プロスピーカー直伝!大勢の前で緊張する6つの理由と緊張せずスピーチする5つのコツ

あのイチロー選手も緊張する!緊張はやる気のある証拠

かの元大リーガーのイチロー選手は、「緊張しない人は全然ダメな人」とインタビューで語っている。なぜなら、これからすごいことを成し遂げようというときに緊張するのが当たり前で、緊張しないのは、よほど気が緩んでいるか、やる気のない人だ、というのが論旨だったと思う(NHK「プロフェッショナル・仕事の流儀」2008年」)。

 あのイチロー選手でさえすごく緊張する。また、野球界の名選手、かつての長嶋監督、王監督も、「むしろ緊張を楽しんでいる」旨をインタビューで答えていたのを思い出す。

 だから、普通の人が緊張するのはあたりまえのこと。緊張するのはこれから頑張れる証拠。武者震いだ。

問題は緊張することではなく、本来の実力を発揮できない事

 問題は、緊張しすぎてしまって、頭の中が真っ白になったり、声が出なくなってしまったり、セリフを忘れてしまうことだ。プロスピーカーでも、みんな緊張する。でも、「緊張するが、そんな状況でも平常心を失わないで対応できる」のがプロであり、ベテランスピーカーだ。そのことを、便宜上「緊張しない」という表現を使って説明したいと思う。

 今回は、なぜ緊張しすぎてしまうのか、それに対する5つの対処法・コツとは何か? 私の20年来のキャリア体験をここに集約し、さらに仲間のプロスピーカーの証言や各種文献をもとに、次の章から説明していきたい。

大勢の前で緊張する6つの理由

では、まず最初に、大勢の前で緊張する6つの理由をリストアップして紹介しよう。大勢の前で緊張する理由は主に6つある。

  1. あがり症は克服できないとの思い込み
  2. 準備不足・場数を踏んでいない
  3. 気が動転して集中できない
  4. スピーチ(原稿)を丸暗記する
  5. 臨機応変に対応できない
  6. 完璧主義

以下に、各理由を詳しく解説していく。

理由1.「あがり症」は克服できないとの思い込み

心理的な要因が半分以上

 初めてのことや慣れないことには、誰でも、緊張や不安を感じるのは自然なことだ。問題は、常にあがってしまうことだ。では、なぜそうなるのか? 

 それは条件反射なのだ。 犬がベルの音を聞いただけで餌が来ると脳が勝手に反応し唾液を出す、かのパブロフの実験の犬のように。大勢の人の前に出るだけで、自動的に脳が反応してしまい、緊張して言葉が出なかったり、汗を異常にかいたりする「あがり症状」が出てしまうのだ。それだけではない。実際に大勢の人の前にいなくても、それをイメージしただけで反応してしまうこともある。(参考:”Relationship between anxiety, moods and heart rate during public speaking,” 本多麻子, 白鷗大学教育学部論集 2011, 5(1), 183−195) 

セルフイメージが低く、自信が持てない

 多くの「あがり症」の人たちは、それは克服できないものと思い込んでしまっている。一度失敗すると、自分はダメだと思う。失敗が続くと、自分はもっとダメなやつだと思い知る。努力したってどうせダメだとあきらめてしまう。自分に対するセルフイメージが低くなり、ますます自信がなくなる。

 過去、特に幼少時から成長期にかけて、失敗した経験があるとなおさらだ。「人前で話すのが怖い」とのイメージがついてしまっている。拭いきれない。似たような状況に再び直面すると過去の失敗体験が蘇ってくる。そして何も話せなくなってしまう。

理由2.準備不足・場数を踏んでいない

 準備やリハーサルを十分にしていないと、どうしても不安になったり、自信が持てず、アガってしまう。また、スピーチ・プレゼン経験が少なかったり、いわゆる場数を踏んでいないとどうしても自信が持てず、結果、緊張してしまう。

