”緊張しい”の人必見! あがり症克服のためのスピーチトレーニング3つのポイント

「結婚式でスピーチをお願いね!」って友人から頼まれたが、どうしたらいいか分からず、なぜか自然と涙が出てきてしまうあなた。会社のプレゼンで、自分の担当分野は自分で話さないといけない。「うわぁ、すでに吐きそう」と凹むあなた。

 話がうまくできない、スピーチが苦手、という人の中には、「あがり症」の人も少なくない。そして、その多くの人は、克服できないものと思い込み、あきらめてしまっている人もいる。これは大変不幸なことだと思う。なぜなら、克服できた人もたくさんいるのが事実だからだ。私もそのうちの一人だ。

 あがり症を克服できないのには大きく分けて二つの理由があると考えられる。一つは、心理的な影響であり、もう一つは練習不足・スピーチに対する自信のなさだ。

 この記事では、なぜあがり症になってしまうのか、その原因を探ったあと、具体的に、プレゼン・スピーチでどうしたらいいのか、あがり症の人のためのスピーチ準備方法やプレゼン当日のとっさの対策、経験値の積み方など3つの大切なポイントについて解説していきたい。

参考:「プレゼン」と「スピーチ」の違い

ここで言う「プレゼン」とは、主に会議などで行う演説のことで、ビジネス目的のものが多く、企画案や見積もりなどの内容をスライドや資料を使って説明すること、という意味で使う。

一方で、「スピーチ」は、もっと様々な場面や内容についての談話や演説を意味する言葉として使う。スピーチは言葉だけに頼ることも多いが、スライドやビデオ、プリントなどを使いながら話すこともある。

あがり症とは何か

 あがり症とは、対人場面での手の震えや赤面といった、身体症状が強く出ることの総称。あがり症かそうでないかを判断するのは難しい。なぜならどんな人でも人前で緊張することはあるからだ。

 症状がひどくなると、社会生活に支障が出る場合があり、それは「SAD:社会不安障害」の一つに分類されることがある。SADとして診断されるのは、例えば、誰かと会話するのを極度に恐れるあまり、家から一歩も出られなくなった、というような場合だ。

 あがり症の典型的な症状としては、人前での声の震えや手の震えなどで、多汗症や、赤面症、極度に緊張して電話に出られない電話恐怖症、人の目を気にしすぎてしまう視線恐怖症などがあり、そのために面接が受けられないなどの悩みを抱える人もいる。(一般社団法人あがり症克服協会HPより抜粋・要約)

あがり症の原因

原因1:心理的要因

 軽度なものから重度なものまで、原因はいろいろ指摘されているが、中には、専門(医療)機関や心理カウンセラーなどの指導が必要になる深刻なものもある。ここで扱う事例は、スピーチに関連するもので、軽度なものであり、それらの主な原因は「極度な思い込み」と考えられる。

 初めてのことや慣れないことには、誰でも、緊張や不安を感じるものであり、それはとても自然なことだ。問題なのは、日常的に緊張してしまうことである。では、なぜそうなってしまうのか? 

 それは条件反射が一つの原因だ。例えば、 犬がベルの音を聞いただけで餌が来ると脳が勝手に反応し唾液を出す、かのパブロフの実験の犬のように、スピーチにおいては、大勢の人の前に出るだけで、自動的に脳が反応してしまい、緊張して言葉が出なかったり、汗を異常にかいたりしてしまうのだ。こんな「あがり症状」が出てしまうのは、それだけではない。実際に大勢の人の前にいなくても、それをただイメージするだけで反応してしまうこともある。(参考:”Relationship between anxiety, moods and heart rate during public speaking,” 本多麻子, 白鷗大学教育学部論集 2011, 5(1), 183−195)

 自動的に反応してしまうのは、最初にそれを体験した過去のことが、トラウマとなってしまい、それがきっかけになって潜在意識の中に登録されてしまった場合が多い。

原因2:技術的要因

ことスピーチにおいて、緊張してしまう原因は、練習不足、経験不足が挙げられる。準備やリハーサルを十分にしていないと、どうしても不安になったり、自信が持てず、アガってしまう。

 もしあなたが、「準備なんてしなくても、即興で話せる人はたくさんいるから、リハーサルなんてやらなくて大丈夫。やるだけ時間の無駄だ」と思っているとしたら、それは大間違いだ。

 実際には、即興で話せる人の方が少ないのが事実だ。それに、即興で話しているように見えても、その陰で実は周到な準備をしている人が多いのだ。

 また、スピーチ・プレゼン経験が少なかったり、いわゆる場数を踏んでいないと、どうしても自信が持てず、結果、緊張してしまう。しかし、ただ闇雲にトライすればいいというものでもない。

「慣れれば緊張しなくなる」と勧められて、トライしてみるのだが、回数をこなすほど「やっぱりダメだった」という失敗体験が積もるから、いつまでも慣れない。(→後述するが、これはオープニングを工夫することで失敗を避けることができる)

 他にも、言葉が出ない時にその対処法がわからない、わからないとますますドツボにハマり、パニクってしまう、というケースも考えられる。

私の体験:

 今はスピーチを教える立場の私も、昔はスピーチが大嫌いだった。カリフォルニアの大学院に留学中、学校側から「日本について」話すように頼まれて、講堂でスピーチをした。その時、途中、頭の中が真っ白になって、何も言えなくなってしまった。実際にはその瞬間は1分くらいだったのだろうが、自分の中では、15分くらいに感じていた。終わった後「もう二度とするものか」とつぶやいたものだ。

 今振り返ると、あの時は、全く何も準備していなかった。「普段会話をするように話せばいいさ」と軽く考え、さすがに話の構成だけは考えたが、リハーサルも何もしなかった。あの頃は、リハーサルをするのは格好悪いとさえ考えていた。考えが甘かった。頭の中が真っ白になって当然だった。

