卒業式や入学式のスピーチ原稿には色々ある。答辞・送辞・祝辞など。これらを書く時の共通する典型的なミスとは何だろうか? それは、「あれも伝えたい、これも感謝したい」と思うあまり、すべてを盛り込もうとしてしまうことである。 確かに、思い出は山ほどある。先生への感謝も、友人との絆も、家族への思いも、どれも本当で、どれも大切だ。だからこそ、削れない。削ることが申し訳ないように感じる。
しかし、その結果どうなるか。言葉を並べているうちに、一つひとつのエピソードが浅くなり、どれも印象に残らない文章になってしまうのである。実はこれこそが、多くの人が無意識に陥る最大の落とし穴なのだ。良いスピーチとは、「たくさん語ること」ではない。「何を削り、何を一番輝かせるか」を決めることなのである。
この記事では、「一つのエピソードに絞り、具体的に描写する」ことの大切さをお伝えしたい。まず、第一に、なぜ「一つ」に絞ることが心を動かすのか。第二に、そのエピソードをどう選び、どう深めるのか。第三に、答辞・送辞・入学式挨拶として“礼を尽くしながら”個性を出す方法。この三つを順にお話しする。読み終わる頃には、あなたはもう「何を書こうか」と迷っていないはずだ。自分の中にある、たった一つの場面が、はっきりと浮かび上がっているだろう。
なぜ「一つ」に絞ると、心に残るのか
少し考えてみて欲しい。あなたが今まで聞いたスピーチの中で、印象に残っているものは、どんなものだろうか。実はこれ、とても大事なことである。人の記憶に残るのは、「情報の量」ではなく「映像化された場面」なのである。
「あの時、雨のグラウンドで転びながらも最後まで走った」
「文化祭前夜、教室に残って段ボールを切り続けた」
このように、情景が浮かぶエピソードは、聴き手の心の中に映画のように残る。
一方で、
「三年間で多くのことを学びました」
「仲間との絆を深めました」
これらは正しい。しかし抽象的である。だから、心には残りにくい。私自身も以前は、「全部入れなければ失礼だ」と思っていた。しかし、それは逆であった。全部入れると、どれも輝かないのだ。
だからこそ、まず決める。「このスピーチで一番伝えたい成長の瞬間は何か?」 それを一つ選ぶ勇気が、名スピーチへの第一歩なのである。
一つのスピーチには一つのワンビッグメッセージ、これが成功するスピーチの基本である。メッセージを一つに絞るには、自分の考えをよく整理し、思いつくものを全て書き出した後、その中から一番しっくりくるものを選ぶ。それが20字で表現できなければ再考する。そのプロセスを繰り返すことが大切だ。
エピソードは「広げる」のではなく「深掘る」
では、どんなエピソードを選べばいいのか。特別な出来事でなくてよい。全国大会優勝でなくてもいい。むしろ、小さな失敗や葛藤の場面こそ、心を打つ。
成功談ばかりしてしまうと、自慢話に聞こえてしまい、スピーチではご法度。逆に、積極的に失敗談を取り入れることで、聴衆の共感を生み、あなたの真の意図が伝わりやすくなる。失敗談だけで終わらせることなく、必ず成功へと繋がったきっかけになった言葉・出来事を盛り込むことを忘れてはならない
例えば、
- 発表で声が震えた日
- 友人とすれ違ってしまった一週間
- 先生に叱られて悔しくて眠れなかった夜
ここで大切なのは、「出来事の大きさ」ではなく、「感情の動き」である。
そして書き方のコツは一つ。五感を使うことだ。
- その日、教室は暑かったのか。
- 手は震えていたのか。
- 窓の外の空は晴れていたのか。
具体的に描けば描くほど、聴衆はあなたの体験を“自分のこと”のように感じ始める。そして、ここで大切なのは、6つのCを使うことだ。それについては、自民党総裁戦についての別記事を参照いただきたい。
2024年9月27日、自民党総裁選の決選投票が行われました。 決選投票に残った石破茂氏と高市早苗氏が、それぞれ最後のスピーチを行いましたが、この明暗を分けたのはずばり、1点に絞られます。 何だったのでしょうか。解析していきます。
良いスピーチとは、感動させようとするものではない。ストーリーを正直に、具体的に語った結果、自然と感動が生まれるものなのである。
スピーチ・プレゼンにストーリーが大切なことは知っていても、なぜか、「伝わらないストーリー」になってしまう。そんな経験はありませんか?今回はストーリー作りの6つの共通ミスと、それを記憶に残り、行動を促すストーリーに変えるためのヒントをお伝えします。