 場数や体験があれば、話が混乱した時の自分なりの修正の仕方、頭の中が真っ白になった場合の緊急の対処法などは、自然と身につく。しかし、言葉が出ない時に、その対処法が分からないと、ますますドツボにハマり、どうしようもなくなってしまう。

 準備なんてしなくても、即興で話せる人はたくさんいるから、リハーサルなんてやらなくて大丈夫。やるだけ時間の無駄だと思ってしまう。

 しかし、実際には、その場で即興で話せる人の方が少ないのが事実だ。それに、即興で話しているように見えても、その陰で実は周到な準備をしている人は多いのだ。

私の体験:

 今はスピーチを教える立場の私も、昔はスピーチが大嫌いだった。カリフォルニアの大学院に留学中、学校側から「日本について」話すように頼まれて、講堂でスピーチをした。その時、途中、頭の中が真っ白になって、何も言えなくなってしまった。実際にはその瞬間は1分くらいだったのだろうが、自分の中では、15分くらいに感じていた。終わった後「もう二度とするものか」とつぶやいたものだ。

 今振り返ると、あの時は、全く何も準備していなかった。「普段会話をするように話せばいいさ」と軽く考え、さすがに話の構成だけは考えたが、リハーサルも何もしなかった。あの頃は、リハーサルをするのは格好悪いとさえ考えていた。考えが甘かった。真っ白になって当然だった。

理由3.気が動転して集中できない

会場の全体の雰囲気に飲まれてしまって、舞い上がってしまったり、普段自分がしないことをして、自分を見失い、異常に緊張してしまうことは往々にしてある。例えば、スピーチの前に乞われるままに参加者と一緒に写真をとったりする。そうすると、注意散漫になって、自分が自分でなくなってしまう。

 他にも、例えば、事前に音楽演奏やちょっとしたショーなどがあり、会場が盛り上がれば盛り上がるほど、その雰囲気に自分が合わせなくてはいけない気持ちになってくる。そうすると自分を見失ってしまう。また、最近聞いた話だが、会場で、自分の憧れの有名人などに偶然出会い、すっかり興奮してしまい、自分のスピーチを完全に忘れてしまった、という人もいた。

 開演前は、自分のスピーチに集中したい人は多い。そういう人が「情報収集のために」とか、「今日は気分を変えて」などと思って、来場者に開演前インタビューをするなど、いつもと違うことをするとセリフが飛んでしまうことがあるので要注意だ。

理由4.スピーチ(原稿)を丸暗記する

自分の原稿を丸暗記して本番に臨むと、緊張しやすい。なぜなら、頭の中で丸暗記の文が順序よく並んでいると、一つ間違えて脱線したら、元の線路に戻るのが難しくなる。戻るのが難しくなると焦って、パニックになる。これが頭が真っ白になる原因の一つだ。

 英語(母国語じゃない言語)のスピーチだと、どうしても最初のうちは丸暗記になってしまう。それは仕方ないことかもしれない。でも、日本語でさえも、丸暗記しようと頑張って練習している人を見かける。それは避けた方がいい。

 そもそも丸暗記の文章は、わざとらしく、不自然で、ぎこちなく聞こえるので、スピーチとしては面白くない。考えてもみて欲しい。一対一の普段の会話で、親しい友人と話をする時に、丸暗記してきたような話し方をするだろうか。

理由臨機応変に対応できない

 スピーチの苦手な人の特徴は、臨機応変に対応できないこと。例えば、あなたが真面目に言っているつもりの場面でも、たまに聴衆が笑うことがある。予想外のリアクションに動揺してしまう。それがきっかけで頭が真っ白になることがある。

 優秀なスピーカーというのは、観衆のリアクションに合わせ、臨機応変に自分の言いたかったことを少し変えて表現したり、その場に見合う言い回しに変えて話したりするものだ。

理由6.完璧主義

完璧に話そうと思うと、丸暗記しようと考える。そうすると前述のように緊張してしまう。

 また、周囲の評価を気にしている時もそうだ。聞き手からどう思われているかを意識しすぎると緊張が生まれる。特に上司や同僚、顧客の前だと「自分をよく見せたい」「できない人だと思われたくない」という強い心理が働く。そうなると、「完璧にやろう」として、ますます緊張は高まる。

