「説得の三要素」欠けてない?日本人に多いロゴス・パトス型プレゼン改善方法

「信元夏代のスピーチ術」編集長 信元です。

誰かのプレゼンを聞いて、

”…で、結局何を言おうとしているの…?”

”熱意は伝わってくるけど、中身がないな…”

”何か信頼できない…”

そう感じたことはありませんか?

このような場合、決定的な間違いは、「説得の三要素」のいづれかが欠如している点にあります。

「説得の三要素」とは

「説得の三要素」とは、古代ギリシャの哲学者であるアリストテレスが提唱した人を説得する為の3つの要素のことです。彼は、「人が説得されるためには、ロゴス・パトス・エトスの3つの要素が揃っていなければならない」、と唱えました。

ロゴス(LOGOS)とは論理的アピール、パトス(PATHOS)とは、情緒的アピール、エトス(ETHOS)とは倫理的アピールのことです。この3つの要素は、次のような図に表されます。

アリストテレスの説得の三要素

これらの三要素のうち、どれか一つが欠けても人は説得されない、と言われています。

「説得の三要素」とスピーチ術

そしてこの説得の三要素は、今でもプレゼン・スピーチに必要な要素として頻繁に語られています。人間の本質は、2000年以上たっても基本的に変わっていないのですね。

スピーチ・プレゼン技術を、説得の三要素に当てはめると以下になります。

  • ロゴス(LOGOS:論理的アピール)

    論理的思考で情報の整理をし、メッセージを明確にする技術です。

  • パトス(PATHOS:情緒的アピール)

    ストーリーを語り、聞き手の心を揺さぶり、共感度を高める技術です。

  • エトス(ETHOS:倫理的アピール)

    プレゼンの前・中・後における信頼構築ですが、プレゼン最中についていうならば、デリバリー、つまり効果的な話し方を身に着けることで、信頼度を高める技術です。

説得できない2つのパターン

説得できないパターン1.パトスが欠落、ロゴス(論理的アピール)に偏ったプレゼン

例えば、いかにも頭脳明晰そうな、知名度も高い学者や教授が、データをたくさん見せながら、誰にも論破し得ないロジックでプレゼンをしたとしましょう。「確かにそうだ…」とは思うものの、もし、パトス(情緒的アピール)が欠落していて、人間味のかけらも感じない頭脳ロボットのような人物だったとしたら、このようなロゴス(論理的アピール)に偏っているプレゼンでは心の奥まで響くことはないでしょう。

「言ってることは分かるけどさ…なんかいけ好かないんだよね」

そんな印象すら持つかもしれません。

説得できないパターン2.ロゴスが欠落!パトス(情緒的アピール)に偏ったプレゼン

逆に、情熱にあふれた体育会系の新人営業マンが、「ほんとにこの商品いいんすよ!!もうこの商品に出会って俺の人生変わったんっす!使ってみてください!あざーっす!!」とパトス(情緒的アピール)満載で営業してきたとしましょう。その熱意に押されて応援してあげたくなるかもしれませんが、「この商品のここのスペックはどうなってるの?」と尋ねても、「えーっと、すんません!ちょっと自分には分からないんで、あとで調べます!」という回答で、その回答だけ後日持ってくるも、更に質問をするとまた同じような回答が続く…

そんな状態では、ロゴス(論理的アピール)が欠落していて、

「熱意は買ってあげたいんだけどね。ちょっとたよりなくて信頼できないなあ…」

と、エトス(倫理的アピール)までも影響してしまうことでしょう。

ですから、この3つの要素がすべてそろっていること、が、説得力のあるスピーチ・プレゼンに必要不可欠な要素、と言えます。

日本人リーダーに多く見られる2つの傾向と解決策

私が多くのリーダーたちをコーチングする中で、2つの共通点が見られます。

一つは、ロゴスに偏りすぎ、もう一つは、パトスに偏りすぎ、というケースです。先ほど説明した「説得できないパターン2つ」と同じ傾向ですね。

それぞれの傾向と、スピーチ術を使った解決策をご案内します。

1.論理で攻める!ロゴス攻めプレゼン

日本人は、文化的に、不確実要素を回避する傾向が高い文化圏の人々だ、と言われています。

それがの実に表れているのが、情報・データ満載のプレゼン資料です。

予想外の質問が来てもすべてプレゼンの中に盛り込まれているように…そもそも想定外の状況に陥らないように…全部盛り込んでおけばきっと全員の知りたいことがカバーされるはず…

