名刺交換できないオンライン営業
コロナのおかげで、世の中がすっかり様変わりした。営業形態も実際に先方に訪問したりせずに、オンライン(リモート)での営業・商談がどんどん取り入れられてきている。経営者にとってはコスト削減にもつながり、今後ますます在宅勤務や、リモート営業は増えるに違いない。
しかし、このオンライン営業、リアルでやっていたことをそのまま画面ごしでやっていては確実に失敗する。
ではどうすればよいか。答えは、リアルとオンラインの違いを理解し、オンラインに適した手法で商談を進めることだ。
そこで今回は、私が講師を務めるブレークスルースピーキングのウェビナー基礎コースから、オンライン商談に使える3分スピーチテクニックとプレゼン準備法をご紹介する。この手法を使うことで、リアルとは勝手が違うオンライン商談で、短時間で的確に相手にベネフィットを伝えることができる。
リアルとオンライン3つの違い
リアルとオンライン商談では、大きく3つの違いがある。
- 今までの営業テクニックが使えない
- アポの時間が圧倒的に短い
- 「結局何を言いたい?」は、絶対NG
1.今までの営業テクニックが使えない
まず、画面ごしでは、相手がどれほど興味を持っているのか、判断がしずらい。ラポールを築くためのミラーリングもできない。今までリアルでは得意だったはずの営業テクが使えず、大いに不安が残る。この為、リアルでやっていたことをそのまま画面ごしでやっていては確実に失敗する。
2.アポの時間が圧倒的に短い
そして最大の難点は時間だ。アポの時間設定が短いのだ。リアル営業の時は、だいたい1時間の枠で先方とアポを取る人が多い。しかし、オンライン商談の時は、10分枠でとる。なぜかと言えば、名刺交換もできないし、雑談をやたらしていても相手にとっては苦痛でしかない。だから、こういったことは省いて本題に入る。すると必然的に時間短縮となる。この方が顧客にも喜ばれる。実際には、事前準備のための時間や、予想以上に話が弾んだ場合などに備えて、その前後10分ずつくらい時間枠をとっている人は多いと思うが、肝心の中身は10分がせいぜいだ。
3.「結局何を言いたい?」は、絶対NG
聞いていて苦々しく思うのは、言いたいことがいくつも含まれていて、長々と述べているけど、結局何を言いたいのかが分からない話。短い時間しかない状態では絶対にこれはできないし、してはならない。
こうして総合的に考えると、リアルよりオンラインの方が短い時間で勝負をかけないといけないことは明らかだ。
オンライン商談で成果を出す2つのポイント
短時間で勝負をかける、オンライン商談のポイントは2つ
- 事前に頭を整理し、相手にとってのベネフィットをクリアにして臨む
- ワンビッグメッセージを用意する
ポイント1.事前に頭を整理し、相手にとってのベネフィットをクリアにして臨む
短い時間で勝負をかけるには、自分の頭の中を整理しないといけない。相手にとってのベネフィットをクリアにしてから臨むべきだ。
ポイント2.ワンビッグメッセージを用意する
10分にまとめなければいけないオンライン商談ですべきは、言いたいことを一つにまとめ、聞きやすく、分かりやすくすること。3つに絞り込まれた内容が有機的に繋がって一つのメッセージをかもしだすようにすれば、相手の心を確実に捉えることができるだろう。
この言いたいことは一つにまとめることを、ブレイクスルースピーキングでは、ワンビックメッセージ(One Big Message) と言っている。
オンライン商談で成果を出す2つの手法
オンライン商談では、事前に頭を整理し、相手にとってのベネフィットをクリアにして臨む、ワンビッグメッセージを用意する。この2つが重要なことをお伝えした。
それを実現するのに使う手法が、「3分スピーチテクニック」と「プレゼン準備3ステップ」だ。
- 「3分スピーチテクニック」
スピーチテクニックを応用することで、短時間で無駄なく相手にベネフィットを伝えることができる。 - 「プレゼン準備3ステップ」(ワンビッグメッセージの作成)
いくつも提案すると決め手に欠け、商談成立に繋がらない。メッセージは1つに絞るが短時間商談のポイント。プレゼン準備3ステップを使うことで、相手視点の強力なメッセージ「ワンビッグメッセージ」を作ることができる。
1.短時間でベネフィットを伝える「3分スピーチテクニック」
3分スピーチテクニックがオンライン商談で使える理由
アメリカのテレビ業界で数々のヒット作品を生み出したPinvidic氏によれば、テレビ番組のプロデューサーに対して製作会社がプレゼンを行う時間は、3分しかないそうだ。(Brant Pinvidic著 ”The 3 Minutes Rule” より)