個性を出すことは形式を壊すことではない
卒業式や入学式のスピーチには、もう一つ大切な視点がある。それは、「形式との向き合い方」である。
答辞や送辞、入学式の挨拶には、長年積み重ねられてきた一定の型が存在する。
- 在校生への言葉。
- 先生方への感謝。
- 保護者への感謝。
- そして未来への決意。
これらを無視してしまえば、どれほど感動的なエピソードがあっても、「礼を欠く」印象を与えてしまう可能性がある。しかし、ここで強調したいのは、形式を守ることは、個性を消すことではないという点だ。
形式とは舞台装置である。個性とは、その舞台の上で語られるあなた自身の物語である。
- 舞台が整っていれば、物語はより美しく響く。
- 舞台が整っていなければ、物語の価値さえ伝わりにくくなる。
例えば、次のような構成が考えられる。
- オープニングは、問いかけや印象的な一文で始める。すぐに、当日集まってくださった方々への簡単な挨拶と感謝を入れる。
- 中盤で一つの具体的なエピソードを語る。
- クロージングで在校生や先生方への言葉を述べ、最後に未来への一言で締めくくる。
他にもこんな例が考えられる。
- オープニングは問いかけで始める。
- そのままエピソードへ入り、物語を展開する。
- クロージングで、当日集まった方々への感謝、在校生や先生方への言葉をまとめて述べ、最後に未来への決意で締めくくる。
重要なのは、「形式に縛られること」ではなく、必要な要素を意識しながら、自分の一つの物語を中心に据えることである。
中心はあくまで、一つの具体的なエピソードだ。その前後に、礼節と未来への視点を丁寧に配置する。このバランスが取れたとき、礼を尽くしながらも、あなたにしか語れない、品格あるスピーチが生まれるのである。
あなたの貴重な物語を絞ってより具体的に表現してみよう
卒業式や入学式のスピーチは、人生で何度もあるものではない。だからこそ、特別に感じる。しかし、特別にしようと気負わなくてよい。あなたの中にある、たった一つの場面。あの日の悔しさ、あの時の涙、あの瞬間の笑顔。それを、具体的に、正直に語るだけでいい。
「一つのエピソードに絞り、具体的に描写する」
これこそが、聴衆の心に残る答辞・送辞・入学式挨拶を書く最大のコツである。あなたの言葉が、誰かの人生の記憶になる。その力を、どうか信じてほしい。
🔸卒業式や入学式のスピーチには、ただ原稿を読むのではなく、どのように話すかも大切:
🔸参考になるスピーチ例:
スティーブジョブズの数々な著名なスピーチ・プレゼンの中で、最も良く取り上げられるのは、スタンフォード大学での卒業式スピーチでしょう。 2005年のものですが、未だに取り上げられるのは、やはり秀逸なスピーチは時代を超越して人を感動させる”何か”があるからに違いありません。その”何か”を紐解いていきます。
🔸スピーチ失敗の原因
🔸スピーチの準備の仕方
スピーチの成功は準備にかかっている。準備の努力が8割と言っても過言ではない。まず聴衆の調査・分析から始まり、シンプルな構成を考え、入念にリハーサルを行う。こうすることで緊張することなく、相手の心に響き、分かりやすく、誰にでも受け入れてもらえるスピーチができるだろう
朝礼スピーチが苦手なのは緊張や準備不足が原因で、能力不足ではない。加えて、従来の日本教育がスピーチを教えてこなかったことも起因している。ワンビッグメッセージを決め、PREP法とメモ活用で自然に話せる。感謝や季節など身近な話題を一つに絞れば、不安は成長のチャンスに変わる。
3分間のスピーチ・プレゼンは、活用する場面が多々あります。1分では伝えきれなかったストーリーも、3分なら伝えられます。とはいえ、3分という時間は決して長くはありません。この記事では、ブレイクスルー・メソッドに基づいて、 3分スピーチをどう組み立て、どう語り、どう相手を動かすかを徹底解説します。
🔸スピーチ教室の選び方
スピーチ学習は、あなたの人生や仕事の質を劇的に変えるものなので、ここに思い切って自己投資することは大いに意味があることだ。どのスピーチ講座が自分にぴったりなのかを選ぶためにはは、自分のニーズ・目的・価値観をクリアにした上で、比較検討し、自分のレベルに合わせたものを選ぶのが賢明なやり方だ








