【事例紹介】繊細・敏感さんのための感動的なスピーチ・プレゼンを作る4つのステップ

あなたは自己主張が得意ですか?

出版界で長年頑張ってきたNさん、ある著者と組んで共著を完成させた。しかし、出版するには出版社のサポートを得なくてはならず、プレゼンをすることになった。でも、Nさんは自己主張が苦手。そこで相談を受けた。

まずは、彼女の元々のスタイルを知るために、本番さながらのプレゼンデモをやってもらった。Nさんは、性格的には少し控えめだが、話は上手であり、まずまずの出来だった。だが決定的な勘違いをしていた。それを根本的に直したことにより、彼女のスピーチは劇的に改善され、無事にプレゼンを成功させることができた。

「自分の盲点がよく分かりました。相手が喜びそうなことばかりに気を取られ、自分の本当に言いたいことをしっかり伝えていませんでした。しかも、自分の言いたいことの整理がつかず、結局何が言いたいのか、焦点がボケていました。」

どういうことか? ここでは、このNさんのこの言葉を起点にして、自己主張の苦手な人たちが、どのようにして「相手の心に響き、感動を与え、しかも自分のメッセージを分かりやすく伝え、相手に次の行動を喚起するスピーチ」を作るかを、準備と構成の仕方の2つの側面から解説しよう。

5人に1人いる敏感さん・繊細さん(HSP)とは

 いわゆる日本語で「敏感さん」とか「繊細さん」と呼ばれる人たちは、英語で言うHighly Sensitive Person(ハイリ―・センシティブ・パーソン)のことだ。非常に繊細で敏感な人たちのことをさす。アメリカの心理学者エイレン・アーロン博士によって名づけられ、人口の1520%が該当するようだ。

 今まで多くの人を指導してきて思うことだが、自己主張が苦手な人は、この「敏感さん」「繊細さん」と言われるような、人一倍感じる力が強い人たちに多いように思う。人が感じること、傷つくことに敏感で、それ故に、人あたりが良く、思いやりがあり、優しい性格の人に起きがちな傾向だ。

 例えば、繊細すぎることで、人に対して気を使いすぎて、「これを言ったら彼は傷つかないだろうか」という想いが強すぎて、「人を傷つけるくらいなら、自分の言いたいことは我慢した方が得策」と考え、それが習慣化してしまう。自己主張してもいい、もしくは、しなくてはいけない場面でも、何も言えなくなってしまう。「言わぬが花」という諺の通り、何も言わないことで難を乗り越える技を持っていたり、ストレスを回避したりできる。

敏感さんこそ、人を感動させるスピーカーになれる

 そんな敏感さんだからこそ、日常生活に生きづらさを感じ、特に人間関係にストレスを感じてしまうこともあるのだが、私は、これは一つの性格的な特徴と捉えている。自分も「敏感さん」のうちの一人だと感じることが多くある。私も、自己主張しなくてはいけない場面、プレゼンやスピーチの場面で自己主張できなかったからだ。

 でもアメリカで生活するには、自己主張しないと生きていけない。そうなるためには、以下に示すような訓練が必要だった。しかし、その敏感な性格を強みにすれば、生まれ持った能力を発揮できて、誰よりも優れたスピーカーになる可能性は高いはずだ。私は、かなり自分に鞭を打ってトレーニングし、スピーチコンテストでも地区優勝できるまでに成長できた。

 つまり、「敏感さん」には、相手の言いたいことや相手のニーズ・ウォンツに敏感に反応できるという強みがあり、それを活かせば人を感動させるスピーカーになる素質があるということだ。その共感能力の高さ故に、人の気持ちが人一倍わかり、より人を感動させる言葉を選択できる能力があるのだ。

 世の中には、オレオレスピーカーと言われるような自己主張の強い人たち、自分のことしか考えられない人たちの方が多い。そんな中で、相手のことを気遣える能力を人一倍強く備えている「敏感さん」は貴重な存在であり、相手の心に響く、感動を与えるスピーチ・プレゼンができるようになる可能性は、そうでない人に比べると格段に高い。