そんな「不確実性要素を回避する傾向」が相まって、事実の羅列をする結果、ロゴス攻めプレゼンとなってしまうケースは、皆さんも「あるある」なのではないでしょうか。

データ満載なだけでロゴスが弱いことも

ただし!情報・データを並べただけでは、実はロゴスが強い、とも言えないのです。

ロゴスが強い=ロジックが立っている、ということは、聞き手にとって、必要な情報だけを深堀りし、論破する余地のない論理構造を持っている、ということです。

何でもかんでも、手元にあるデータを盛り込んでおこう、というのでは、そもそもロゴスすら弱いのです。

解決方法:論理構造はしっかり!のロゴス攻めタイプは、「ストーリー」でパトスを強化

一方で、必要な情報と論理構造がしっかりとあったとしましょう。つまり、ロゴスが強いケースです。

その際に日本人リーダーによく見られる傾向は、「パーソナルなことを話すのはビジネスの場ではあまりふさわしくない」と考え、パトスが欠落してしまう、という傾向です。

正確な情報ならネットで誰でもアクセスできる時代に、なぜわざわざ人がスピーチを行う、という、アナログな方法で伝える手法がいまだ重要視されているのか。

それは、人間は感情の生き物だからです。頭で理解するだけではなく、心を揺り動かされ、感動し、共感し、賛同したい。そういった心のつながり、つまり、パトスを構築できるのは、生身の人間だからこその特権です。

そのためには、パーソナルストーリーを通して、パトスを強化する必要があります。

ストーリーの作り方、については、ブレイクスルーのウェビナー基礎コース「第5回目:スピーチの成功はストーリーから」で学ぶことができます。

※併せて読みたい:

どのような手法を使いストーリーを組み立てるかは、本メディア限定公開のウェビナー基礎コース特別授業「第5回:スピーチの成功はストーリーから」で特別公開中です。論理的に話すことは得意だが、どうも人間味が足りない、そんな方は是非お読みください。

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第五回:スピーチの成功はストーリーから アイキャッチ画像

2.熱意で攻める!パトス満載プレゼン

もう一つのパターンは、ロゴス攻めの真逆で、パトス満載なケースです。営業系プレゼンによく見られるのですが、「気持ちがあれば伝わる」、という、高コンテクストな考えから、「自分視点」の熱意満載なプレゼンを行ってしまい、ロゴスが欠落してしまうのです。

こちらも、異文化理論上、日本人は、「高コンテクスト文化」に属しており、結果よりプロセスや、あ・うんの呼吸の重視、そして、感情とメッセージが折り重なって、明確に分けることをしたがらない傾向にあります。欧米に代表される低コンテクスト文化では、「君のことは人間として大好きだ、でも今の君のメッセージは賛同できない」という論理も十分通用しますが、高コンテクスト文化の日本ではそのような切り分けが難しい傾向にあります。

そのような傾向が表れるケースが、熱意で攻めてしまうパトス満載プレゼン、というわけです。

高コンテキスト・低コンテキストについては、ブレイクスルーのウェビナー基礎コース「第2回目:異文化の人々にも響く伝え方」の中で学ぶことができます。

※併せて読みたい:

高コンテキスト・低コンテキストについてご存じない方は、本メディア限定公開のウェビナー基礎コース特別授業「第2回:異文化の人々にも響く伝え方」を是非お読みください。

ウェビナー基礎コース特別授業

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第二回異文化の人々にも響く伝え方

解決方法:パトス満載タイプは、「聞き手視点に変換する手法」を使いロゴスを強化

このように、ついつい熱意で攻めてしまうパトス満載タイプは、「自分視点」から「聞き手視点」に変換する手法を知り、ロジカルに話を組み立てるのがおすすめです。

聞き手視点でのロジックをしっかりと組み立てる方法については、ブレイクスルーのウェビナー基礎コース第3回目「スピーチ構成の前にすべきこと」の中で『聞き手を知る4つの質問』としてその手法を学ぶことができます。

※併せて読みたい:

本メディア限定で、ウェビナー基礎コース第3回目と、その手法『聞き手を知る4つの質問』を特別公開していますので、パトス満載タイプの方は是非お読みください。

ウェビナー基礎コース特別授業

誰かのプレゼンを聞いて、 ”…で、結局何を言おうとしているの…?” ”熱意は伝わってくるけど、中身がないな…” ”何か信頼できない…” そう感じたことはありませんか?このような場合、決定的な間違いは、「説得の三要素」のいづれかが欠如している点にあります。

第三回:スピーチ構成の前にすべきことアイキャッチ画像

まとめ

いかがでしたでしょうか。アリストテレスが提唱した説得の3要素は、今現在でもビジネスの場で通用する要素です。

プレゼンや商談、営業で、成果に繋がらない。そんな時は、自分のどこにウィークポイントがあるか知ることが第一歩です。ウィークポイントを把握できれば、あとはそれを強化すればいいからです。説得の三要素を使い、自分の話し方にどの要素が欠けているか把握し、適切な手法を使って強化することで、説得力のある話ができる様になります。その適切な手法として、今回ご案内したスピーチ術が大いに役立ちます。

スピーチ術、と聞くと大勢の人前で話す時にのみ必要な技術、と思われるかもしれませんが、対大勢の為だけのものではなく、ビジネスシーンで活かせる技術です。

説得の三要素について今この記事を読んでいるあなたは、説得力を高めたい、論理的な話し方をしたい、といった目的があり、説得の三要素について調べていたのではないでしょうか。あなたがもし、説得の三要素について理解を深め、今よりもっと説得力のある話し方をしたいと考えるなら、スピーチ術を体系的に学んでみる、というのも一つの手ではないかと思います。

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ブレイクスルーのウェビナー基礎コース

ブレイクスルーでは、コロナでオンライン化が急速に進む何年も前から、オンラインプログラムを毎月開催しています。

ネットが繋がる環境ならどこからでもLIVEで参加できるウェビナーでは、リアルタイムの双方向講義が可能な Zoom を使用し、互いの顔を見ながら、講義・討議・演習・発表・フィードバックを交え、インターアクティブに学べるため、ライブストリーミングをただ聴講しているだけ、とは大きく異なる充実感と、その場にいるかのような良い緊張感も得られます。自分のスケジュールにあわせ、短期間で、超少人数で、ブレイクスルー・メソッドを効率よく習得したい方におススメです。

基礎コースのカリキュラム

第1回目 グローバルパブリックスピーキング(GPS)とは

  • ・GPSに必要な3大要素
  • ・日本人によくあるスピーチの落とし穴
  • ・GPS式良いスピーチの構成

 

第2回目 異文化の人々にも響く伝え方

  • ・価値観のズレが引き起こす多くの誤解
  • ・異文化フレームワークを理解しよう
  • ・コミュニケーション適応術3段階プロセス

 

第3回目 スピーチ構成の前にすべきこと

  • ・リサーチ&アセスメント
  • ・GPSシート第一ステップ:聴衆を知る
  • ・GPSシート第二ステップ:メッセージを定める

第4回目 印象に残るオープニングとクロージング

  • ・7-30秒ルール
  • ・7秒で印象激変!オープニング7つの手法
  • ・6年後も記憶に残るクロージング6つの手法

 

第5回目 スピーチの成功はストーリーから

  • ・Tell a story and make a point
  • ・ドラマを生む3幕構造
  • ・共感を呼ぶ9つのC

更に、基礎コースを修了したあとは、実践に移し、継続的に学んでいくことが大切です。実際にスピーチを行ってみると、コース中には見えなかった課題や疑問点なども色々見えてくることでしょう。
そこで、基礎コース全5回修了者のみに、フォローアップとして、信元講師によるミニ個人コーチングセッション(15分、$100相当)がもれなくついてきます。

ウェビナーで皆様に直接お会いできることを楽しみにしています。

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■ブレイクスルーメソッドについて深く詳しく学ぶならこちら:

誰かのプレゼンを聞いて、 ”…で、結局何を言おうとしているの…?” ”熱意は伝わってくるけど、中身がないな…” ”何か信頼できない…” そう感じたことはありませんか?このような場合、決定的な間違いは、「説得の三要素」のいづれかが欠如している点にあります。

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