 しかし、スピーチとは水ものだ。その瞬間、自分や、会場、聴衆、何が起きるか分からない。完璧にできるわけがない。

「あの人のスピーチ完璧だよね」と思って、終わった後にその人に聞いて見ると、「あれも言わなかったし、何回も脱線しちゃったし、最悪だったよ」なあんて答えが返ってくるものだ。そういうスピーカーの心の中の声、焦り、は聴衆にはほとんど分からない。だから完璧でなくてもいいのだ。

あなたにもすぐにできる緊張しない5つのコツ

プロが緊張しない(緊張に容易に対処できる)のは、高いセルフイメージを持っているからであり、準備を万端に整えているからであり、そして、それなりの技術を持っているからだ。

あなたにもすぐにできる大勢の前でも緊張しないコツは以下5つ

  1. 緊張しないマインドセット
  2. 場数を踏んで積極的に失敗する
  3. 機械のトラブルに備えて、バックアップ案を用意
  4. 本番中とっさの時の対処法(深呼吸、本音を吐露、聴衆は味方)
  5. 自分にフォーカス

では、この5つのコツについてそれぞれ詳しく解説しよう。

コツ1.緊張しないマインドセット

  1. 第一ステップ:過去のセルフイメージを払拭
  2. 第二ステップ:新しいセルフイメージを創造

第一ステップ:過去のセルフイメージを払拭

緊張する一番の原因は、心理的な要素だ。これを排除するためには、まずは、自分がなぜ緊張するのかを解明した方がいい。これは心理カウンセラーなどの第三者に話を聞いてもらうのが一番いいが、自分でもできる。それは、紙に書き出すこと。緊張する場面を思い浮かべて、その時の気持ちを紙に全部書きなぐり、吐き出してしまおう。そしてその後それを破り捨てる。あがり症の過去の自分とは決別するのだ。

 なぜ緊張するのか理由が分からない人もいるだろう。すぐに思い当たる苦い経験がある人もいるだろう。そんな経験はあっても、自分で無意識のうちにそれを封印している場合は時間がかかる。もし、過去に人前で話したら笑われた体験などが浮かび上がってきたら、それも書き出してしまうといい。しかし、ここでのポイントはその時の自分の感情に焦点を当てて書き出すことだ。理由が分からなくても、自分の気持ちに焦点を当てれば書くことができる。そして、それを破り捨ててもいいし、焼却してもいい。自分の中のネガティブなセルフイメージを払拭するのだ。

第二ステップ:新しいセルフイメージを創造

ネガティブなセルフイメージを払拭したら、今度はポジティブなセルフイメージを構築する。一番簡単な方法は、なりたい自分を紙に書いていつも持ち歩くこと。

 例えば、「2000人の聴衆を前に楽しく、笑顔でスピーチしている自分」などと書いて持ち歩く。それを常に眺める。できれば、疲れた時、寝る前、朝起きてボーッとしている時などが良い。

 これは、神田昌典著「非常識な成功法則」に出てくるセルフイメージを書き換える方法の応用編だ。

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 実は私は、スピーチで失敗すると大声で叫びたくなる。なので、そのモヤモヤを紙に書き出し、大きな灰皿の上でその紙を焼く(火事にならないようにご注意!)。そうするとなんとも言えないスッキリした気分になる。そして何かこの先とてもいいことが起こりそうな予感さえしてくる。

 あまりにも何回も失敗すると、いちいち紙を焼かなくても、心の中だけで整理できるようになる。その際にはこの第二ステップがとても重要だ。

 もし、あなたが瞑想が得意なら、イメージトレーニングをすると良い。

目を閉じて、リラックスして、深呼吸3回。3秒吸って、6秒吐く。はい! 自分は2000人を前に講演している。聴衆は笑顔だ!