 そのことを次の章で具体的に解説したい。

1. 聞き手のニーズに合った、心に響くスピーチとは

スピ―チは構成前にしっかりと相手の「調査・分析」をすることが重要

なぜ、分かりにくいプレゼンをしてしまうのか。営業トークがうまくいかないのか? それは、聞き手の心に響かないからだ。では、なぜ心に響かないのか? 相手のニーズにハマっていないからだ。結局、「私には関係ない」と思われてしまっているのだ。だから、相手のニーズやウォンツを知ってからスピーチするのとしないのとでは雲泥の差がある。

そもそもなぜスピーチをするのか? 

それは、スピーカーに「説得したい、情報を伝えたい、買ってもらいたい、視野を広げてもらいたい、何か改善してもらいたい、反対意見から賛成意見になってもらいたい、感動を与えたい、行動喚起をしたい」など、色々な目的があるからだ。

つまり、スピーカーには「スピーチを通して聞き手に何らかの影響を与えたい」という目的がある。その目的を果たすためには、まず聞き手について知らないといけない。

準備で最初にすることは、原稿を書くことではない!

しかし、スピーチをする際、大体最初にすることは何か? ほとんどの人は、まず原稿を書き始めたり、パワポを開く。この行動は、多くの場合、「聞き手が何を求めているのか」ではなくて、「自分が何を言いたいのか」に偏っている結果だ。

自分だけの視点では、「相手に影響を与える」ことは難しい。

「何だか面倒くさい人」と思われないために

そればかりか、自分だけの視点しかないと、自分の言いたいことばかりを羅列してしまう結果となる。そうすると、「なんだか面倒くさい人」「わがままな人」「やたら熱い人」などの印象を持たれてしまう。

 つまり、聞き手に興味を持ってもらい、買ってもらうには「聞き手視点」が欠かせない。「聞き手が何を聞きたがっているか?」をまず探ることが第一歩なのだ。ビジネスにおいて、商品を開発販売する前には、必ずマーケティングを行うように、聞き手の「調査・分析」のプロセスが必要なのだ。

「敏感さん」のアドバンテージ

 この点において、「敏感さん」にはアドバンテージがある。もともと相手の気持ちに敏感に反応できるので、相手の言いたいことや相手のニーズ・ウォンツを自分の言葉に置き換えて表現できる素質がある。聞き手に「ああ、この人は私の気持ちが分かってくれるのだ」と思ってもらえる。それが相手を感動させる大きな要因なのだ。

相手のニーズ・ウォンツをつかむ4つの質問

「聞き手に何らかの影響を与える」ためには、「聞き手が何を聞きたいか?」をまず探ること。相手のニーズに合わない話は聞いてもらえない。しかし、ニーズにピッタリ合って、聞き手とつながれば、「素晴らしい!」と賞賛される。

 その相手のニーズを探るための自分に対してすべき質問は、以下の4つだ。

事前調査「聞き手を調査・分析する4つの質問」

  1. 聞き手は誰か?
  2. 聞き手のベネフィット・ニーズは何か?
  3. なぜあなたなのか?
  4. 聞き手にどうなってもらいたいのか?

Nさんの場合に当てはめて考えてみよう。

  1.  相手は出版社業界の人。Nさんが長年仕事をしてきた分野で同じバックグランドを持ついわば仲間のような人達。
  2.  より多くの本を売りたい。ビジネス上の悩みを解決するようなノウハウ本を売りたい。
  3.  Nさんの共著者は、停滞した日本の経済を海外の視点から観察できる。また起業やビジネス上のノウハウをたくさん持っている。Nさんはその共著者の成功事例の一つとして現在ビジネスを行い、一つのビジネスの「教え」として内容をまとめた。
  4.  出版すれば売れる、この本を出版したい、と感じてもらう。さらに具体的に聞きたいと思わせるようにし、次回の会合をセッティングしたいと思ってもらう