あがり症になりやすい人の性格

あがり症克服協会の鳥谷朝代さんは、緊張しやすい人の特徴として3つ挙げている。

  1. 自意識過剰 
  2. ええかっこしい 
  3. 逃げ癖 

自意識過剰

緊張しやすい人は、自分が見られていることに対して必要以上に恐怖を感じてしまうそうだ。例えば、

  • 会社において、課長が自分のすべての細かいところまで監視・評価をしている気がしてしまう。
  • 学校の授業で教科書を読む時に、突然声が震え出した。そんな自分をクラス全員が笑っているような気がして(実際にはそんなことはないのに)、さらに震えてしまった。

 しかし、現実には、人というのは、他人にほとんど興味がない。なぜなら、それぞれ自分のことに精一杯で、他人のことをかまっている暇などないからだ。こういう事実を知るだけでも、あがり症から逃れることができる。

ええかっこしい 

完璧主義で、自分に必要以上のプレッシャーをかけてしまう人のこと。理想の自分にしなきゃいけない、と強く思うあまり、その理想と現実のズレが自分の首を絞めてしまう。例えば、40代の管理職の人たちは、下からの視線が強くなり、

  • 「年上なんだから完璧に仕事ができて当たり前」
  • 「部下の前で失敗したらどうしよう」
  • 「この歳で恥をかきたくない」

という過度の緊張にさらされてしまう。

逃げ癖

緊張している自分の姿を見ようとしない。もともと自己否定感が強いために、「緊張している自分」「失敗している自分」が頭の中でどんどん膨らんでしまい、自分はダメなものだと思い込んでしまうこと。

しかしながら、現実には、緊張している自分は、自分が思っているほどダメではない。実際にビデオで客観的に自分を観察すると、ほとんどの人の感想は、「あれ? 普通ですね」というもの。要するに、セルフイメージが低いということだ。

だから、この記事を読んでいて、あがり症を絶対治したいと願っている人は、必ず自分のスピーチの姿をビデオに撮って、自分はダメじゃないことを確かめて欲しい

スピーチ・プレゼンにおけるあがり症の克服法

以上、あがり症とは何か、その原因、どんな人がなってしまうのか、について解説してきた。これらを踏まえ、いよいよスピーチ・プレゼンにおいて、具体的にどのようにあがり症を克服するかについて順を追って解説しよう。

 まず、スピーチにおいてあがり症になる原因として、大きく分けて二つ挙げた。一つは、心理的な影響であり、もう一つは技術面、つまり、練習不足・スピーチに対する自信のなさだ。以下に示すのは、まず、心理的にどう克服するか、次に自信をつけるためにどんな練習をして、どんな技術を身につけたら良いかについて順次解説したい。

<心理面でのアプローチ>

一つ目の心理的な原因の中でも大きな原因は「できないという思い込み」だった。あがり症の人へのお勧め対策として、まずはこう考えてみることを提案したい。

人は誰でも、1対1なら話ができる。それが大勢の前だと緊張してしまうだけなんだ。

 大勢の前で話す時に、誰か親しい人と1対1で話しているかのようなイメージを頭の中に描きながら話せれば、それがたとえ初めての場所でも、初めて会う人の前でも、あがらずにスピーチをすることは可能なのだ。

心理面克服の具体的方法

  1. フィジカルトレーニング
  2. イメージトレーニング

1、フィジカルトレーニング:腹式呼吸、正しい姿勢、軽い体操

「あがり症克服協会」の鳥谷朝代さんのおすすめの方法は「フィジカルトレーニング」。

緊張とは、メンタルの問題なのに、なぜフィジカルか? というと、緊張症状で一番多いのは「声の震え」であり、症状はフィジカルに現れるので、フィジカルな対応がまず必要ということだ。まずは、声の元である発声器官をトレーニングしようという話。

フィジカル 腹式呼吸

 呼吸には「胸式(浅い)」と「腹式(深い)」の2種類があり、日常生活ではほとんど「胸式呼吸(浅い)」が使われている。スピーチで声がどんどん小さくなるのは、浅い呼吸と緊張のダブルパンチで、悪循環が生まれる。だからこそ、スピーチでは、この腹式呼吸が役に立つ。

 そこで、あがり症がひどい人は、普段の会話から腹式呼吸に切り替えられるようにトレーニングをするといい。

フィジカル② 正しい姿勢

緊張しやすい人に共通するのは、姿勢が悪いこと。上半身が前傾していると、喉が引っ込み、息がしづらくなり、声も細くなる。緊張すればするほど、猫背になり、姿勢が悪くなる。

 解決策は、背筋を伸ばすこと。後頭部、肩甲骨、お尻、かかとを壁にぴったりとくっつけて、真っすぐ立ってみよう。この姿勢を普段から意識するようにして、脳に覚えさせよう!

 フィジカル③ 軽い体操

軽い体操で首、手首、足首をリラックスさせると、あがり症を防げるそうだ。普段から、首、手首、足首をぐるぐる回して、リラックスさせることを習慣づけておくと良い。特に発表当日直前には、この手首、足首を忘れがちになるので、入念にしておくと血行が良くなり、緊張を和らげられる。

2-1  イメージトレーニング瞑想法

心理面での大きな原因は、条件反射的に反応してしまうことだと述べた。そんな自分自身の脳を書き換えることで、あがり症のほとんどは乗り越えられるはずだ。それには、イメージトレーニングが欠かせない。

