同じだが、言葉の使い方に気を付けないと雰囲気を悪くしたり、チームのやる気をそいだりしてしまう。どんな言葉を使うかで、相手に対する敬意を示せたり、明るい前向きな雰囲気を出せたりするものだ。これはビジネスの場だけでなく、日常生活全般に適用される原則だ。例えば、子供の宿題をチェックする時、パートナーや家族が家事を手伝ってくれた場合、また同僚とプロジェクトについて話し合う際などにも同じことが言える。あなたは適切にそれができているだろうか。

 フィードバックは、従業員との重要な意思疎通の一環であり、目標の明確化や達成に向けたコミュニケーション手段のこと。しかし、残念ながら、多くの場合、フィードバックが、批評や叱責のために使用されてしまっていて、誤解されがちなツールになっている。

フィードバックを効果的に行うための質問

 だが、本来のフィードバックは、共に目標に向かい、パフォーマンスを向上させる手助けをするものなのだ。

 フィードバックは、間違いを指摘することではない。やる気を引き出し、改善を促すものであり、従業員一人ひとりが、現状に満足せず、常に改善の余地を探る姿勢を持つことが重要だ。そして、それがそのまま問題点の早期発見につながる。これはリーダーが指導者として一方的にチームに伝えるものではない。リーダーとチームが一体となり、協力し合って成し遂げられるものだ。リーダーは、チームに必要なツールや方針を提供し、従業員が効果的に働けるようサポートすることを期待される。だから、

「どのようにしてゴールに近づけるか」

「どのようなサポートが必要か」

という質問をしてみよう。この質問をすることが、相手を励まし、彼らの素晴らしい行動を認め、賞賛することが肝要になる。

 また、具体的な行動計画をチームと共に策定することも大切だ。この計画を一緒に立てることにより、繰り返し発生する問題を防ぎ、妥協せずに解決策を見つけ出すことができる。そのための大切なプロセスだとも言える。チームメンバーが計画に参加し、解決策を共同で見つけることで、変化に対し、受身ではなく、能動的に適応しやすくなる。

 さらに、頭ごなしに、部下のアイデアや提案に対して否定的な発言をすることは避けるべきだ。過去の経験やトラウマが影響することもあるだろうし、第一、積極的・前向きで、失敗を恐れない雰囲気を葬り去ってしまうことにつながる。社員のアイデアを上手に引き出す上司がいる企業ほど、創造性が高まり、新しいアイデアが生まれやすいと言えるだろう。

 最終的に、フィードバックは他者の成功や成果を認識し、新たな目標を設定し、共に困難に立ち向かうための一つの有効な手段なのだ。これは機械的で上からの一方的な伝達行為ではなく、従業員との共同作業として捉えられるべきであろう。また、困難を克服し、新たな高みを目指すために、フィードバックは不可欠なツールであると言えるだろう。

フィードバックのコツ・態度

忠告をしない。情報を共有する

 情報を共有することで、その人が自分自身の目標やグループのゴール、必要に合わせて、やり方を調整できる自由が生まれる。アドバイスを一方的に提供してしまうと、経営者側の意向を提示し、組織が考える良いとされる行動を押し付けてしまうことになり、その人の自由な裁量を奪ってしまう。どんな従業員でも、ある程度の自由裁量、任せられることがないとどうしても受け身になってしまう。つまり、自分で考えて自分で工夫し、努力するスペースがないとやる気を失う結果となってしまう。情報を共有し、上司のサポートを提供することで、その人の能力に対する自信が高められ、彼らの目標達成に向けた自己効力感を醸成し、協力の意欲を引き出すことができる。

端的に、ポイントのみを指摘

 簡潔に、必要なことを指摘することも大切だ。指導内容が過度に多いと、吸収しきれずに、学んだことを実践に活かせずに無駄に終わってしまう可能性が出てくる。多くの場合、指導が過剰な時ほど、それは指導者の自己満足に過ぎず、受け取る側にはほとんど役にたっていないことが観察される。だから、一つ一つ丁寧に、順序を追って、お互いに納得しながら進んでいかないといけない。