短い話を長くするのは簡単だが、長い話を短くするのは難しい。「20分の話を10分で」と言われると、どこを削っていいか悩むものだ。しかし、3分の話を10分にするのは、その商品に関して知識豊富な営業マンなら簡単だろう。だから、3分でまとめるテクニックが参考になる。
3分スピーチで必要な3つの要点と時間配分
- それが何であり(商品説明:1分半)
- どのような仕組みでどのように使え、どんな証拠があり(1分)
- 具体的なプロセスは何か(30秒)
であり、それらをシンプルにまとめることだ。大切なのは、あれもこれも盛り込もうとしないこと。これはブレイクスルースピーキングで教えているスピーチ作成術と全く同じだ。
必要な要点と時間配分は分かった。では、オンライン商談で成果を出す2つのポイントでお伝えした、「相手にとってのベネフィットをクリアにし、ワンビッグメッセージを用意する」にはどうしたらいいか。ブレークスルーのウェビナー基礎コースで教えている、プレゼン準備3ステップを使う。
2.ワンビッグメッセージに落とし込む「プレゼン準備3ステップ」
- 思いつくままにポイントをできるだけ書き出す(発散的思考)
- 書き出した内容をグルーピングし、3つに絞る(収束的思考)
- ワンビッグメッセージに落とし込む(日本語なら20語以内、英語なら10 ワード以内)
プロセスは以下
step1.思いつくままにポイントをできるだけ書き出す(発散的思考)
最初に、思いつくままに付箋紙などを利用して、ポイントを書き出して行く(発散的思考)。この段階では何も判断はしない。
step2.書き出した内容をグルーピングし、3つに絞る(収束的思考)
その後、似通った内容のものはグルーピングする。いくつかグループができたら、その中で本当に必要な内容はどれかを判断し、3つまでに絞り込む(収束的思考)。実は、このプロセスが難しい。どのアイディア・項目も愛着があったりして、捨てきれない場合がある。しかし、少しでも関係のないものは勇気を出して切り捨ててしまおう!
step3.ワンビッグメッセージに落とし込む(日本語なら20語以内、英語なら10 ワード以内)
そして、その3つの構成要素(商品説明・理由づけ・使用プロセス)から有機的に生み出されるものを一つのメッセージ(One Big Message)として表現する。日本語なら20語以内、英語なら10 ワード以内だ。
時代の変化に動じないスキルで、オンライン時代を生き抜く
スピーチ術というと、会場での挨拶や演説等、人前で話す為の技術、というイメージが強いが、実際はリアル、オンラインに関わらず、プレゼンや営業・商談などビジネスシーンで活用できる技術だ。
対面営業が主流だった日本でも、コロナでリモートワークが導入され、営業や商談もオンラインへシフト、この1年で営業スタイルがらりと変わった。これからの時代、シーンや状況にに左右されない話し方やコミュニケーションスキルは必須となるだろう。
オンライン化が進み始め、家にいる時間が多い今のうちに、短時間でも相手に的確にベネフィットを伝え成果に繋げる、時代の変化に動じない世界標準の話し方を学んでみてはいかがだろうか。
ブレークスルーのウェビナー基礎コース
今回お伝えしたスピーチの構成や準備などの具体的なプロセスは、ブレイクスルーウェビナー基礎コースで学ぶことができる。
ウェビナー基礎コース全5回特別授業
本メディアでは、ウェビナー基礎コースで学ぶ内容を、「ステップバイステップで学ぶ明日から使える世界標準の話し方」として特別公開している。今回のテクニックの他にも、ビジネスシーンで使えるスキルが満載だ。
オンライン営業では、短い時間で分かりやすく要点のみを話すことが求められる。そのためには、明確なワンビックメッセージを用意しておくことが重要だ。
ウェビナー基礎コース詳細
ウェビナー基礎コースの詳細は、以下のページでご覧いただける。基礎コースと実践コースは私が担当している。
オンライン営業では、短い時間で分かりやすく要点のみを話すことが求められる。そのためには、明確なワンビックメッセージを用意しておくことが重要だ。
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オンラインならではの話し方のポイントは、以下の記事がおススメだ。
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“話しの出だし”のコツも知っておけば万全
さらに短い時間では、話の出だしが重要なので、以下の記事を参考にしてほしい。
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イメージ写真:まぽ (S-cait)さんによる写真ACから