 3で、「なぜ自分なのか?」を考えるときに、自分の経験談を紹介することも内容に盛り込もう。そうすれば、それが分かりやすい具体的事例となって伝わり、相手の理解の役に立つし、説得力が増す。さらに共感・親近感が生まれ、相手の興味もさらに深くなる。

 さらに、スピーチ/プレゼンが終わったあと、聞き手に取ってもらいたい「次の行動」をしっかり考えることは重要だ(④)。上に書かれたことを目的とするなら、それをスピーチのクロージングに持って来るようにすると良い。

 このように、相手のことを整理して、理解し、次の行動、目的がはっきりすれば、自ずと話すべき内容が決まってくるものだ。原稿を前に、アイディアを練ろうとあくせく苦悶しなくてもいい。

敏感さん・繊細さんのためのスピーチ作り

 だからNさんは、そこはしっかりリサーチしていた。出版界に長くいたこともあり、いろんな人からいろんな意見を聞くことに成功していた。

 しかし、Nさんは、そのニーズ・ウォンツばかりに気を取られ、自分が何を言いたいのか分からなくなっていた。多くの人は、聞き手を置いてきぼりにしてしまう傾向が強い。だが、Nさんのように、相手に合わせすぎてしまって自分の主張をまったく前面に出せない人もいる。

 そうなると問題が生じる。相手に合わせすぎると、自分自身の感情を抑えてしまって、結果、スピーカーの情熱が感じられない、感動のないスピーチになってしまう。だから、相手のニーズ・ウォンツと、さらに自分の言いたいこととの両方を大切に考え、二つの重なる部分を一番に考えるのが成功するスピーチ・プレゼンを作るコツだ。

 この問題を具体的に解決するために、次の章をじっくりと読んでいただきたい。

2. 言いたいことを整理し、より分かりやすく

一つのスピーチには一つのメッセージしか言ってはいけない

よくある間違いは、言いたいことを詰め込み過ぎてしまうことだ。自分が伝えたいことがたくさんあり、たくさん情報を与えた方が、相手にたくさんの選択肢や、判断材料を与えることになるから、その方が親切だと考える人は多い。

 しかし、一部の人を除き、一般の聴衆はあまり情報が多すぎると、判断がつかなくなり、逆に、あなたが何を言いたいのか分からなくなってしまうのだ。結果、聞いた後、何も残らなくなり、Nさんの目的である「次のミーティングにつなげ出版に漕ぎ着ける」ことができなくなってしまう。

中心となるメッセージを一つに絞る

だから、何を言うべきか、何を言わないべきか、あらかじめ整理しておく必要がある。この作業には時間がかかる。この整理がされていないと、聞き手は、困惑するだけだ。

 従って、相手のニーズに合わせて、同時に、自分の言いたいことを整理し、明確にすることが重要になる。中心となる自分のメッセージは何か? それを研ぎ澄ますことが一番大切だ。

 このメインとなるメッセージをブレイクスルーメソッドでは、「ワンビッグメッセージ」と呼んでいる。日本語なら20語以内、英語なら、10 words 言い表すことを目標にすることが成功の秘訣だ。

熱意がないように聞こえるスピーチの問題点

話を聞いていて、どこか他人事、というか、その人の想いが伝わってこないスピーチをたまに聞くことがある。内容をよく聞くととてもいい話なのだが、感動が生まれない。客観的なデータや人から聞いた言葉ばかりが耳についてしまう。つい、「で、あなたはどうなの?」と聞きたくなってしまう。

Nさんの問題点はここだった。

 自分はあくまでも共著者であり、代弁者だから控え目になろうという意識が働いたのかもしれない。もともと相手に気を遣う性格で控え目であることを良しとして生きてきたのかもしれない。

 そのせいなのか、聞き手が喜びそうなことばかりに気を取られ、自分の本当に言いたいことを無意識に封印してしまっていた。それ故に、自分でも何を主張していいのかが分からなくなっていた。自分の言いたいことが何かをはっきりと自分でも認識し、それを整理する作業が必要だった。Nさんに限らず、多くの人がこれができない。だから、自分の心から沸き起こるような情熱、この出版に賭ける自らの熱い想いがなかなか伝え切れていなかった。