過去のトラウマや思い込みを払拭する3つのステップ

これは、スピーチを成功に導くのに必要な手法として、ブレークスルーの特別個人コーチングでお伝えしている方法で、具体的には次の3つのステップで実施する。

  1. 深呼吸でリラックス
  2. 過去の自分と訣別する
  3. 新しい自分をイメージする
ブレイクスルー・スピーキング

ステップ1. 深呼吸でリラックス

深呼吸が典型的で、最もシンプルで効果的な、おすすめの方法だが、他に、自分なりのリラックス方法があればそれでも構わない。

ここでおすすめの深呼吸の方法は以下の通り:

5秒吸ったら10秒はく、これを5−7回繰り返す

これで、かなりリラックスできる。その後、1−2分瞑想してみよう。

ステップ2. 過去の自分と訣別する

 リラックスできたら、緊張してしまった時のことを思い出してみよう。もしくは、あがり症の原因と考えられる過去のトラウマになった瞬間が分かれば、その場面を思い出してみよう。できるだけ小さい時の体験の方がいい。もしよく覚えていなかったり、分からなければ、ごく最近の場面でも良い。

 この時、その時の緊張感とか恐怖心が蘇ってきて、一瞬ブルブルっとするかもしれない。さらにすごくネガティブな気持ちに襲われるかもしれないが、そこはむしろ、そういう気持ちが起きてきた方がいい。なぜなら、その時の自分を客観的に向き合うチャンスが生まれるからだ。そういうネガティブな感情と正面から向き合い、その感情を包みこむような気持ちで臨む。そして、その場面での自分から目を逸らさずに、自分にこう言い聞かす。

「今の自分は違う」

と。さらに、

「失敗しても自分の価値は下がらない。むしろ失敗は成功のもと」

「私は成功のもとを手に入れた!」

だから「今の私は以前の自分とは違う!」

と自分に話しかける。

特に、前述の「緊張しやすい人の特徴」で述べたように、「① 自意識過剰」「② ええかっこしい」が当てはまると感じたら、この二つの特徴を消し去ろう。そして、自分にこう語りかけてみよう。

  • 世の中に完璧な人はいない
  • 人は人、自分は自分。同じじゃなくていい
  • あるがままの自分は素晴らしい!

ステップ3. 新しい自分をイメージする

 今度は、自分が普段友達と一緒にいる時など、「自分が楽しく話している状況」をイメージしてみよう。そして、その場面がクリアにイメージできたら、今度は、その友達を10人くらいの聴衆と置き換える。その10人と楽しく話している状況に切り替えて、イメージしよう。

 ちなみに私は、2000人くらいの大勢の前で話す直前には、必ずステージに行き、そこに満席の聴衆がいることをイメージし、あらかじめ緊張しておく。そうすると本番では比較的リラックスできる。

 もし、以上のような簡単なイメージトレーニングで解決できない時は、カウンセリング等の専門的な機関を訪ねてみることも必要だと思われる。ポイントは、自分の中の恐怖を取り除き、自尊心を高めることが大切であり、これが必須作業となる。

成功するイメージを大切にしよう

 想像して欲しい。もし、この問題が解決されたら自分はどうなるだろうかと。最初は、難しいかもしれないが、人前で自由自在に話をしている自分の姿をイメージするのだ。映画やテレビで憧れるスターたちと自分を置き換えても良い。少し妄想と思えるくらいのありえないくらいの自分を想像してみると良いだろう。

 そういう成功する自己イメージができたら、過去の何も話せないでドギマギしている自分と置き換えてしまおう。ディリートして上書きしてしまえばいいのだ。私もいまだに過去の失敗した場面を思い出してゾッとする時がある。しかし、そんな時はいつでも「あれは過去の自分であって今の自分は違うんだ」と自分で自分に言い聞かせるようにしている。

2-2  イメージトレーニング:紙に書き出す方法

ステップ1:過去の自分を吐き出す

瞑想が得意ではない人は、緊張する場面を思い浮かべて、その時の気持ちを紙に全部書きなぐり、吐き出してしまおう。例えば、

  • 緊張して吐きそう。怖い!声が震えてる。足が震えてきた。やばい! 震えてるのがバレないように! うわ、さらに震えちゃう。。。
  • 顔の脂汗、脇汗、手汗がすごい。自分って一体なんなんだろう。
  • 相手の目を見られない。怖い!
  • 人の多いところ、嫌だ。
  • 電話なんて大っ嫌い!
  • 人前で字を書くときに手が震えちゃう。文字がうまく書けなくて焦った。
  • お茶出しで持つ手が震えちゃう。。。

 そしてその後それを破り捨てる。あがり症の過去の自分とは決別するのだ。

 なぜ緊張するのか理由が分からない人もいるだろう。それは、そういう苦い経験があっても、自分で無意識のうちにそれを封印している場合も考えられる。人とは嫌な体験は、無意識に忘れようとする傾向がある。サバイバルするための本能なのかもしれない。だから時間がかかってもいい。

 もし、過去に人前で話したら笑われた体験などが浮かび上がってきたら、それも書き出してしまうといい。

 ここでのポイントはその時の自分の感情に焦点を当てて書き出すことだ。理由やその時何が起きたかを思い出せなくてもいい。自分の気持ちに焦点を当てれば書くことができると思う。そして、その書いた紙を破り捨ててもいいし、焼却してもいい。自分の中のネガティブなセルフイメージを払拭する、いわば儀式をしてあげることで、潜在意識を刺激し、脳にあるデータを書き換えればいいのだ。

ステップ2:新しい自分を創出

 ネガティブなセルフイメージを払拭したら、今度はポジティブなセルフイメージを構築する。一番簡単な方法は、なりたい自分を紙に書いていつも持ち歩くこと。

 例えば、「2000人の聴衆を前に楽しく、笑顔でスピーチしている自分」などと書いて持ち歩く。それを常に眺める。できれば、疲れた時、寝る前、朝起きてボーッとしている時などが良い。