前向きな姿勢で

 失敗や弱点ばかりを強調されると、誰もがやる気をなくし、成功に対する信念さえ失ってしまうだろう。一方で、励ましや支援を受けると、欲求と自信が高められ、持続的な努力を続けることが可能になる。だからと言って、励ましだけでは改善に結びつかない。問題は放置されるべきではない。あくまでも修正されなくてはならない。改善がなされたことで、もし良い結果をもたらされた場合、スタッフたちはさらに未来への改善点にも耳を傾けるだろう。

フィードバックを与えるタイミング

 フィードバックは個別に提供されるべきだ。しかし、賞賛の場合は、公に行うべきだ。ただし、タイミングを誤って、遅過ぎたりするると逆効果になるので注意が必要だ。

フィードバックの具体例

 さらに、フィードバックは具体的であるべきだ。改善された点を具体的に指摘し、称賛しよう。

 例えば、従業員が厳しい締め切りを守った場合は、

「このプロジェクトを完了するために追加の時間を割いてくれてありがとう。あなたの努力がチームに貢献し、顧客の注文を予定通りに履行できました!」

 では、目的が達成されていない場合はどうするか?

 その人の行動や実施しなかった行動のみに焦点を当て、具体的なコメントを提供しよう。その人そのものには言及しないよう心がけることは大切。行動は裁いても人そのものは裁くのは良くない。例えば、書類の整理が正確でなかった場合、

「ファイルは在庫番号で整理されるべきでした。今確認したら、在庫内容で整理されていますね」

などと説明する。頭ごなしに指摘するのではなく、その人の視点や考え方を理解しようとする姿勢で臨む。その方が、より建設的なフィードバックの実現に役立つことになる。

では早速トライ!

では、実際にあなたもこのようなやり方でやってみよう。まずは練習。誰かパートナーを見つけて、シナリオを作り、ロールプレイするのはどうだろうか? その中で、3−5分のフィードバックをする練習をしてみよう。実際に、私もこの練習をしてみて助かった。普段言い慣れない言い方を使おうとすると、意外としどろもどろになってしまうからだ。

そして、相手に実際にどう感じたかを聞いてみる(フィードバックを受ける)。これは予想以上に効果絶大。ぜひやってみて欲しい。

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いろんな世代が集まるミーティング
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ブレイクスルー(BT)メソッドでフィードバックを鍛える

フィードバックは、スピーチ力の一部であり、リーダーシップと大いに関係がある。スピーチ力を学べば、フィードバック力も高まる。そのスピーチ力を高めるためには、実践の中で試行錯誤していくことが重要になるのだが、その前にそれが正しい方向であるかどうか確かめる必要がある。そのためには、スピーチ教室に通うなどして、正しい方向・やり方を学ぶのが近道だ。確かに、自分の努力だけでも、できることはできるのだが、自己流にばかりこだわっているとなかなか向上しない場合が多い。なぜなら、それを客観的に見て、指摘してくれる(フィードバックする)人が必要だからだ。

 ブレイクスルーメソッドとは、米国プロスピーカーとして活躍する当メディア編集長で、ブレークスルースピーキング代表の信元が、長年の知識と経験を元に日本人向けに開発したスピーチ学習オンライン型双方講座。内容は、スピーチ・プレゼンスキル向上のために開発された数あるメソッドの中からエッセンスを抽出したものを、しかも日本人がグローバルな場面で活躍できる場面を想定して作られている。今まで述べてきた準備方法などは、その内のかなり中心となる内容の一つだ。

 さらに、基礎コースを終えた人には、実践コースも用意され、定期的な間隔をおいて受講することで、学習者の進度状況を見ながら、その人に合ったコーチングが受けられる。また、段階的にステップアップできるように違うテーマでも受けられる。かなり少人数なので、個人レッスンとほぼ変わらないクオリティだ。上級者には、個人コーチングも用意されている。

 ブレークスルーウェビナー基礎コースを受けることで、世界基準のビジネス特化型のスピーチ・プレゼン術を最短効果的に習得できる。私が本講座の講師となったストーリー『私がブレイクスルーメソッドの伝道師になった理由とは』でもお話ししているように、スピーチに必要な知識と技術が集約されており、これからスピーチ・プレゼンを本気で学びたいと思う方に、おすすめの講座といえる。オンラインで1か月、スピーチ・プレゼンのブレークスルーを体験してみてはいかがだろうか。

 

 

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