 自分の言いたいことを整理し、その中から、中心となるメッセージを一つに絞ることで、自分の思いがはっきりと伝わり、感動を呼ぶスピーチが生まれる。

うちに秘める自らの想いを書き出す「見える化」作業

 自分の言いたいことの整理がつかず、ワンビックメッセージを掘り出せない人は多い。これは、いわゆる「敏感さん・繊細さん」と言われるような、人一倍感じる力が強い人たちに限ったことではない。ただ、敏感さんたちは、なぜか心理的にブロックがかかってしまっているので、それを外さないといけない。自分に対して、「私は自己主張してもいい」と、まずは許可を与える。「自己主張することは決して恥ずかしいことではない。むしろこの場では必要なことだ」と、自分を無意識に縛っている鎖を解き放してみよう。

 人によっては、他にも色々な原因があるだろう。いずれにせよ、ワンビックメッセージを掘り当てるには、心理的なブロックがかかり、頭にモヤがかかった状態から抜け出す必要がある。そして、それを言語化して、自分を自由に表現することができるように持っていこう。モヤモヤした気持ちを具体的な言葉に変えていく作業をするのだ。うちに秘める自らの想いを見つけ出すために、それを「見える化」してみよう。

 そのためには、自問自答しながら(誰かと実際に話をするのが一番いい)、付箋紙などを利用して、洗いざらい書き出す作業をしてみよう。

論理的でシンプルな構成作り4ステップ

モヤモヤを晴らし、言いたいことを引き出して整理し、それをスピーチとして構成する4つのステップを紹介しよう:

  1. 思いつくままにポイントをできるだけ多く書き出す(発散的思考)
  2. 書き出した内容をグルーピングし、3つに絞る(収束的思考)
  3. それぞれにタイトルをつける。ワンビックメッセージを考える(日本語なら20語以内、英語なら10 ワード以内)
  4. ワンビックメッセージと3つのサポートメッセージを繋げる

① 思いつくままにポイントをできるだけ多く書き出す(発散的思考)

プロセスとしては、最初に、思いつくままに付箋紙などを利用して、ポイントを書き出して行く(発散的思考)。この段階では何も判断はしない。

 Nさんの場合、

  • そもそも本を書くきっかけはなんだったのか? 
  • なぜ書こうと思ったのか? 
  • なぜ共著者に協力しようと思ったのか? 
  • そう思わせた出来事はなかったのか? 
  • 自分は本当は何が一番言いたいのか?

 を一つ一つ質問し、じっくり話を聞いた。すると、いろんな想いが込み上げてきて、Nさんの顔が輝き出し、笑顔が見えてきた。最初にプレゼンデモをしてもらった時には見れなかった明るい表情を目の当たりにすることができたのだ。

「そうです。これが言いたかったんです。でもなぜか、ある人に反対されちゃって封印していました!」

 これらの言いたいことをどんどん吐き出してもらい、それを私が付箋紙に書き出してあげた。全部で30枚くらいになったところで、全体が見渡せるように大きな壁に貼ってみた。

② 書き出した内容をグルーピングし、3つに絞る(収束的思考)

 ①のプロセスで、あらかた出たと感じたら、似通った内容のものはグルーピングする。いくつかグループができたら、その中で本当に必要な内容はどれかを判断し、3つまでに絞り込む(収束的思考)。

なぜ3つ?

ちなみに、なぜ3つなのか。それは、「3つの法則」というのがある。人間の脳は、2つだと「何か物足りない」と感じ、4つだと「ちょっと多いな」と感じ、3つあると「満足する」ようだ。実際に、有名なスピーチはいずれも「3つのX X」を掲げているものが多い。

何を捨てて、何を残すか? 