 これは、神田昌典著「非常識な成功法則」に出てくるセルフイメージを書き換える方法の応用編だ。

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 実は私は、スピーチで失敗すると大声で叫びたくなる。なので、そのモヤモヤを紙に書き出し、大きな灰皿の上でその紙を焼く(火事にならないようにご注意!)。そうするとなんとも言えないスッキリした気分になる。そして何かこの先とてもいいことが起こりそうな予感さえしてくる。

 あまりにも何回も失敗して書き出していると、いちいち紙を焼かなくても、心の中だけで整理できるようになる。その際には、先に紹介した瞑想法でのステップ2がとても重要だ。

私の体験

1、緊張を楽しむ

私が過度に緊張しなくなったのは、あるストーリーを耳にしたことがきっかけだった。それは、プロ野球選手たちが異口同音に語った「緊張を楽しむんですよ」との言葉だった。

「なぜあんな大場面でヒットが打てるんですか」とのインタビューに応えての一言だったのだが、その時びっくりしたのは、自分だったら絶対に萎縮してしまうだろう場面で、彼らは本気でホームランを狙っていたことだった。スーパースターの長嶋茂雄氏やイチロー選手だけではない。複数の活躍したスター選手たちが同じ言葉を放っていた。

私は長い間、緊張することはダメなことだと誤解していた。緊張しないで話せたらどんなに楽だろう、と。ところが、緊張することは、何かを成し遂げよう、成功させよう、という意欲の表れであって、誰にでも起きるポジティブな現象だったのだ。緊張してきたら、

「自分は今、エンジンがかかってきたんだ、これから楽しいことが起きるんだ」

と意識すればいいのだ。

だから、それ以来、私は、自分で緊張してきたな、と感じると、「よし! この緊張を楽しもう!」と自分に語りかけることにしている。

2、自分に「大丈夫」と言い聞かせる

また、本番数日前、くじけそうになると、私は、何度も「俺は天才だ!」と星空に向かって叫んだ(これは発明王エジソンが研究に行き詰まると常にやっていた技だそうだ)。するとだんだん自分はできるような気になってきた。さらに本番直前には「今回も大いに失敗して経験を積もう」と自分を励ました。失敗してもいいと思うとリラックスできた。このことに気づいて以来、自分に対して「大丈夫!」といつも言い聞かせるようにした。

3、セルフイメージをアップ

あとは、前述のイメージトレーニングを繰り返し行なった。さらに、少人数でおしゃべりする時は、大勢の前でスピーチをする状況を思い浮かべながら話した。今度、本番になって大勢の前で話す時は、その少人数で話すイメージを思い起こした。これはうまくいった。

一番効果的だったのは、本番前に聞いている人たちが笑顔になることを想像することだった。自分のスピーチが少しでも人の役に立つんだと思うと、ワクワクして楽しい気持ちになった。これらのことすべてを実行することで、脳内に記憶されているスピーチに対するネガティブなイメージを払拭できたと思う。

<技術面でのアプローチ>

以上、スピーチ・プレゼンにおいて、具体的にどのようにあがり症を克服するかについて心理面でのアプローチを解説した。

では、あがり症のもう一つの原因であるスピーチやプレゼンに対して自信がないことに対して、どんな技術をマスターしたら良いかについて詳しく解説していこう。

スピーチの技術が必要な理由

いくら新しい自分のイメージができても、実際の話す実力がそれに伴っていかないと、せっかくできた新しい自分のイメージがだんだん崩れていってしまい、苦手意識が増幅し、やっぱり自分はダメだ、と心を閉ざしてしまいかねない。

しかし体系化された技術を用いれば、過去の体験が原因で苦手意識がある人でも、以前より確実に上手く話せるようになる。こうして、コツコツと小さな成功体験を積み重ね、少しずつ成長することで、それは確固たる自信へとなっていく。

苦手を克服したい場合は、独学で頑張るより、その道のプロから正しい手法を学び、その技術で新しい自分を創造し、補強してくのが、早いし間違いのない方法だ。

心理面の克服とスピーチ技術の向上は同時進行、がポイント

ここで注意して欲しいのは、心理面の解決とスピーチ技術の向上はほぼ同時に進行するものであることを忘れないことだ。スピーチ技術が向上すれば、自然と自信が生まれ、心理面でも強くなれるし、心理面が強くなればスピーチ技術の習得にも積極的になれる。いわば車の両輪だ。

日本の教育では、人前で話すことを前提としていない

だが、そうした相乗効果が生まれる状況は、日本の教育にはない。そもそも日本の教育には、人前でプレゼンすることを前提としていなかったからだ。多くの日本人は人前でスピーチをする訓練を受けていないし、慣れていない。

人前で話せなくて当たり前、だからこそ、できるとメリットも大きい

だから、「できなくて当たり前だ」と思って良い。しかし、だからと言ってしなくて良い、というわけにはいかない。プレゼンをする必要性は当然生じるので、その準備をしておく方がいい。

そして、前述した通り、日本ではスピーチを訓練する教育がないので、技術を習得すれば、訓練をしない人との差は歴然なのもお判りいただけるだろう。

苦手だった人前で話すこと(スピーチ)があなた自身の大きなアドバンテージとなる。

 どんな技術を習得するのか

自信のなさは、知識不足、練習不足から来ている。スピーチやプレゼンの質の改善は技術的なことなので、学習すれば確実に習得できる。

具体的にいうと、スピーチの質や内容、話し方を自分で工夫したり、誰か上手な人に教わって、そのクオリティを変えることができる。さらに言うと、スピーチの構成を工夫してみたり、スライドにはグラフを多用してみたり聴衆に関する事前調査をして、喜んでもらえる内容に変えるとか、入念な準備とリハーサルを繰り返すなど、スキルアップするやり方はたくさんある。

そのたくさんあるやり方を一つひとつクリアしていけば、あがり症を克服できる。それらを総合的に系統だって学ぶことができるのがスピーチ講座だ。そういう講座の門を叩くことで、本格的にスピーチを学び、スピーチ自体に対する不安を払拭し、バッチリ事前の準備をし、練習しておけば、やがて自信がついて、あがり症を克服できるだろう。

スピーチ講座の選び方はこちらが参考になる↓

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なぜあなたはあがり症を克服したいのか?