 こんな感じのイメージトレーニングを寝る前や、本番前にするように習慣づけてみよう。

当日にできること

 一番緊張するのは、本番前だ。私は、特に始まる5分前は猛烈に緊張してくる。しかし、「大丈夫! 俺はできる! 俺は天才だ!」と自分に向かって心の中で叫ぶ。何度もそれで救われたものだ。

 意外とシンプルだが、これがもっとも効果的だ。

コツ2.場数を踏んで、積極的に失敗を経験する

セルフイメージを書き換えるには成功体験を脳内にインプットすること。そして過去の失敗体験を塗り替えれば「あがり症」は克服できる。そのためには、とにかく場数を踏んで慣れることが重要だ。

「失敗は成功のもと」と昔から言われる。実際、「失敗してもいい」と思うと、リラックスしてスピーチに臨める。

 ここで大切なことがある。普通の人は、失敗したら「なぜ失敗したんだろう?」と考える。それだと自分を責めることになり、セルフイメージが低くなり、将来の成功体験に繋がらない。失敗した時の自分に対する適切な質問は「次回はどうすれば改善できるか?」だ! 

 こう考えられれば、失敗は積極的にした方がいい。AIでさえ、失敗を何回も修正すればだんだん精度は高くなる。人間も同じこと。場数を踏んで、大いに失敗することで、度胸がつき、それが自信につながり、セルフイメージが高まり、緊張しにくくなる。これがスピーチを上達させる一番の早道だと思う。

 場数を踏めば、自然と上手くなる。そしてその良いイメージをキープし続けることが大切だ。あきらめたらもったいない。人は誰でも普通に人前で話せる能力を持っているものなのだ。繰り返し繰り返し、小さな成功体験を積んで行こう。いろんなところで話をする機会があれば、積極的に体験してみよう。弊社のブレークスルーメソッドで教える準備をしっかりやれば必ず成功できる。それはとても簡単なことだ。別に公的な場でなくてもいい。友達同士で話しているときも、スピーチしているようなイメージでやってみるとよい。もし、何かセミナーを受講したら、手を挙げて講師に質問してみよう。

私の体験

 私は、トーストマスターズというスピーチクラブで場数を踏んだ。もう、かれこれ10年以上だ。特に「即興スピーチ」コーナーや、クラブメンバーが準備したスピーチを即興で批評する「論評セッション」もあり、そこでかなり滅茶苦茶なスピーチをした。それでも、他のメンバーは温かい拍手をくれた。これが自信につながった。

 即興、論評スピーチをするには、あらかじめ決まった構成パターンがあり、「その型に内容を埋めて話す」と良いことを教わっていた。失敗を何回も繰り返した結果、小さな成功を経験できるようになった。でも、完全にはいつもできないでいた。そして、2017年の英語スピーチコンテスト(論評)の時、「おー!今日は完璧に型にハマった!」とやっと自分でも納得できるスピーチができた。私はそれだけで満足だったが、その時、私の名前が呼ばれた。なんと、他のアメリカ人をさしおいて、一等賞に輝いたのだ。小さな成功が大きな成果を生むのだと確信した瞬間でもあった。

リハーサルを何回もする。

 準備が十分だと、「大丈夫!」と自身に言い聞かせた時に、自分でも説得力がでる。だから余計に安心できて、緊張を防ぐことができる。

 特に大きな会議で話す場合は、何回も原稿を書き直し、最低でも10回はリハーサル、鏡の前で練習したり、自分の話を録音、録画したりして十二分にチェックする。心理的なことが大きく影響するので、自分が納得するまでやり切る。そして、当日は「原稿を忘れてもいい。自由に話そう」と自分に話しかける。

コツ3.機械のトラブルに備えて、バックアップ案を用意

大会場では機材のトラブルで動揺してしまうことがある。例えば、パソコンとプロジェクターが接続できない、エアコンが効かない、インターネットが繋がらないなどは私も経験してきた。

