4つの要素を活用して終始笑いにあふれるスピーチを考える(具体例つき)

ユーモアとは、あくまでも聞き手の集中力を惹きつけ、維持させ、話のポイントを補強したり、印象づける手段として、このブログでは扱ってきた。例えば、スピーチの内容自体は、とても真面目なものなのだが、ユーモアを使ってそれをうまく緩和し、聞き手をリラックさせることで、スピーチの目的を果たそうとした。

しかし、たまには、話の全て、最初から最後までがエンターテイメントとして機能し、人をリラックスさせ、会全体の雰囲気を和らげる目的で話したい時もあるだろう。結婚式の2次会やら、何かの懇親会の挨拶など、目的自体が聞き手を楽しませる、というものだ。プロのお笑いの人たちのレベルまでいかなくても、少しでも聴衆に喜んでもらえるために、ここでは、どのようにして、最初から最後まで聞き手を楽しませるスピーチを準備するか、について語ってみたい。

1、一つのテーマに絞る

あなたの面白いスピーチは、コメディアンやプロのお笑いの人たち、落語家が扱うような、多岐にわたる話題について次々と冗談を積み重ねていくような話である必要はない。それには到底及ばないし、それに対抗しようとするのが目的ではない。あくまでも、一つの話題に絞って話していく。その方がまとまりが出てくるし、プレゼン、スピーチにも応用できる。

2、必ず要点がある

話には、それぞれ話したいポイントがある。それを補強する意味で、ユーモアが手段で使われることは繰り返し指摘してきた。しかし、ここでのポイントとは広い意味でのそれであり、ポイント自体がスピーチの目的である必要はない。これについては後述の具体例を見て欲しい。

3、誇張を忘れない

すぐにそれと分かる誇張をしたり、出来事や、詳細をわざとゆがめたりしてユーモアを醸し出してみよう。(人を傷つけるジョークは禁物)

4、ストーリー仕立てにする

実際の体験に基づいた話が望ましいが、想像した御伽噺のようなものでも構わない。いつどこで誰が何をどのようにしたのかを明確にし、ビフォーアフターのように、必ず苦悩、解決策、結果・結幕が浮き彫りになることを忘れないようにしよう。

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実際のスピーチの作り方

  1. トピック選びと出来事の書き出し
  2. それぞれの出来事のポイントを考えてつなぐ
  3. 誇張
  4. 聞くひとは誰か?
  5. 構成を考え、ストーリー仕立てにする。

1、トピック選びと出来事の書き出し

一つの主要なトピックを選んでみよう。自分が必死に苦悩、格闘したような体験は、面白おかしく表現しやすい。そして、そこで起きた出来事を書き出してみよう。

例えば、あなたが初めてデスクトップ・パソコンを買った時の体験を考えてみよう。そして、それがどのように動くのか、なぜそうなるのかさっぱり分からなかった時のことを思い出してほしい。どこにパソコンを置くべきなのか、必要以上に考えて迷ったり。また、どのパソコンを選んだらいいのか、何がどう違うのか、どの店で買うのか、見当がつかなくて、焦って調べたり、人に聞いたり、店員に聞いたり。ソフトをインストールしたけど動かなかったり、説明書を読んだが意味不明だったり、カスタマーサービスに電話して質問をしたが、分からなくて、友達の助けを求めたり。などなど、そんな苦悩した時のことを思い出して書き出してみよう。

2、それぞれの出来事のポイントを考えてつなぐ

今、こうやって書き出してみると、自分でも笑ってしまうことがたくさん思い浮かぶのではないだろうか。それをどんどんメモっていこう。それぞれのエピソードには共通点があり、そこに話のポイントが生まれてくる。それらを繋げると話全体のオチが見えてくる。

