勉強しなさい!と言ってもなかなか聞いてもらえない!子供を動かすマジックとは

(ママ広場さんに掲載された信元執筆の記事です)

実は娘のやる気を削いでいた?!・・・ワーママの反省と改善策

私には12歳になる娘がいます。反抗期、とまではいかないけれど、プリティーンで色々と難しい時期。勉強よりもお友達との時間を大事にしたい年頃でもあります。
私はニューヨークで約30年間にわたり、戦略コンサルタント、そして異文化コミュニケーションのスペシャリストとして、あらゆるグローバル企業にコミュニケーションやファシリテーションの企業研修を提供してきました。グローバルリーダーたちに対し、社員のやる気を引き出すファシリテーション術なども教えています。にもかかわらず、自分の子ども相手となると、それが出来ていない!
それに気づき、先日、グローバルリーダーも実践しているファシリテーション手法のひとつを、娘にも実践してみました。すると・・・

自分自身ができていなかった

「今までも何万回も言ってるよね。大事だってのもわかってるよね。それなのになんでやらないの?」
娘を隣のニュージャージー州のスケートリンクまで運転している最中、私はつい声を荒げてしまいました。
ああ…またやってしまった・・・怒鳴るたびに自分自身も落ち込んでしまいます。更年期に差し掛かっている自分のホルモンのせいにばかりはしていられません。
娘は現在12歳。アメリカでは7年生、つまり中学生。親よりも、仲良しのお友達と時間を過ごしたい。親には「ただいま」を言ったか言わなかったか・・・あっという間に自分の部屋に直行し、お友達とFaceTimeが始まります。友達となら何時間でも、なんなら1日中でもしゃべり続けられます。更にはフィギュアスケートと勉強の両立も大変になってきました。
皆さんも、お子さんの習い事と勉強のバランスに悩んでいらっしゃる方もいらっしゃるのではないでしょうか。いかに効率よく、集中して、効果的に勉強するか、が娘にとっての大きな課題です。
そして親の私にとっての目下の課題は、「自分からすすんで」勉強をするよう、いかにして娘のモチベーションを高めるのか、ということ。
頭ごなしにりつけては逆効果だとわかっているんです。それでもホルモン・・・いえ、仕事と育児の両立で限られた時間の中ですべてをこなしているので、どうしてもイライラの沸点も低くなってしまいます。その結果、つい、声を荒げてしまうことも多々あります。
そんな悩みをある友人に話したところ、はっとさせられたことがありました。
「でも夏代さんは、グローバルリーダーに、社員のモチベーションを高めるコミュニケーション方法について研修とかやるんだよね。やり方は知ってるんだよ。やってないだけ。」
なんと、著名企業のグローバルリーダーたちに散々教えていることが、自分の娘に対してはできていなかった!!ショックでした。
そこで、気持ちを入れ替え、(ホルモン状態も整え・・・)、実践してみることにしました。

グローバルリーダーも実践する積極的傾聴とは

私はアメリカで、グローバル企業のリーダーたちに、コミュニケーションの研修をしています。コミュニケーション、と一言で言っても幅広いのですが、その中で、私が実践に移したのは、ファシリテーションの際に最も大切な、「積極的傾聴」です。
まず傾聴とは、読んで字のごとく、相手が言っていることに耳を傾け、理解し、しっかりとその真意を聴き取る、ということです。人は、自分の話をしっかりと聞いてくれる相手に心を開くものです。傾聴することで、それまでは見えにくかったその人の真意が浮かび上がってきます。
「積極的傾聴」とは、相手に共感を示しながら、「質問」を投げかけることで、相手が話す内容を更に広げたり、深めたり、時には先に進めてあげたりすることで、相手に「気づき」を与える、という手法です。
「聴く」というと、徹底して聞き役になるのかと思いがちですが、積極的傾聴は、聞くだけではなく、良い質問を通して問いかけをしていくことが鍵になります。
では良い質問とはどのような質問なのでしょうか。

良い質問のカギは2点

良い質問とは、「相手が自分から進んでそのことを考えて答えたくなり、かつ、答えた先に気付きや行動がある質問」。軽すぎず重すぎず、相手から良い答えを引き出せる、絶妙な質問です。自分にとっても相手にとっても実りの多い質問です。