 これを解決するには、自分がこういう機械操作に関わらないようにすることだ。よく主催者や会場側の担当者と打ち合わせ、問題が起きたらすぐに対処してもらえるように頼んでおく。もし、一人で対応しなくてはいけないなら、事前に会場を訪れ、実際に色々試しておくとよい。他にも、自分でも、もしパワーポイントが使えなかったら、手書きの資料で対応する、というような代案も考えておきたい。

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コツ4.本番中とっさの時の対処法

(1)深呼吸

 セリフが飛んでしまった時の一番大きな解決法は、深呼吸だ。「そんな簡単なことで?」と疑問に思われるかもしれないが、これはかなり効果がある。経験のある人なら誰でも同意することだろう。

 別に頭が真っ白になった時だけ、深呼吸するのではない。私は、始まる前には、必ず深呼吸するようにしている。そうするとリラックスできて、頭が真っ白になることはない。

 これは、私のルーティンにもなっている。スピーチ前には深呼吸を必ずする。他にも軽い体操をするようになった。体操は毎日しているので、普段の自分の生活に戻れるような気になれるからだ。自分の決めたルーティンに従うことで、異常な緊張から解き放たれることは、元大リーガーのイチロー選手がインタビューで証言している(NHK「プロフェッショナル・仕事の流儀」2008年」)。

(2)冗談っぽく吐露する

 一番私がよくやるのは、しばらく沈黙の後、「何を言うのか忘れてしまいました!あなたもこんな経験あります?」とか「私はどこ? あなたは誰?」などととぼけてみること。。。自分のその瞬間の気持ちを表現することで、リラックスできて、セリフを思い出すことができる。笑いもとれる可能性も大きい。

私の体験:

 スピーチの前に普段しないことをすると、セリフがスッと抜けてしまうことがある。あるパーティの時、本番前は飲酒しないようにしていた私だったが、その日は調子にのって、飲んでしまった。勢い余って、オープニングだけはよかった。

「みなさーん! 飲んでますか~?! ノッテますか~?!」

と言ったきり、私は黙ってしまった。完全に何を言うのか忘れてしまったのである。その後、10秒くらいしてから、

「あれ? 何だっけ?」

と言ったら会場は大爆笑! 笑いがおさまるまでしばらく時間がかかった。その間、私は必死になって、頭をめぐらし思い出そうとしたが、思い出せない。そこで、

「みなさん、一緒に深呼吸しませんか? 今日のパーティはすご~い盛り上がっているので、私の話を聞いていただくには、ちょっと気持ちを落ち着ける必要があるんです」

などと切り出して、自分もゆっくりと深呼吸をした。やっと興奮おさまり、スピーチの内容を思い出した。いや~、あの時はホントどうなるかと思ったが、たまたま笑いをとって難を逃れた。

 よく考えると当時の私は、普段から笑いをとるよう心がけていた。つまり「本音を吐露すると笑いが取れる」ことを知っていたので、とっさにボケて、ごまかせたのだと思う。

(3)聴衆を味方にする

もし「短い時間では思い出せない」と判断したら、「これまでの内容で何かご質問などありませんか」と聴衆に聞いてみてもいいだろう。

Diane Windingland氏は、「簡単なQ&Aコーナーを設けたり、聴衆にペアを組ませて感想を述べ合わせたり、または簡単なアクティビティをしてもいい。そしてその間にメモを見て思い出せばよい」と述べている。(p25, Toastmaster Magazine, April 2020)

 アクティビティというのは、軽い体操でもいいし、話の内容をより深く理解できるような、簡単に観客ができる何かを考えておこう。事前に計画しておいて、いざという時に使い、それが必要なかったとしても、時間が余った時の備えにすればよい。また、質問コーナーは、聴衆に人気があるのでプラスになるし、冒頭にそんな時間があることをほのめかしておけば、唐突な印象は避けられる。

 また、緊張しないためには、聴衆をよく見ながらその反応に合わせて話すようにする。最初は「そんなことできない」と思うが、よく考えて欲しい。一対一で普段の会話をする時に、あなたが自然とすでにやっていることだ。

