”信元夏代のスピーチ術” 編集長、プロフェッショナルスピーカーの 信元です。
前回の記事では、1分スピーチを徹底解説しました。
3分間のスピーチ・プレゼンは、活用する場面が多々あります。1分では伝えきれなかったストーリーも、3分なら伝えられます。とはいえ、3分という時間は決して長くはありません。この記事では、ブレイクスルー・メソッドに基づいて、 3分スピーチをどう組み立て、どう語り、どう相手を動かすかを徹底解説します。
3分という時間は、短すぎず、長すぎず。 相手の注意力を保ちながら、ストーリーで感情を動かし、メッセージをより深く届けるのにちょうどよい長さです。
ただしその反面、3分スピーチは“話しすぎてしまう罠”にも陥りやすいのです。 あれもこれもと情報を詰め込みすぎて、結局「何が言いたかったの?」と思われてしまうケースも少なくありません。
だからこそ、3分スピーチには「戦略的な構成」と「伝わる技術」、そして何より「あなたならではのストーリー」が必要です。
本記事では、私が20年以上実践・指導してきた「ブレイクスルー・メソッド」の中核フレーム「戦略的ストーリー術6つのC」を使いながら、3分スピーチをどう組み立て、どう語り、どう相手を動かすかを徹底解説します。
3分スピーチの活用シーン
3分スピーチは以下のような場面で非常に効果的です:
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セミナー・勉強会での自己紹介や発表
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英語スピーチコンテスト(Toastmastersなどでは、即席スピーチが2分から3分の長さと決まっています)
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社内会議でのショートプレゼン
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学会・ウェビナーでのイントロスピーチ
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経営会議などでのショートプレゼン
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パネルディスカッションでのオープニングコメント
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学校イベントやPTA、卒業式での挨拶
こうした場では、「伝わるかどうか」がその後の関係性や信頼、提案の成否を左右します。
構成の基本:ワンビッグメッセージ®を核に、6Cで展開する
スピーチの基本は、「何を伝えるか(=ワンビッグメッセージ®)」が明確であること。 そしてそのメッセージを、ストーリーとしてどう伝えるかが鍵です。
3分スピーチでは、以下の3段構成をおすすめします:
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オープニング(0:00〜0:30)
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6Cのストーリー展開(0:30〜2:30)
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クロージング(2:30〜3:00)
この「6C」とは、私のメソッド「戦略的ストーリー術6つのC®」を指します:
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Circumstance(状況・背景)
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Character(人物像)
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Conflict(葛藤・問題)
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Cure(打開策)
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Change(変化・成長)
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Carryout(行動・教訓の持ち帰り)
詳しくはこちらの著書をご参照ください。

各パートの役割と時間配分
【1. オープニング(約30秒)】
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7秒30秒ルールに基づき、印象的な“つかみ”をつくる(7秒30秒ルールについては、前回の1分スピーチ解説記事をご参照ください)
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話の背景や自分の立ち位置を簡潔に伝える
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ワンビッグメッセージのヒントを提示する(ただし明言はしない)
【2. 6Cのストーリー展開(約2分)】
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Circumstance:どんな状況だったのか?なぜこの話をするのか?
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Character:登場人物は誰か?どんな考え・背景を持っていたか?
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Conflict:どんな問題・葛藤・課題に直面したか?
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Cure:そのときどう打開しようとしたか?好転するきっかけは?
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Change:どう変わったか?考え・状況・自分自身の変化など
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Carryout:そこから得られた学びとは?それを聴き手はどう活かせるか?
【3. クロージング(約30秒)】
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ワンビッグメッセージを明確に伝える
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相手に問いや行動喚起を投げかける
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冒頭の問いかけに回収を加える、メッセージの余韻を残す
3分スピーチ例
前回の1分スピーチの動画例に基づき、同じテーマで3分スピーチバージョンを作成してみました。比較してみてください。
聞き手が知らないであろう情報を冒頭のオープニングで話し、行動喚起につながる問いかけでクロージングしています。そして、真ん中は6つのCでストーリーを語っています。それぞれのC、聞こえてきましたか?
よくある失敗と改善アドバイス
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メッセージが曖昧 → たったひとつのワンビッグメッセージ®を先に明確に決める
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経験談が長すぎる → 6Cに分けて構造化
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主語が常に自分 → Carryoutで相手の世界につなげる
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感情が伝わらない → CharacterとConflictで感情の起伏を描写
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話が終わった感がない → 最後に問いかけや行動提案で締める
3分で、信頼も共感も引き出せる
スピーチは長いほうが簡単です。 でも、3分という限られた時間で“相手に伝わり、心を動かし、行動を促す”には、構成・削ぎ落とし・メッセージ設計の技術が欠かせません。
「戦略的ストーリー術6つのC®」と「ワンビッグメッセージ®」のフレームを使えば、あなたの3分が、“ただのスピーチ”から“人を動かすストーリー”へと進化します。
次にあなたが話すその3分間が、誰かの価値観を変える3分になることを願っています。
そのために、今日から練習を始めてみませんか?