次に、スピーチやプレゼンに対して自信をつけるために、具体的にどのようなことをすればいいのかを述べたいが、その前に、もう少し突っ込んで、あなたはなぜあがり症を克服したいのかを考えたい。これは、スピーチを学習するに当たってとても大切なことだからだ。

あなたの本当の願望は何か?

察するに、今、この記事を読まれているあなたは、きっと何か結果を出せる人になりたいと願っているのではないだろうか。でも今は、あがり症が障壁となっていてゴールにたどり着けていないそんな現状を変えたい、と考えているのではないだろうか。

そのゴールは何なのか? 言い換えれば、あがり症を克服した後にどうなりたいのか? これを明確にするとしないでは、あがり症を克服できるか、できないかに大きく影響してくる。問題を乗り越えた後に、どうなりたいかが明確になっていないと、自分がなぜこんな辛いことをしているのかを見失い、努力が継続できないことが往々にしてある。これは何にでも当てはまる。「何かを変えたい」と努力することはそう簡単なことではない。大抵、長いイバラの道を進むことになる。だから目標が明確になっていないと、途中でゴールを見失ってしまい、挫折してしまうのだ。

だから、自分を見つめ、自分の中の奥底にある本当の願望を浮き彫りにして、ゴールを明確にしよう。このことが重要だ。それがあなたがあがり症を克服する原動力になる。例えば、「私はXXになりたい」などの心の奥底の叫びを、メモ帳に書き出したり、それを財布に入れるとか、トイレの壁に貼るとかをやってみよう。このように、常に思い出したり、たまに思い出すだけでも効果がある。人生で成功できない理由は、「自分のやりたいことを忘れてしまうこと」だと思う。ただただ、ゴールを明確にし、意識するだけで、人間とは、自然に力が湧いてくるものだと思う。

スピーチ・プレゼンは努力次第で必ず改善できる

あがり症は、決して克服できない壁ではない。大きな原因のうちの一つ、心理的な側面については、医学的な治療が必要な時もある。しかし、たいていは自分の中の心理状況を少し変えることで乗り越えられる。私は、多くの受講者の乗り越える姿をみてそう確信している。

そして、もう一つの原因、話すことに対する自信については、スピーチ・プレゼンの正しい理解と上達方法をマスターして、繰り返し練習すれば、必ず克服できる。何を隠そう、私がそうだった。以前の私は、人前のスピーチで頭が真っ白になり、しばらく言葉が出なかったことが何度もあった。

あがり症を克服するためにスピーチ・プレゼンの方法を正しく・詳しく学ぶ

スピーチやプレゼンに対して自信をつけるために、どのような準備・学習をすれば良いのかを、これから具体的に述べたい。全容を述べるのは、この記事だけでは難しいので、次の大切なポイントを3つ選んでみた。

  1. 事前準備
  2. 発表当日の対策
  3. 経験値を増やす

1、事前準備があがり症を防ぐ

あがり症を防ぐには、スピーチに対する自信をつけることが重要であることはすでに述べた。では、あなたにその自信をつけさせ、スピーチを成功に導くものは何か? それは準備である。このことを多くの人は知らない。だからうまくいかない。自信がなくなる。あがってしまう。という悪循環がそこにある。

スピーチの成功は、準備が8割と言っても過言ではない。まず①聴衆の調査・分析から始まり、②シンプルな構成を考え、③入念にリハーサルを行う、この3つのステップを踏むことで緊張することなく、相手の心に響き、分かりやすく、誰にでも受け入れてもらえるスピーチができるだろう。そんなスピーチができれば、終わった後、「とても良かった!」「わかりやすかった!」と言うコメントを聴衆からもらえ、あなたの自信はグッと高まるに違いない。

実は、プロのスピーカーでも、大会場でのスピーチの前は、ナーバスになったり、頭が真っ白になったりするものなのだ。あなただけではない。安心して欲しい。すべてのスピーカーはスピーチの前に緊張するものなのだ。

準備に必要な時間の目安

しかし、そんな緊張をコントロールする方法がある。それを知っているのがプロであり、話し上手な人たちなのだ。それは何かというと、事前準備であり、それを念入りに、集中してすることなのだ。よく言われるのは、「与えられたプレゼン・スピーチ時間の最低5倍~10倍は準備の時間に費やせ」ということ。

リハーサルを何回もする

私の場合、まだ初心者の頃、スピーチのうまい尊敬する先輩がリハーサルを10回していると聞いた。10回とは、想像を遥かに超えた数だったが、先輩よりも下手な自分はきっと10回じゃ足りないと思い、30したことがあった。これはぜひトライして欲しい。自分だけの体験ではない。当講座の受講者には全員お勧めしている方法であり、これを素直に実行した人は、全員、めざましいばかりの進歩を遂げている。もちろんあがり症も克服している。結果として、滑舌も良くなり、気持ちに余裕が生まれた。さらに、聴衆とまるで対話するがごとく話せるようになった人もいた。

今は、だいぶ慣れてきたので、それでも、

  • 10分のスピーチに対して、リハーサルの部分だけでも最低5~7回(50分~70分)はする。
  • さらにリハーサル1回に対し、修正などにかける時間は約1時間(合計5~7時間)。
  • 構成や原稿(スライド)作りに最低でも約3時間はかかる。