実は、このプロセスが非常に難しい。どのアイディア・項目も愛着があったりして、捨てきれない場合がある。しかし、少しでも関係のないものは勇気を出して切り捨ててしまおう! そして、捨てる基準は、スピーチの目的を中心に考える。

Nさんの場合:

 Nさんの目的は、本の出版に漕ぎ着けることだった。だから、「なぜこの本が出版されなくてはいけないのか」を基準にし、それとの関連性を同時に考えた。言いたいことを整理すると、

  • 社会的な内容のもの
  • 共著者についてのもの
  • 自分自身の体験について

が多かった。他にも、会社経営のポイントのような内容もあった。しかし、本が出版されるべき理由には当てはまらないと考え、また、4つになるのは避けたかったので捨てた。

 この3つに所属するものはそこへ移動し、関係のないものは思い切って捨てた結果、30枚くらいあった付箋紙は、15枚程度になった。さらにその中でも重複するものがあったので、10枚くらいまでに絞れた。その10枚を3つのグループへ分けた。

③ それぞれにタイトルをつける。ワンビックメッセージを考える

(1)ワンビックメッセージ(日本語なら20語以内、英語なら10 ワード以内)

ここでは、もう一度、自分の言いたいことを振り返り、一番大切なメッセージ、ワンビックメッセージは何かを考える。そして、3つのグループにそれぞれタイトルをつける作業をする。

 Nさんの場合、ワンビックメッセージは、やはり本のタイトル「定年から始める生きがいビジネス」だった。灯台下暗し。すっかり忘れていたことだった。本の紹介をするのがプレゼンの目的なのに、当初考えられたのは、いろんな枝葉の部分の主張が色々あって、それぞれはもっともな意見なのだが、全体として何を言いたいのかよく分からなくなっていた。

実際のスピーチでは、

「シニアのみなさん!生きがいビジネスを始めませんか?」

というように呼びかけ調に変えてみた。

(2)グループタイトルをつける

 次に3つのグループにそれぞれタイトルをつける作業。これは単純にタイトルをつければ良いのだが、中には、このタイトルづけがうまくできない人がいる。こういう人は往々にして、要点を伝えるということが苦手だったりする。短いタイトルを考えることは、自分の言いたいことを絞るいい訓練になるので、数をこなして練習して欲しい。

 

Nさんの場合(タイトルづけ):

・社会的な内容のもの(高齢化社会の統計、シニアの再就職問題など)

 →シニアの労働力が日本を元気にする

・共著者についてのもの(78歳にて現役経営者、本人やフォロアーの起業体験など)

 →起業はシニアでもでき、さらにイキイキと!

・自分自身の体験について(共著者の教えを受けて自分も起業。不安なく困難を乗り越えたことなど)

 →シニアに起業の道標を示せ、不安を取り除く!

 

④ ワンビックメッセージと3つのサポートメッセージを繋げる

③までの作業を終えれば、話の構成要素が揃う。次は、聞き手にとって分かりやすい構成が必要だ。ワンビックメッセージを考えたら、それをサポートする3つのメッセージを考えよう。

Nさんの場合は、もうすでに、3つのサポートメッセージは出来上がっていたので、それらをどう繋げるかに集中すればよかった。

3つのサポートメッセージを考える

ワンビッグメッセージができたら、それを正当化できる3つの事実・理由を考えよう。それを考えるに当たっては「なぜそう言えるのか?」を繰り返し自問自答するのが、ポイントだ。

そもそもサポートメッセージは必要か?

なぜサポートメッセージを考えるかというと、メッセージだけでは説得力がないからだ。何かを伝える時は必ず理由とセットで伝える。

例えば、会社でコピー機の前に何人か待っている状況を想像してみよう。あなたは今すぐコピーしないと会議に遅れ、上司に怒られる。列を割り込んでなんとか先にコピーをさせてもらうには、

「すみません。コピー先にさせてもらってもいいですか?」

とお願いするよりも、

「すみません。これ急ぎでやらないと上司に殺されちゃうんで、コピー先にさせてもらってもいいですか?」

と理由を一言挟むようにすれば、誰でも気持ちよく譲ってくれる確率は断然に上がる。

「メッセージと理由はセットで!」これも、今後の仕事に役立つので覚えておこう。

ワンビックメッセージと、3つのサポートメッセージをつなぐ

誰も難しい話は聞きたくない。相手に心から納得してもらえ、分かりやすくて、論理的で、シンプルに全体をまとめるには、こんな構成が望ましい。

 