 

ここで、良い質問に対して、しっかりと回答が返ってくるためにカギとなるのは2点あります。
まず第一に、「気づきを与える」という点です。
最も気づきが得られるのは、普段から考えている内在化した質問の近くにあるが、盲点のようになっていて、そのような観点からは考えたことのない、というような質問です。

相手が子どもであっても、いつも言われていること(上図の一番内側の〇)を問われたら、「またか」と反抗的な反応しか返ってこないはずです。でも、全く接点がないようなこと(上手の一番外側の〇)を問われたら、「知らない」「自分には関係ない」とスルーされてしまうでしょう。いかに真ん中の〇を見つけるか、がカギです。

2点目は、質問をする前に、安全でオープンな環境をつくってあげる、ということです。せっかく良い質問をしても、「こんな風に答えたらまたお母さんに怒られるんじゃないか」と警戒してしまっては、気づきにつなげることはできません。
まずは、「(お子さんの名前)は、〇〇、って感じたんだね」「(お子さんの名前)は〇〇だと思ったんだね」、のように、子どもの気持ちを承認してあげましょう。そうすることで、「あなたの気持ちを受け止めたよ、ジャッジしないよ、だから安全でオープンだよ」というメッセージを送ってあげるのです。そして、会話の全体でも、子どもから出てきたことを、復唱したり、要約したりしながら、「受け止めた」というメッセージを伝えてあげましょう。

これを意識しながら、娘に積極的傾聴をした結果、こんな会話に発展しました。
娘が宿題を提出するのを忘れ(また・・・)、学校の成績の規定により、20ポイントが引かれたときの会話です。

自分からやるように(今のところ)

私 「宿題未提出だったね。どうした?」
娘 「この宿題があったって知らなかった」
(ここで普段なら私は、「知らなかったってどういうこと?ちゃんと確認しなさい(怒)」となる・・・が、ここはガマン!)
私 「知らなかっんだね。」(承認)
   「みんなも知らなかったの?」(自分自身から周りのクラスメートにフォーカスをシフトする質問)
娘 「ううん・・・」(この時点で、先生のせいなどではなく、自分が確認しなかっただけだ、と認識)
私 「みんなはどうやって宿題があるって知ってたの?」(解決方法に一歩近づける質問)
娘 「学校のアプリ見たら書いてあった」(ここを確認すればよいだけ、とう解決方法が簡単に出た)
   「でも先生は授業では言わなかった」(が、やはり自己防衛に走る)
(ここで普通なら私は、「あなたが聞いてなかっただけなんじゃないの?!(怒)」となるが、更にガマン!!)
私 「そっか先生は言わなかったんだね」(受け止めた)
  「でもアプリには書いてあったってことは、先生は、アプリにも書いてあることをわざわざ言ったら、2度も同じこと言うみたいな感じになるようね。知ってることをもう一回言われたら、どう感じる?」(考えを深め、自分事として考えてもらう質問)
娘 「やだ」
私 「だよね」(受け止めた)
   「じゃあ(娘の名前)は今晩からはどうする?」(行動につなげる質問)
娘 「アプリ見る」
私 「いいね!」(承認)
  「じゃあ、アプリを見るのを忘れないようにするにはどうしたらいいと思う?」(視点を横に広げ、オプションを考えさせ、自分の決定したことに責任を持たせる質問)
娘 「・・・うーん・・・携帯にアラートつける」
私 「携帯にアラート!いいじゃない」(承認)
  「じゃあ今やっとこう!」(行動につなげる)
娘(早速携帯のアラートを設定)

この会話からまだ1週間半ですが、自分から宿題を確認し、忘れないように提出するようになりました。今のところ・・・!!
「積極的傾聴」は、簡単なようで、実は難しいものです。
相手の話を聴きながら情報を整理し、どこの情報を更に掘ると最も気づきを与えられるのか、同時進行で脳内で分析しながら次にどんな質問をするのかを瞬時に選択していく、という力が必要です。自分自身の状態も整え(ホルモン!!)、自分の中の枠を外した思考を鍛えていくことも大切ですね。

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