 すでにできていることなら、できないことはない。だから、大勢を一度に全員見てはいけない。一人でいい。誰かすごく良くうなずいて聞いている人を見つけて、その人に向かって話すようにする。慣れてきたら、そういう人を会場のあちこちに見つけて、順番にその人たちに話していけばいい。

 私は、開演前に会場に早めに来た人たちと軽く話をするようにしている。特に、「今日は何を期待して来られたんですか」など、相手の関心事について尋ねることが多い。こうすることのメリットは多々ある。

 まず、聴衆と交流が少しでも生まれ、彼らに敵意がないことが分かり、安心できる。そして、場合によっては、会話の内容を、本番で話に盛り込む。そうすれば聴衆との一体感も高まり、聞き手視点で語ることもできる。

コツ5.自分にフォーカスする

会場の全体の雰囲気に飲まれ、舞い上がり、普段自分がしないことをすると緊張して、言葉が出てこない。もし、そうなったらどうするか? 

 そんな時は、まず深呼吸。そして、「自分がなぜそこで話をするのか」「聴衆に対して自分は何ができるのか」を再確認し、「自分は自分のやり方でいいんだ」と自分に言い聞かせ、今すべきことに集中すること。

 スピーチをする前から、そして始まってからも、自分がすべきことに集中していれば緊張しすぎて失敗することはない。

 人はなぜか、「人を幸せにしている=誰かのために役に立っている」と思うと安心できる。つまり緊張から解かれてリラックスできる。だから、スピーチの目的を思い出すこと、特に準備する時に、それを明確にしておくことが重要。つまり「誰のために、何のために話すのか」を深く考え、その人たちの笑顔を想像するといい。

 終わった後、「ああ、今日は気持ちよく話せた」という時は必ず、聴衆の頷きだとか、笑いとか、質問とかがとてもポジティブで、建設的で、会場の人たちに支えられていた、という実感がある。そういう時は、自然と不安や緊張が消えているのだ。自分だけですべてやっていると思ったら大間違いだ。聴衆との共同作業が良いスピーチを生む。

 この聴く人たちとの「つながった感」があると、共感が生み出され、感動がほとばしるスピーチへと発展させることができる。つまり、スピーチとは生ものであり、その場で聞き手と一緒に創造していくものなのだ。

 このように目的を確認することにより、テクニックに走ったり、自分本位の「オレオレスピーチ」にならずにも済む。相手不在の「独りよがり」スピーチでは自分が孤立してしまう。この孤立感が緊張することと関連していると私は考えている。

 また、準備の段階で、失敗、脱線してもいいようにいくつかシナリオを想定しておいて、臨機応変にどう転んでもいいように考えておく。こうすることで、不意のアクシデントにも動揺せずに、あがり症防止にも役に立ち、さらに聴衆との共同作業を強化できる。

緊張を楽しもう

あがってしまってセリフを忘れたとしても、決して死ぬことはない。そんなに大したことではないのだ。むしろ失敗をすることで人は大きく成長できる。逆にそれをネタにして記事を書いたり、人を笑わせることができる。成功談よりも失敗談の方が好意的に受け入れられるものなのだ。だから、失敗を恐れずに大いに緊張を楽しもう。そうすればもっと人生の選択肢が広がるはずだ。

 人は誰でも、1対1なら話ができる。それが大勢の前だと緊張してしまう。だったら、誰か親しい人と1対1で話しているかのように、大勢の前でスピーチすれば良いのだ。

 また、自分がどういう状況になるとリラックスできるか、自分なりの癖を理解しておくといいだろう。私の場合、事前に誰もいないステージに立って、そこが満員になっているイメージをしておく。そうすると登壇した時に、初めてのような気がしなくて、かなりリラックスできるからだ。

 今からでもすぐにできること、それはイメージトレーニングだ。さあ、2000人の大会場で講演する自分を妄想してみよう!。

 最初は、もうそれだけで緊張してしまう人もいるだろう。しかし、「緊張は悪くない。むしろして当たり前。大丈夫!」と自分に言い聞かせ、何回も怖くなくなるま繰り返そう!

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