Opening: ワンビックメッセージ

Body:サポートメッセージ1

    サポートメッセージ2

    サポートメッセージ3

Closing: ワンビックメッセージ

 

以上を骨格にして、必要な肉(データ、エピソード、理論など)をつけていく。このフレームさえ崩さなければ、聞き手はあなたの話に熱心についてきてくれるだろう。

 Nさんの場合、目的が出版に漕ぎ着けることだったので、

「なぜこの本が出版されなくてはいけないのか?」

に着目した。「この本が出版されると。。。」という前提でサポートメッセージを挙げ、本が出版されるべき理由が述べられる仕組みだ。

Opening: ワンビックメッセージ:

「シニアのみなさん!生きがいビジネスを始めませんか?」

Body「この本が出版されると。。。」

サポートメッセージ1 シニアでも起業ができ、さらにイキイキと!

   サポートメッセージ2 シニアに起業の道標を示せ、不安を取り除く!

   サポートメッセージ3 シニアの力で日本がグローバルに元気になる

Closing: ワンビックメッセージに肉をつけて繰り返す

「以上の3つの理由から、この本が、今、世の中に必要なんです。この本が出版され、右も左も分からない暗中模索の中で一筋の光を示すことができれば、シニアの皆さんが、小さな自信を持ってビジネスを立ち上げられ、日本を元気にし、それが若い世代にも良い影響を与え、グローバルな社会でも日本人一人ひとりが謙虚にかつ大胆に活躍する場を作っていけるのです。シニアの皆さん!生きがいビジネスを今こそ始めましょう!」

ここで、グループタイトルをつけた時につけた順番を変えたのには、理由がある。リーセンシー効果を考えてのことだ。リーセンシー効果とは、「人は最後に聞いたことを重要と思いやすい。もしくは、記憶に長く留まりやすい」というもの。これを利用して、より重要なメッセージを最後に持ってくるようにしたのだ。

Nさんの場合:

出版社の担当の人は男性であり、Nさんは、その人が理性的に物事を考え、社会的な意味を求める傾向が強いことを知っていた。だから、個人的な体験よりも社会的なことを最後に持ってきた。

自分を主張することで相手を幸せにできる!

スピーチを成功に導き、相手に好印象を与え、いつまでも覚えていてもらうためには、まず、準備に十分な時間をかけることだ。準備を入念にしておけば絶対に致命的な失敗はしない。

 私も以前は、スピーチは、ぶっつけ本番でやるだけで十分だと思い込んでいた。それは確かに臨場感を出すという意味ではいいかもしれない。しかし、それだけだと深みが出なかった。一番重要なことが曖昧になったり、説明が不十分で終わったり、鋭い突っ込みの質問に応えられなかったりした。

 だから、周到な準備をするように心がけた。リハーサルを何回も行った。分かりやすい構成に変えた。一つのスピーチに一つのメッセージを込めるようにした。すると、「笑顔の中に自信が感じられる」と言われるようになり、結果、リピーターが増え、評判も上がった。

「敏感さん」には、それなりの準備が必要だ。話し方は下手でも、いつもは緊張しすぎて顔がこわばってしまいがちな人でも、準備さえしっかりしておけば、その努力は報われ、自然と聴衆に伝わるものだ。

 それにはまず、「敏感さん」には得意な、聞き手に対するリサーチを当然の如くこなし、「相手の気持ち」慮る言葉を文章のあちこちに埋め込んでみよう。

 そして、分かりやすい構成とともに、ワンビックメッセージが明確に分かるスピーチを用意しよう。それには、自分のうちなる声に耳を傾けなくてはならない。そしてそれを小さな自信を持って披露してみよう。人は誰でも心の弱い部分がある。あなたの優しさあふれる言葉は、きっと光となって、人の傷つきやすい心を愛で包み込み、確実に聞く人の心の底に刻み込まれることだろう。

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