 以上は、日本語の場合であり、英語の場合はもっと時間がかかる。あがり症の人は、もう少し多めに時間を見積もった方がいいと思う。

 これを実生活に当てはめると、10分のスピーチをしようと思ったら、その当日からさかのぼって、それだけの準備時間(上記の場合約10時間分)を前もって確保しなくてはならない、ということだ。

 準備が十分だと、「大丈夫!」と自身に言い聞かせた時に、自分でも説得力がでる。だから余計に安心できて、緊張を防ぐことができる。

 特に大きな会議で話す場合は、

  • 何回も原稿を書き直し、
  • 最低でも10回はリハーサル、
  • 鏡の前で練習したり、
  • 自分の話を録音、録画したり

して十二分にチェックする。心理的なことが大きく影響するので、自分が納得するまでやり切るそして、当日は

「原稿を忘れてもいい。自由に話そう」

と自分に話しかける。こうするとかなりリラックスできる。(もし、本当に忘れてしまった時の対処法は後述)

(1) リハーサルを繰り返し、あらかじめ失敗を経験し、あらかじめ失敗も想定する

なぜ何回も練習するのか? それは、

  • 言いにくいフレーズを修正できる。
  • 自分らしい自然なフローでスピーチを展開し、全体の流れを把握、体で覚えられる。
  • 時間感覚をつかめる。

からだ。リハーサルの中で、うまく言えない所や間違える部分は、とかく本番でも繰り返し起きがちなので、事前に何回も繰り返し練習しよう。

 また、準備の段階で、失敗、脱線してもいいようにいくつかシナリオを想定しておいて、臨機応変にどう転んでもいいように考えておく。こうすることで、不意のアクシデントにも動揺せずに、あがり症防止にも役に立ち、さらに聴衆との共同作業を強化(後述)できる。

(2) ビデオに撮る

これは、前述の「緊張しやすい人の特徴」で解説したように、③逃げ癖を取り除くために非常に有効な手段なので、必ず実行してほしい。

スピーチ本番では、言葉自体よりも、非言語コミュニケーション、つまり、姿勢や、手の動き、声の抑揚、顔の表情などがあなたの印象に大きな影響を及ぼす。自分がどう見られるかを客観的に見るために、必ずリハーサルで録画しよう。適切でない動作はあなたの発言を妨げてしまうし、意欲のない人と思われてしまうかもしれないので要注意だ。

最初は、自分の姿を見るのは恥ずかしいものだが、避けてはいけない。なぜならあなたは全然ダメじゃないからだ。そして、自分で気づいたことは、絶対に他人にも気づかれる。だからあらかじめ修正しておくのがベストだ。

聞き手を飽きさせないためには、単調さから抜け出し、スピーチ全体に「ダイナミックさ」「変化」を取り入れることが大切。次のポイントをチェックし、変化に富み、聞き手を楽しませられるものかどうかを考えて欲しい。

ビデオを撮る時のチェックポイント:
  • アイコンタクトは適切か(オンラインでやる時は、カメラ目線)
  • 声の抑揚、高低、緩急、間が適切で、変化があるか
  • 感情表現が豊かか、発言内容と表情が一致しているか
  • ボディランゲージは適切か

1-1  なぜ準備が必要か?

では、なぜそれだけの事前準備が必要かと言うと、

  • 当日リラックスできる
  • 聞き手のニーズをつかみ、心に響かせ、好印象を残せる
  • 言いたいことを整理して、より分かりやすくできる

こういう理由があるし、それはそのままメリットになる。

事前準備として具体的にやることは、大きく分けて、

  1. 事前調査(聴衆はどんな人たちか)、
  2. 分かりやすいシンプルな構成づくり(パワポ作り)、
  3. 入念なリハーサル

の3つがある。

この3つの中で一番重要なのが、構成を考えることであり、特にあがり症の人におすすめなのは、オープニングを工夫することだ。

1-2  あがり症のためのオープニング

「慣れれば緊張しなくなる」と勧められて、トライしてみるのだが、回数をこなすほど「やっぱりダメだった」という失敗体験が積もるから、いつまでも慣れない。このような雪だるま式失敗スパイラルを避けるには、技術面を磨くことがポイントになる。特にあがり症の人には、オープニングを工夫することをおすすめしたい。

 なぜかと言うと、以下に紹介する記事を読んでいただくとわかるが、話が下手でも、オープニングで聴衆の興味をそそり、関心を惹きつけることで、話がかなりしやすくなるからだ。相手が聞いてくれれば、話しやすくなり、自信も生まれる。

オープニングについては、次の記事を参照してほしい。

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2、当日発表の時の緊張対策

本番対策、あがり症防止の基本

本番になったら、会場の中のよくうなずいたり、笑顔で聞いてくれている人に向かって話すようにする。それ以外の人とは目を合わせないようにしよう。不安だったら友達を呼んで前列に座ってもらい、その人に向かって話すようにすれば良い。

2-1  機械のトラブルに備えて、バックアップ案を用意

大会場では機材のトラブルで動揺してしまうことがある。例えば、パソコンとプロジェクターが接続できない、エアコンが効かない、インターネットが繋がらないなどは私も経験してきた。スピーチとは直接関係のないことで動揺・緊張してしまってはいけない。自分のエネルギーの無駄だ。

 これを解決するには、自分がこういう機械操作に関わらないようにすることだ。主催者や会場側の担当者と、よくよく打ち合わせ、問題が起きたらすぐに対処してもらえるように頼んでおくのが大切だ。あなたは自分の本来やるべきことに集中しよう。もし、一人で対応しなくてはいけないなら、事前に会場を訪れ、実際に色々試して、慣れておくとよい。他にも、自分でも、もしパワーポイントが使えなかったら、手書きの資料で対応する、というような、いざという時の代案も考えておきたい。

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2-2  本番中とっさの時の対処法

会場の全体の雰囲気に飲まれ、舞い上がり、頭の中が真っ白! なあんてことはよくあること。もし、そうなったらどうするか? 

