何も言われないより悪口のがいい?!
「悪くてもよくてもいいから、フィードバックがアメリカ人にはとにかく一番大事。日米異文化間では特にそうだ」
日本人の多くは、相手にとってネガティブな内容だと遠回しに言ったり、空気を読んでほしい、と願ったりするもの。しかし、多くのアメリカ人は、空気を読むという技を持っていないので(最近はそういう人もいますが)、
「ネガティブな内容でも直接言われた方が、まったく何も言われないよりも嬉しい」と、教えてくれたのは、異文化コミュニケーションの専門家で、日米ビジネスコンサルタントのポール・ジャフィー氏だ。
例えば、交渉ごとをして、日本側からメールの返事がさっぱりこない場合、普通、アメリカ人はストレスがたまる。自分に何か非があったのではないか、問題があったのではないか、などと気を揉む。
一方で、日本人側の事情としては、資料をそろえていたり、英語を書くのに手間取ったりなど、しばらく返事がなおざりになることがある。
しかし、こういう場合でも、アメリカ人に対しては、日本人の方から、ありのままに「準備をしているので、正式な返答はしばらく時間がかかりそうだ。英文を書くのも一苦労だし。。。」などと、一言簡単なメールをしてあげると、コミュニケーションがスムーズに運ぶようだ。
アメリカ人と沈黙
アメリカ人は、一般的に「沈黙」に対する考え方が日本人とは違うので、「返事が来ない=問題の発生」と短絡的に考える度合いが強いようだ。
沈黙は、アメリカ人にとっては否定的にとられる傾向にある。普段の会話や、会議でも黙っていると印象がよくない。もし聞き手がアメリカ人なら、プレゼンの後は、いいも悪いも含めて、彼らは必ず何か言ってくるだろう。
一方で、日本人は、黙っていることは特に悪いことではないと考える。なので、素晴らしいプレゼンに対しては「文句のつけようがない」というニュアンスで意図的に黙っていたりする。これがアメリカ人に対しては誤解の原因となる。
沈黙に対する価値の重さは日米比較すると、日本の方がはるかに大きい。その違いからくる誤解がある。アメリカ人からの質問に日本人が沈黙してしまうと侮辱ととられてしまう。何かしら言葉に出して、十分に説明する努力が必要だ。
日本人の謙虚な姿勢は、欧米人で囲まれた会議では、誤解されやすい。それを避けるためには、必要以上にうなずかない、持ち帰らずにその場で意見を言う、などの努力が必要だ。また、そういう日本人としての特徴をあらかじめ会議のメンバーに伝えて理解してもらう努力も効果的だろう。
言うべきか言わざるべきか
日本人上司とアメリカ人部下との普段のコミュニケーションにも、こういうことが当てはまる。「こんなこと特に言わなくても。。。」と思えるような内容でも、黙っていないで、日本人が、アメリカ人に常にフィードバックをしてあげることは、とても大切なことだ。
アメリカ人従業員の間で、フィードバックと離職率の関係を調べたある実験によれば、悪いフィードバックを常にしていたグループと、まったくフィードバックをしなかったグループでは、前者の方がはるかに離職率が低かったそうだ。
つまり、アメリカ人とうまく付き合うには、良きも悪しきも、とにかく何かフィードバックをしてあげることがとても大切だということになる。
逆に、何もフィードバックをしなければその人は辞めてしまうかもしれない。もし、辞めてほしい社員がいたら、何も言わなければ自然と辞めていくのかもしれない。これは日本人にとってはとても簡単なやり方だ。一方で、日本人の沈黙に対する考え方を、普段からアメリカ人に伝え、説明しておくと「転ばぬ先の杖」になるだろう。
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フィードバックとは、相手の言動や仕事に対する自分の率直なコメントをあげること。それは、そのパフォーマンスの良い点、今後の改善点の指摘などを含む。組織内や顧客とのコミュニケーションに活用でき、主観的な「とらわれ」から解放されて、客観的に自分を見つめ直し、さらに組織のあり方を見つめ直す有効な手段だ。
■併せて読みたい! 「どのようにフィードバックするか?」についてさらに具体的に深掘り!
フィードバックで組織を活性化するには、その具体的手法を十分に学ばないといけない。単に改善点のみを指摘するだけでは効果はない。きちんと相手の良いところを見出し、伸ばしていくことが大切。そのためには、よく相手の話を聞き、様子を観察する。発言する時には、自らの態度や口調にも気を遣う必要がある。
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