例えば、ここのコンピュータ話だったら、

この情報化時代を生きるには、いわゆる古い世代の人間にとってはいかに難しいか。

またはその逆で、

デジタルネイティブの人間が古い世代の人間と話すのがいかに大変か、

などがテーマとして浮かび上がってくる。誰かにとって当たり前なことが、他の誰かにとってはまったく分からない分野・場面に遭遇した場合。全然見当もつかなくて右往左往する自分の姿。それを、うまく表現できれば、とてもコミカルに見え、そこに笑いの渦が起きるはずだ。

3、誇張

その時の体験を誇張しながら作ってみよう。その際には、攻撃的で、人を傷つけるような冗談は避けながら、笑いの対象はあくまでも自分にするように注意したい。

もし、説明書を読んだが意味不明だったのであれば、具体的に分からなかった専門用語を取り上げて、それを声を荒げて大きなジェスチャーで言ってみるとか。

さらには、そこをさらに掘ってみる。例えば

「プロトコル? プロトコルって何? なんかの薬の名前? とかって、初めて聞いた時思いませんでした? プロザック?じゃないし。。。『プロがトルコへ行った?』って覚えればいいな、と私の場合は思いました」

などとボケてみる。こういうのは、その時、周りでウケたもの、誰かが言って面白かったものをメモっておいて、自分のユーモアファイルにしまっておくのがコツだ。

他にも、カスタマーサービスに電話した時に、待たされるのは、すごく長く感じるものだ。そこは大いに誇張して、本当は2−3分でも、

14時間待たされた」

と、すぐにウソとバレる大きな数字を使ってみたり、ジェスチャーたっぷりに、オーバーに表現してみればいい。聞き手に似たような体験があれば、笑みを浮かべて大きく頷いてくれ、自然と笑いが起きるだろう。

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4、聞くひとは誰か?

ここで注意しないといけないのは、聴衆は誰かということ。話の内容は彼らが理解し、それとわかるものでなくてはいけない。彼らが多分そういう体験をしているであろうことを想定して話さないといけない。

例えば、このコンピュータ話だったら、ウケないであろう対象者は、ソフトウエア開発者やSE、会社のIT担当などの技術的な知識が豊富な人たち。そうではなく、どちらかと言えば、50代の専業主婦の人たちの方が面白がるだろう。

また、誇張した場合に、聴衆に真面目な人が多い場合は、怪訝に思われてしまう時がある。そんな時は、

14時間なんてあり得ないと思わないでくださいね。それくらい長く感じたということです」

などとフォローを入れておくといい。

5、構成を考え、ストーリー仕立てにする。

ここで一度テーマを決めたら、次は、サブテーマを決めよう。この例なら、いくつもあるだろうが、勇気を出して、3つの際立ったものに絞ってみよう。例えば、

1、どのパソコンを買うかを選ぶ時、2、家のどこに置こうか迷った時、3、カスタマーサービスに電話した時

それぞれに実際にあった出来事を当てはめていく。それぞれが一つの根底に流れるテーマに立体的に関連し合って、スムースに流れるように構成する。時系列に並べなくていい。ユーモアスピーチでは、聞き手に心から楽しんでもらうように、一番面白いストーリーを最後に持ってこよう。

例えば、どの場面にも夫婦ケンカ・口論が付きまとうのであれば、共通したポイントとして入れていき、もしそれが結婚式でのスピーチであれば、根底のテーマを「夫婦ケンカのコツ」とか、逆に「夫婦円満のコツ」として浮き彫りにさせても面白いと思う。

会場の広さは笑いに影響

ここで、見落としがちな点を指摘しておこう。

実は、部屋の大きさが笑いを呼ぶか呼ばないかに大きく関係しているのだ。もし可能であれば、できるだけ小さめの部屋を選ぶことをお勧めする。広くて、ガラーンとした部屋にポツポツと人が座って、隣の席が一つ置きに空いていて、余裕で座れるような状態は、あまり好ましくない。それよりも、人々がちょっとくっつくくらいの方が理想的だ。コロナ禍では望むうべきもないが、そうでない場合は、あなたが聞き手と近ければ近いほどよい。聞き手同士も近い方が親近感が湧きやすく、あなたのスピーチを結果的に助けてくれることになる。

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