(1)深呼吸

 セリフが飛んでしまった時の一番大きな解決法は、深呼吸だ。「そんな簡単なことで?」と疑問に思われるかもしれないが、これはかなり効果がある。経験のある人なら誰でも同意することだろう。

 別に頭が真っ白になった時だけ、深呼吸するのではない。私は、始まる前には、必ず深呼吸するようにしている。そうするとリラックスできて、頭が真っ白になることはない。

 これは、私のルーティンにもなっている。スピーチ前には深呼吸を必ずする。他にも軽い体操をするようになった(前述のように手首、足首の運動は重要だ)。体操は毎日しているので、普段の自分の生活に戻れるような気になれるからだ。自分の決めたルーティンに従うことで、異常な緊張から解き放たれることは、元大リーガーのイチロー選手がインタビューで証言している(NHK「プロフェッショナル・仕事の流儀」2008年」)。

(2)聴衆を味方にする

もし「短い時間では思い出せない」と判断したら、「これまでの内容で何かご質問などありませんか」と聴衆に聞いてみてもいいだろう。

Diane Windingland氏は、「簡単なQ&Aコーナーを設けたり、聴衆にペアを組ませて感想を述べ合わせたり、または簡単なアクティビティをしてもいい。そしてその間にメモを見て思い出せばよい」と述べている。(p25, Toastmaster Magazine, April 2020)

 アクティビティというのは、軽い体操でもいいし、話の内容をより深く理解できるような、簡単に観客ができる何かを考えておこう。事前に計画しておいて、いざという時に使い、それが必要なかったとしても、時間が余った時の備えにすればよい。また、質問コーナーは、聴衆に人気があるのでプラスになるし、冒頭にそんな時間があることをほのめかしておけば、唐突な印象は避けられる。

 また、緊張しないためには、聴衆をよく見ながらその反応に合わせて話すようにする。最初は「そんなことあがり症の私ができるわけない」と思うが、よく考えて欲しい。一対一で普段の会話をする時に、あなたが自然とすでにやっていることだ。

 すでにできていることなら、絶対にできないことはない。しかし、大勢を一度に全員見てはいけない。一人でいい。誰かすごく良くうなずいて聞いている人を見つけて、その人に向かって話すようにする。慣れてきたら、そういう人を会場のあちこちに見つけて、順番にその人たちに話していけばいい。もし、「できない!」って気持ちが頭を持ち上げてきたら、イメージトレーニングを繰り返そう。

2-3  自分にフォーカスし聴衆と繋がる

 スピーチをする前から、そして始まってからも、自分がすべきことに集中していれば緊張しすぎて失敗することはない。

発表当日やってはいけないこと

会場の全体の雰囲気に飲まれてしまって、舞い上がってしまったり、普段自分がしないことをして、自分を見失い、異常に緊張してしまうことは往々にしてある。例えば、スピーチの前に乞われるままに参加者と一緒に写真をとったりする。そうすると、注意散漫になって、自分が自分でなくなってしまう。

 他にも、例えば、事前に音楽演奏やちょっとしたショーなどがあり、会場が盛り上がれば盛り上がるほど、その雰囲気に自分が合わせなくてはいけない気持ちになってくる。そうすると自分を見失ってしまう。また、最近聞いた話だが、会場で、自分の憧れの有名人などに偶然出会い、すっかり興奮してしまい、自分のスピーチを完全に忘れてしまった、という人もいた。

発表直前に確認:スピーチの目的

 人はなぜか、「人を幸せにしている=誰かのために役に立っている」と思うと安心できる。つまり緊張から解かれてリラックスできる。そもそもスピーチとは、誰かのために役立ちたいからするものだ。だから、スピーチの目的である「スピーチを通して聞き手にどんな影響を与えたいのか?をもう一度思い出すこと。「このスピーチを通して、こういう役立ち方をするんだ」と再確認すること。これがあがり症防止に役立つのだ。特に準備する時に、それを明確にしておくことが重要。つまり「誰のために、何のために話すのか」を事前に深く考えておき、発表当日は、その人たちの笑顔を想像するといい。

本番中に意識すること:聴衆とのつながり

聴衆から孤立=緊張 vs 聴衆と一体=リラックス

なぜ、聞き手の笑顔を想像するのが緊張緩和に役立つのか。それは、終わった後、「ああ、今日は気持ちよく話せた」という時は必ず、聴衆の頷きだとか、笑いとか、質問とかがとてもポジティブで、建設的で、会場の人たちに支えられていた、という実感があるからだ。そういう時は、スピーチ前の自然と不安や緊張が消え、とてもリラックスしている自分に気づく。自分だけですべてやっていると思ったら大間違いなのだ、といつも思わされる。聴衆との共同作業が良いスピーチを生むのだ。そして、この一体感が緊張を和らげるのだと思う。先に解説した「聴衆をよく見ながらその反応に合わせて話す」というのは、聴衆と繋がることで、あなた自身がリラックスできることを指していたのだ。

 さらに、この聴く人たちとの「つながった感」があると、共感が生み出され、感動がほとばしるスピーチへと発展させることができる。つまり、スピーチとは生ものであり、その場で聞き手と一緒に創造していくものなのだ。

 ここにスピーチの目的を確認するもう一つの意義がある。つまり、スピーチの目的が、誰かの役に立つことなので、ここに聞き手の存在を意識することにつながる。このことで、相手不在・自分本位の「オレオレスピーチ」にならずにも済むことだ。「独りよがり」スピーチでは自分が孤立してしまう。この孤立感が緊張を産んでしまうと私は考えている。

 「相手の目を見るのも怖い」というあがり症の人は、つい自分の殻に閉じこもりがちだ。そうするとますます雪だるま式に緊張が増幅されてしまう。勇気を出してその殻を破り、その逆の世界を一度経験して欲しい。そこには、今まで経験したことのないリラックスできる空間が待っている。相手と繋がることが緊張緩和のカギなのだ。イメージトレーニングを繰り返し、スピーチ技術をマスターすれば、必ずその世界を堪能できると私は確信している。

3、経験値を増やす

練習を繰り返し、場数を踏み、小さな成功体験を重ねることで不安を払拭

あがり症の主な原因の一つは心理的な側面だと述べたが、その心理面で、あがり症の大きな原因は過去の失敗体験だ。だが、それを払拭するには、小さな成功体験を重ねるのがベストだ。

 そのためには、とにかく繰り返しスピーチの練習をすること、十分なリハーサルをすることで、自信がつき、あがり症も抑えることができるようになる。さらに、いろんな場面でスピーチを経験するともっといい。

 過去の失敗は、スピーチの技術を知らなかったことが原因なのだから、技術を磨けば、成功するに決まっている。なぜなら、前述した通り、日本ではスピーチを訓練する教育がないので、技術を習得すれば、訓練をしない人との差は歴然であり、苦手だったスピーチが、今度はあなたの大きなアドバンテージとなるからだ。

 一度失敗すると怖いイメージがついてしまうが、前編で紹介したように、イメージトレーニングや自分に対して「大丈夫だ」と言い聞かせることによって、まずは自分の脳を書き換えて、失敗のスパイラルから抜け出そう。

 そして実際にスピーチをやってみて、脳の中で書き換えた良いイメージを補強することが大切だ。一度失敗したからと言って、あきらめたらもったいない。人は誰でも普通に人前で話せる能力を持っているものなのだ。

「失敗は成功のもと」

と昔から言われる。実際、「失敗してもいい」と思うと、リラックスしてスピーチに臨める。失敗すればするほど成功への基盤が盤石になる。

 ここで大切なことがある。普通の人は、失敗したら「なぜ失敗したんだろう?」と考える。それだと自分を責めることになり、セルフイメージが低くなり、将来の成功体験に繋がらない。失敗した時の自分に対する適切な質問は次回はどうすれば改善できるか?だ! 

 こう考えられれば、失敗を積極的にできる。考えてみてほしい。AIでさえ、失敗を何回も修正すればだんだん精度は高くなる。人間も同じこと。場数を踏んで、大いに失敗することで、度胸がつき、それが自信につながり、セルフイメージが高まり、緊張しにくくなる。これがスピーチを上達させる一番の早道だと思う。要は、失敗に対するネガティブなイメージは、この際払拭して欲しい。失敗がポジティブなイメージに変われば、失敗もよし、成功もよし、で悪いことがなくなってしまうからだ。

 場数を踏めば、自然と上手くなる。そしてその良いイメージをキープし続けることが大切だ。繰り返し繰り返し、小さな成功体験を積んで行こう。いろんなところで話をする機会があれば、積極的に体験してみよう。弊社のブレークスルーメソッドで教える準備をしっかりやれば必ず成功できる。それはとても簡単なことだ。別に公的な場でなくてもいい。友達同士で話しているときも、スピーチしているようなイメージでやってみるとよい。もし、何かセミナーを受講したら、手を挙げて講師に質問してみよう。

私の体験

 私は、トーストマスターズというスピーチクラブで場数を踏んだ。もう、かれこれ10年以上だ。特に「即興スピーチ」コーナーや、クラブメンバーが準備したスピーチを即興で批評する「論評セッション」もあり、そこでかなり滅茶苦茶なスピーチをした。それでも、他のメンバーは温かい拍手をくれた。これが自信につながった。

 即興、論評スピーチをするには、あらかじめ決まった構成パターンがあり、「その型に内容を埋めて話す」と良いことを教わっていた。失敗を何回も繰り返した結果、小さな成功を経験できるようになった。でも、完全にはいつもできないでいた。そして、2017年の英語スピーチコンテスト(論評)の時、「おー!今日は完璧に型にハマった!」とやっと自分でも納得できるスピーチができた。私はそれだけで満足だったが、その時、私の名前が呼ばれた。なんと、他のアメリカ人をさしおいて、一等賞に輝いたのだ。小さな成功が大きな成果を生むのだと確信した瞬間でもあった。

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ブレイクスルー(BT)メソッドとは

 ブレイクスルーメソッドとは、米国プロスピーカーとして活躍する当メディア編集長で、ブレークスルースピーキング代表の信元が、長年の知識と経験を元に日本人向けに開発したスピーチ学習オンライン型双方講座。内容は、スピーチ・プレゼンスキル向上のために開発された数あるメソッドの中からエッセンスを抽出したものを、しかも日本人がグローバルな場面で活躍できる場面を想定して作られている。今まで述べてきた準備方法などは、その内のかなり中心となる内容の一つだ。

 さらに、基礎コースを終えた人には、実践コースも用意され、定期的な間隔をおいて受講することで、学習者の進度状況を見ながら、その人に合ったコーチングが受けられる。また、段階的にステップアップできるように違うテーマでも受けられる。かなり少人数なので、個人レッスンとほぼ変わらないクオリティだ。上級者には、個人コーチングも用意されている。

 ブレークスルーウェビナー基礎コースを受けることで、世界基準のビジネス特化型のスピーチ・プレゼン術を最短効果的に習得できる。私が本講座の講師となったストーリー『私がブレイクスルーメソッドの伝道師になった理由とは』でもお話ししているように、スピーチに必要な知識と技術が集約されており、これからスピーチ・プレゼンを本気で学びたいと思う方に、おすすめの講座といえる。オンラインで1か月、スピーチ・プレゼンのブレークスルーを体験してみてはいかがだろうか。

 

 

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